【2/10】 恋愛ダンゲロスSS(107)qazVSknavery

knavery

エピソードの総文字数=2,698文字

knaveryさんの執筆スペースはここになります!

他の人は書き込んではいけませんよ!

目を覚ますと、上半身が裸になった千代が私に重なりながら唇をむさぼっていた。

knavery

ごめんね……ごめんね……ミン……。……本当にごめんね……
泣きながら。そして……謝りながら私の唇をむさぼり続ける千代。千代の口から溶け出したチョコレートは、私の口に入らずに、ただただ、顔を、神を、首を……そして体から溶け出したチョコレートが私の胸を、腹部を、腿を、濡らしてゆく。

knavery

ああ……そういえば、もうすぐバレンタインか……

私はスマホのカレンダーを確認し、納得する。

その呟きを、声としては発さない。千代の邪魔を……私はしたくない。彼女はチョコ人間……この時期になると、自分を食べられたい衝動に駆られると言っていた。去年も、そうだった……。

knavery

私と千代の出会いは、丁度一年前のバレンタイン前日。

knavery

バレンタインに彩られる街を見ようと、病院から抜け出し、電子の海を旅しているところ、突然雷で停電になって、近くに合ったスマホに避難したのだが、それが、千代のスマホだった。

knavery

なんでこんな時に停電なの? これじゃあ、間に合わないよー!


泣き出しそうな顔で頭を抱える彼女。近くには、山積みのチョコレート。後で聞いた話だと、バレンタインに向けて、自分の体を少しずつ削って貯めたものだったという。

そんなうろたえる彼女を私はかわいそうに思い、スマホから声をかけた。


knavery

手伝おうか?
え?
詳しくは省くが、私は電波能力を応用し、彼女のチョコづくりを手伝った。

knavery

ありがとう!

ウチ、IHだから、あなたがいなかったら湯せんができないところだったよ!

千代は、そういって、とても喜んでくれた。

knavery

あなたにもお礼がしたいな。

どこに住んでるの? 今度、私特性のスペシャルチョコレート持っていくよ!

私は、遠くに住んでいるし、入院していて、そういう食べ物は、お医者様に止められているというと、とても残念そうな顔をされた。

だから、私は、代わりに……友達になってほしい。と、千代に頼んだ。

knavery

え? それだけでいいの?
私は、それがいい。と何度も、何度もうなずいた。

knavery

えー
困った顔をする千代。それもそうだ、こんな、どこの誰ともわからない人間、しかも……魔人と友達になりたいものなどいないだろう。

私は落ち込み、電子の海へと帰ろうとした。

knavery

だって、もう友達だからお礼にならないよ?
私は思わず泣いてしまった。

泣いている私を千代は優しく微笑んで、見守ってくれていた。

knavery

お礼の件は保留になり、私は毎日のように、千代の家に通った。

千代は私に色々なことを教えてくれた。学校のこと、バイト先のチョコショップのこと、流行りの服や歌のこと。

私の世界はすぐに千代で染まっていった。

そんなある日のことだった。

knavery

千代、好きだ! 俺と付き合ってほしい!
学校が見たくて、千代のスマホにこっそり昼間に入り込んだ、ちょうどそのタイミング。千代が告白されていた。

knavery

え、えっと……
狼狽える千代。

私はその場にいてはいけないと、すぐに病院に戻った。

そして……どうしようもない自己嫌悪と、寂しさ。そして……これまで感じたことのない焦り、不安に襲われた。

その日以降……私は千代の元へと通うのを、やめた。

knavery

そして、千代を忘れようと、私はこれまで以上にいろいろな場所を見に行った。綺麗な海。高い高い電波塔の天辺。遊園地にも潜り込んだ。個人のPCにも……何度も潜り込んだ。


knavery

そして……初めて知った気持ちの名前を、私は、知った
見つけた!

knavery

千代が私に会いに来たのは、そのあとすぐだった。

狼狽える私。

こんな私など、千代には見て欲しくなかった。

knavery

寝たきりで……植物人間の私など……

knavery

私は不治の病に侵されていた。

魔人として目覚め、体は少し丈夫になったとはいっても、魔人も万能ではない。病には……勝てない。

不治の病で、しかも魔人。昔こそかわいがってくれたが、そんな私を両親は疎ましく思い、すでに死んだと同然の扱いをされていたので、誰かがこの病院を訪れることがあるなど、考えてすらいなかった。ましてや……千代が訪れてくるなど……

knavery

どうして私の前からいなくなったの?
……見ての通り、私は植物人間……そして、あなたは元気な魔人……。

見てて疎ましく思っただけ。だから、あなたの元へ行くのをやめた……それだけよ

彼女のスマホに入り込み、そこから千代に言う。

嘘。疎ましくなんて思ったことはない。羨ましいとは思ったことはある。けど、それ以上に、私は千代と話すのが楽しかった。千代の笑顔を見るのが好きだった。

だから……あの告白で、千代の笑顔が、誰かの物になるのが、嫌だった。恐ろしかった。

だから逃げ出した。

私は、臆病に、千代から逃げたのだ。

knavery

……嘘は……やめてよ……。

短い期間かもしれないけど、ずっと一緒だったんだもん……だから、わかるから、そんなこと言うのやめてよ……

千代は、ボロボロ泣き出した。

その顔をみて、胸が、キューっと、締め付けられるように痛くなる。

やめて、私もあなたのそんな顔を見たくない。

あなたには、太陽のような笑顔がよく似合う。

knavery

ごめん……なさい……
私たちは、二人そろってわんわん泣いた。

そして話した、私が彼女から離れた理由を。

knavery

なら、二人だけになれる場所に行こうか?
私は驚いた。そして、いう。

私は植物人間で、あなたを食べていあげられなくて、負担にしかならない。邪魔にしか、ならないと。

knavery

それが、どうかした?

たしかに残念だけど、私はそれ以上にミンといたいよ?

この気持ちは、ミンには悪いけど、恋……ではないと思う。

けど、私はそれでも、君といたい。この気持ちを、勝手に人が名付けたもので定義しなきゃいけないって誰かは言うかもしれない。それを、わたしは否定してでも、ミンといたい。

私の目からは、さらに涙があふれた。

そして、彼女にお願いをした。

knavery

私を……連れ出して……
そうして、私と千代は、町を抜け出した。

knavery

そして、今日まで一年の時が過ぎ、こうして、今も二人で私たちは暮らしている。

私はスマホから……彼女の行為を、見ている。

knavery

ごめんね……


私が普通だったなら……こんなことにはならなかったのに……涙は出ない。出すことができない。

knavery

こんな私で……ごめんなさい。

神様……来世というものがあるならば、私たちを普通の人間として生んで、普通に出会って、普通に恋愛させてください。


私も千代も同級生。


普通にであって、普通に恋をして、普通にセックスして、普通に結婚して、普通に愛をはぐくみ、普通に、一緒に特別な日を過ごすことができる。


そんな未来を、夢見るくらい……いいよね?

knavery

私そんなことを考えながら再び、眠りに落ちるのだった。
2018/02/10 22:29

knavery

そこまでです!

終わり

knavery

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