三題噺のお部屋

偽教授

エピソードの総文字数=486文字

盛り塩をする。家にごましおしか無かったから、ごま塩のもり塩だ。さすがにちまちまと、ゴマを摘んで取り除く気はしない。


供養のための盛り塩である。もっとも別にここで死者があったとか、そういうことではない。お亡くなりになったのはケータイだ。ガラパゴスケータイ。ガラケー。なんと7年前のモデルである。ここで亡くなったわけではなく、亡くなったので、ここに持ってきたのだ。


7年もののガラケーって、すごいぞ。もう画面はまともに見れないし、傷だらけでボロボロのボッロボロ。ただ、音声着信だけはかろうじて可能な状態を、維持していた。万が一。万が一にもかかってきたら。もしもまた、ここに電話がかかってくることがあったら。そう思って。


別に、このガラケーを愛していたわけでもなんでもない。ただ、「電話番号を変えるしかありません」と言われてしまったので、他にどうしようもなかったのである。MNPという制度ができたころにはこのガラケーは死にかけで、その頃にはもう気分的に今更であった。


では、投げるぞ。橋の上から川面に向かい、私は七年TELを待ち続けたケータイを投擲する。


さよなら、私の初恋。

2018/01/22 02:18
執筆:偽教授
2018/01/22 02:19

tantankyukyu

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