古代イスラエルにキリストとして転生した俺  そして12使徒が全員美少女!?

14・カナの婚礼

エピソードの総文字数=2,840文字

「あ、そうそう、イエス先生」
「ん?」

「このわたしと、結婚式に出てくださいませんかしら」
「な、何だって?」
「け、けっこんーーー!?」
「お、お前、何だよ急に!」
「い、いきなり結婚式とか、お前何考えてんだよ!」

弟子になったばかりのバルトロマイの突然の申し出に、俺らは全員ど肝を抜かれた。
お、俺たち出会ってまだ10分も経ってないぞ?

「早とちりな方々ですね。3日後、わたしの故郷カナで知り合いの結婚式があるので」

そう言って、バルトロマイは髪をかき上げた。

「それに一緒に出席して欲しい、という事です」
「あ、ああ何だ、そういう事…」
「はぁ、はぁ、し、心臓が…」
「だ、大丈夫?ペテロ」
「び、びっくりさせやがって」

「救いの御子イエス先生を、ぜひ皆さんに紹介したいのです」
「ああ、それは構わないけど」
「ありがとうございます。では、皆さんと一緒に…」

「わかった。じゃあみんな、そういう事でいいかな」
「え、ええ…。ああ、驚いた、ふぅ…」
「本当に、いきなり何を言い出すのかと思ったよ」
「結婚の申し込みかと思ったよな」
「イエスさま、結婚するの?」
「…違うよー…」

そ、そうだよな。
いくら何でも、出会って10分で結婚の申し込みはないよな。
カナってとこで開かれる、結婚式への招待って事か。
…ん?待てよ?
カナでの結婚式に、イエスが招待される?
これって、確か…。

俺は小冊子を開いた。
あったあった。カナの婚礼。

バルトロマイの故郷、カナで結婚式が開かれそこにイエスと弟子も招待される。
しかし、その祝宴の最中に客に出すワインが空になってしまう。
この時代、祝宴中に客にワインが出せなくなるのは、
家の主人にとっては大変な恥。
しかし、イエスは主人を助けるため、満杯の6つの水がめの水をワインに変え…。
水をワインに変えたという、俺でも何となく聞いたことある話だ。…けど。

水を、ワインに変えるだって?

いや、話として読んだり聞いたりするのは面白いけど。
しかし、それを自分がやらなきゃならないとなったら、話が根本的に違ってくる。
…いや、これは例え話なんだ、きっと。
実際のイエスキリストは、たぶん気を利かせて自腹でワインを届けさせでもしたんだ。
俺は、こうして結婚式でワインが足りなくなる事をすでに知っている。
じゃあ、3日後の結婚式にワインが届くよう手配を…。

…と、思っていると見る間にそのエピソードがかすれ始め、
生贄を行う邪教が支配する、暴力と血に塗られた未来の記述が現れ始め…。

…つまり、俺は。
カナで行われる結婚式の際に、水をワインに変えなくちゃいけないんだ。
たぶん、みんなの目の前で。
一体、どうやって?

「イエス様?」

深刻な顔をしている俺に、ペテロが心配そうに声をかけてくる。

「どうしたんですか?」
「あ、ああいや何でもない、大丈夫」

こうしちゃいられない。
今すぐ何か方法を考えなきゃ。

「みんな、今日の活動はこれまで。帰るぞ」
「え?ええ」
「今日はもう終わり?」
「早くないか?」
「帰るのー?」
「…じゃ、あたしも一緒に…」
「わかりました。では、わたしはここで…」

信者を1万人集めるのは後回し。
それよっか、目前に迫った問題を解決しなきゃ。
俺は今日の布教活動を打ち切り、拠点にしている町へと戻った。





「よーし、こんなもんかな…」
「イエス様、これをどうするんですか?」
「樽に一杯水なんか入れて、どうしたの?」

俺は町へ戻ると、弟子に郊外の野原に適当な樽を持ってこさせ、
それを水で一杯にした。

俺は考えていた。
水をワインに変えるなんて、普通の人間にはとても不可能。
しかし、史実のイエスキリストはそれをやってのけたんだ。
そして今の俺は、イエスキリストとしてこの世界に転生している。
それならば。
俺は、神に祈りを込めながら…。

「…水よ」

そうして手に持った杖を、水の入った樽に向かって振りかざした。

「ワインに、変われーっ!」

そう。きっと、そういう奇跡を起こせる能力が身についてるはず!

「…」
「い、イエス様?なんですかそれ?」
「な、なに?…もしかして、水がワインになったの!?」
「ううん、ただの水だよ」
「ワインに、変われーっ!きゃはは…」
「…いったい、なにごと…」

物凄く、恥ずかしい…。

「き、きっと、世を救うためのおまじないか何かなんですね!」
「あ、ああ、私達にはわからない物とか見えるみたいだし!」
「おう、じゃオレたちも!水よ、ワインに変われーっ!」
「変われーっ!きゃはは…」
「…クスクス…」
「や、やめろーっ!」

どうやら、俺にそんなスーパーパワーは身についてないようだった。
神も、居るなら俺にそういう力、さずけてくれたっていいのに…。

しかし、困った。
一体、どうやったら水をワインになんて変えられるんだろう。
手品みたいに、すり変える?
いや、水の満杯に入った水がめ6つを、みんなの見ている前でなんて…。

「うーん…」
「イエス様、今度は深刻そうな顔をして何か悩んで…」
「ああ…。きっと、オレ達にはわからない未来の事とかで悩んでるんだよ」

煮詰まった俺は、弟子たちに意見を聞いてみることにした。

「みんな、聞いてくれ」
「はい?」

「水をワインに変えるには、どうしたらいいと思う?」
「え?」
「水を、ワインに…?」
「え、えーっと…」

俺の問いかけに、みんな頭を悩ませてる様子だった。

「うーん…そうですね。神にお祈りするとか…」

ペテロ。それはさっき試した…。

「赤い土とか混ぜて、それっぽく見せるのは?」

アンデレ…。それだとワインじゃなくって泥水だ…。

「これはワインだー!って言い張るのは?」
「うーん、イエスさま難しいよー」
「…普通に買ってきて、入れ替えるとか…」

みんなが色んな意見を出してくれるが、
どれもイエスキリストの起こした奇跡と呼べるものとはほど遠い…。

「わかった。みんな、ありがとう…」
「お役に立てました?」
「ああ、とっても参考になったよ…」

そうこうしている内に、夕暮れが近づいてくる。
俺は皆を解散させると、いつも寝泊りしている宿の一室にこもった。




「うーん…。水を、ワインに…。水を、ワイン…」

3日後にせまった、カナの婚礼。
それまでに俺は、何とか水をワインに変える方法を考えなきゃならない。
水は確か、化学式がH2Oだったかな。
ワインは…。ワインに化学式なんてあったっけ?
ダメだ、化学的な何かで何とかしようと思ったけれども
乏しい俺の知識じゃどうしようもない。

「あーもう、どうすりゃいいんだ…」

その日は、いつもなら眠る時間を過ぎても
俺はああでもない、こうでもないと
いつまでも考えをめぐらせ続けた…。

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