黄昏のクレイドリア

20-2

エピソードの総文字数=777文字

<ロージア ニルス宅前>

此処が、

噂の魔巧師の家か。

…………。

(ニルス……、よく考えたら

 なんの連絡もナシに

 来ちゃったけど、

 大丈夫かしら……)

なーに ぼけっと

してんだよカノン。

ココが目的地なんだろ?

さっさと魔巧具もらっちまおうぜ。

ゴン ゴン ゴン ゴン
!!

もしもーし?

ニルスいるかー

ばっ……!!

ちょっとセシル、

そんな乱暴にノックしないで――

待ってください待ってくださいお願いだから追い出さないでください!!

は?

(やっぱり……)

何の話だ
あれ……?

戸惑った様子を察し、

自身の早とちりに気が付いたのか、

戸がわずかに開かれた。

あ…………

こ、こんにちは、ニルス。

ごめんね突然――

…………!!

挨拶をしたのも束の間、

ニルスはカノンの顔を見るなり

扉を閉じてしまった。

え……

あっ、おいテメー!

いきなり閉めることねーだろ!!

唐突に乱暴な

ノックをしたお前に

言われたくないだろう

(……そうか。)

(ニルスはきっと、

 知っているものね……。

 あたしが、あの魔術師を斬ったことを。)

(…………、)

ニルス、

まだそこに居るのよね。

…………。

いきなり訪ねて、

驚かせてごめんなさい。

でも、あんたに大事な用が

あって、此処に来たの。

………………。

あたしが怖いのは

よくわかる。そりゃあ、

人を斬った奴になんて、

できれば関わりたくないからね。

でも……

……?

あのとき助けた魔術師に、

ニルスの魔巧具が

どうしても必要なの。

お金を払ったらすぐに姿を消す。

だから――

ちょ、ちょっと待って!
わっ?!

慌てて開け放たれた扉に

カノンは虚をつかれ、一歩後退する。

その扉の奥で、ニルスは

目を丸くしたまま口を開いた。

……カノンは、

ぼくを怒りに

きたんじゃ……ないの?

へ?

誤解しあっていることが

わかり、内心安堵しながら

お互いに見つめあったまま沈黙が流れる。


しかし、前にも経験した

同様の流れに、カノンは

嫌な予感を強く抱くのだった。

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