超新約ライトノベル聖書『新約聖書を学園コメディに置き換えたらこうなった』

人類古来の伝統芸能『やるなと言われたことを、必ずやる』

エピソードの総文字数=1,482文字

「――」
「――」
 【議員】たちから、後ろを付けられながらも、

 俺たちは選挙事務所室へ、到着しようとしていた。

「おい、召愛、後ろの奴らに気づいてるか、

 お前の新たなファンが出来ちゃったみたいだぞ」

「ああ。彼らにも彼らの正義があるのだろう。

 その正義感が余って、さっきのように、ただの悪意になってしまうと困り物だけど」

「そうそう。

 ああいう、自分たちの正義が最高の正義だと思ってる奴らが、

 一番どーしようもないのよ。うちの両親と同じだわ」

 俺たちは【議員】を無視して、選挙事務所室に入ったよ。

 この部屋は、選挙のために使う専用の部屋だ。

 扉に鍵が掛けられて、立候補者が認めた人員しか入る事ができない。

 鍵を持ってるのは、召愛と俺と遊田の三人だけとなる。


 陣営ごとの戦略・戦術を守るためだ。

 だから、防犯カメラも集音マイクも備え付けられてない。


 そんなわけで、【議員】たちも、この中までは追っかけては来れない。


 奴ら、部屋の前の廊下で陣取り始めたぜ。

「しつこいわねえ。あいつら、何がやりたいのかしら」

 遊田がマジックミラーになった窓から、廊下を見て言った。


 そん時だ。召愛のスマホへメールの着信があった。

「彩から……連絡が来た。二人とも、これを見てくれ」

 召愛は深刻そうに言って、俺たちにスマホの画面を見せた。

『召愛へ。

 とても遺憾な事を伝えなければなりません。


 あなたたちが【議員】と呼ぶ者たちが、わたしに進言してきました。


【名座玲は生徒たちを、言葉巧みに騙し、操っている。

 馬鹿な一般生徒たちの判断力に任せた選挙では、衆愚政治になる危険がある。

 これを防ぐためには、召愛をどうにかして、停学か退学にしなければいけない】



 召愛、あなたは執行猶予中の身です。

 一つでも軽微な校則違反をすれば、即停学。


 そうなれば候補から除外されます。

 彼らはあなたの、どんな小さな違反も見逃さぬよう監視すると言っていました。


 わたしはそのような事は止めるように言ったのですが、彼らは、学校のためだからと、聞く耳を持ちません。


 止めてくれなければ、彼らを選挙支援人から外すと、わたしは言ったのですが……。


 彼らはこう言い返しました。

【その方が、理事長に迷惑を掛けずに済むから】

 と、自分たちから、離脱したのです。


 どうか、召愛。

 絶対に校則違反をせぬよう、気をつけてください。

 あなたとは真心と真心、誠意と誠意、愛情と愛情のぶつかり合いで決着を付けたい』

 なるほど。

 敵から塩が送られてきたって奴だな。

「とか言っておいてさあ。

 これ、羽里さんが、やらせたんじゃないのお?」

「そーいう発想を羽里はしない。お前と一緒にすんな、遊田」

 召愛は苦笑いだけして、スマホをしまったよ。

「コッペも、イスカさんも、【議員】たちには気をつけて欲しい。

 君らの事も狙ってくるだろう。私の巻き添えを食わせたくない。

 

 しかし、理不尽な校則に怯えて暮らすのも、もうしばらくの辛抱だ。

 こういった事を、なくすためにも、私が、勝たねばならないな」







               しかし。






 世の中において、『XXしてはならない』

 このフレーズが強く述べられた時は要注意だ。


 なぜかって、そりゃ、決まってる。

 してはならない事を、しでかしてしまう〝振り〟でしかないからだ。


 これは、アダムとイブが絶対に食べてはならない知恵の実を食べてから、

『押すなよ、絶対押すなよ』のダチョウ倶楽部まで、変わらぬ人類の伝統芸能である。


 大事な事なのでもう一度言う。

『XXしてはならない』


 このフレーズが出て来た後、必ず、人間はそれをやる。

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