クラフトラフト!

第二話 赤い髪の少女

エピソードの総文字数=1,425文字

ここは開発分譲地。まだ、建設途中の家が多く存在している。ほとんどの土地が空き地として放置されているが、雑草があまり生えていないところを見ると、土地は整備されているようだ。


空き地の側の歩道が突然光る。その光の中から一人の男が出現した。

くっ! …………あ、あれ……ここはいったい……。

俺は、助かったのか……。


……暴走クラフトルはいないようだ。

それにしても、さっきの光……いったい何が起きたんだ……。

男は、巧人だった。

服はボロボロ、擦り傷だらけでひどいありさまだ。

巧人は、ゆっくりと周囲を見回し、状況を確認する。


空き地に立っている上りに「好評分譲中」と書かれたのぼりが立てられている。身近なものを見つけた巧人は、少しだけ安心した様子で深呼吸をした。


日本なのは間違いないか……それにしても、この建設途中の家……。

これは、クラフターの仕事じゃないな。まるで……なんだっけ…………思い出せない……。

巧人が思い出そうとしていたのは基礎工事のことである。だが、メテオインパクト前の記憶がほとんど失われているため、はっきりと思い出すことはできなかった。


しばらくすると、赤い髪の少女が歩道を歩いてくるのが見えた。巧人の方へとゆっくりと近付いてくる。

巧人を見つけた少女は、その姿を見て心配そうに詰め寄ってきた。


こんにちは。きみ、大丈夫? 服がボロボロだよ。
大丈夫、なんでもないよ。

(あれ……この娘……ものすごいクラフトル数値だ……9000クラフトルだなんて……うちの管理局のクラフターストライカーの三倍はある……どこの管理局員だ!?)

クラフターストライカーとは、クラフトル管理局員の戦闘員である。

クラフトル数値とは、戦闘力といっていいだろう。


ちなみに、巧人の所属する管理局のエース級のストライカーは、約3000のクラフトル数値を持っている。

巧人クラフトル数値は一般レベルの300)

大丈夫には見えないけど……傷だらけだし、ケンカでもしたの?
じ……実はそうなんだよ。

やっちゃいけないと分かってるんだけど……。

(ここは適当にごまかしておこう。もしかすると、この娘がさっきの巨大暴走クラフトルを倒した可能性がある。いったいどこの所属なんだ……)


ねえ、名前を聞いていいかな。俺は守本巧人。所属はA地域のクラフトル管理局員だ。

わたしは秋風紅葉。中学生だよ。所属はソフトボール部。
ソフトボール部なんだね。

(どうも話がかみ合ってないな……)

二人の会話中、突然、地面がぐらぐらと揺れた。

揺れはすぐに収まったが、巧人はその時、不穏な気配を感じていた。

キャッ……地震だ……。
なんだ、今の地震は!?

(それに、マイナスレベルのクラフトル反応……まさか……!?)

ねえ、巧人くん。そこの空き地……すごく光ってるよ。なんだろう……。
まずい! これは……!!
輝く光の中から、黒く巨大なスライム状の物体が姿を現した。

それは、紛れもなく、先ほど巧人を襲っていた巨大暴走クラフトルだった。


巨大暴走クラフトルは体を伸ばし、まるで獲物の逃げ場をふさぐように巧人と紅葉を取り囲んでいく。

なあ、紅葉さん。君なら、この程度の暴走クラフトル、倒せるんだろう?
ねえ、これって一体何? 暴走クラフトルって何? 倒せるって……何を? 
…………。

(まさか、違うのか!?)

ケ・ケ・ケ・ケ・ケ・ケ…………
再度出現した巨大暴走クラフトルは、二人をドーム状に覆い、ゆっくりと収縮を始める。

二人がそれに飲み込まれるのは、時間の問題だった。

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