いかに主は導きたまうか。

10. To Korea 蒼き哀愁。

エピソードの総文字数=3,125文字

  「赤ちゃんのおしりみた〜い♡」には《 力 》があった!。あの海綿体の話しだ。化粧品のファンデーションに使う〔パフ〕の素材として、関係者からは特別な注目を集めていたのだ。しかしその市場で許容される素材としての価格帯は、お話にならないものだった。「でッ」あったにも関わらず、会社としては、えらい力の入れよう、関心であった。「社長自らがだ!」。〈ランコム、シャネル、資生堂、コーセー、カネボウ〉etc。ブランドの魔力に魅かれての理由であったのだろう。名誉欲のせいだ!。「悪い性癖」だとボクは思う...。

  製品は、◯○◯○状のものとして出来上がる。これをスライスしてシート状にする。次に、これをパンチングで打抜く。最後に、特殊な研磨装置にかけて〔パフ〕は出来上がる。うちができるのは◯○◯○までであった。あとは、外部の専門職人、専門の加工屋の手に渡る。彼らの加工技術の範疇は、おいそれとは真似のできないものだった。特殊な技能や機械が必要なのだ。

  どこの業界にも古兵(ふるつわもの)はいるものだ。ここを通さずば、市場に顔をだすことは、まず叶わない。最終の研磨加工を行う会社がそれであった。つまりは彼らとは良好な関係を持たざるを得ない。この加工屋さんのキーマンにお会いしたことがある。もと繊維業界のご出身とのことだった。相手が悪すぎるとボクは思った。また、プライドが高いくせに権威に対する意気地のなさは、また格別なるものがうちの会社にはあった。ここの窓口たる、うちの営業マンは「あなたは、いったいどちらの会社の人間なのか?」と思えるぐらいに、厳しい状況(価格交渉)においては「ジレンマのなさ」「お行儀の良さ」を披露してくれた。*ボクは側にいた。しかし、あの専用の研磨機械を取り揃えることは、まず無理だとボクは見て思った。そのマシーンといったら、すごい緻密で精密な構造なのだ。それもかなりの台数がいる。とんでもない資産(投資)だ。この市場に拘(こだわ)るなら彼らの意向に沿うしかないと思えた..。しかし、それでは利益を求めることは叶わない。名誉欲、虚栄心の満足だけで足りるならば分からんでもないが...。「ダメ!そんなんじゃ〜絶対にダメ!!!」。「God damn it !」。

  韓国へ行った。ご存知でないかも知れないが、韓国は、コスメ関連グッズの世界的な加工拠点なのだ。今もだろうか?。あの海綿体の”破材”においての商売が、こことあった。破材の案件ということでボクがもらった。引取先のオファー商とコンタクトをとる。彼らは、みな知った顔だ。うちの社長とは昔からの付き合いで、よく会社にも訪問をされていた。紹介は既に日本で済んでいた。「担当になりましたのでよろしく」と挨拶をする。副社長の李さんは、たどたどしい日本語なれど、『こちらこそこれからよろしく』と返してくれた。李さんは、本当は会社のオーナーだ。社長の◯さんと違い、情緒的なタイプでボクは好きだった。時々、間の読めないタイミングで激高する、おかしな癖をお持ちではあったが...。夕食会で参鶏湯(サムゲタン)を食べに連れてってもらった。そのあと、おかしなところに連れて行かれたが、ボクはクリスチャンなので辞退しますと、その場でハッキリ伝えた。李さんには、意外だったのか、少し驚いたご様子で困られていた。接待として奮発したつもりだけだったのだがと...。無事ホテルに送ってもらえる。*韓国は直取引は国策として禁じられている。必ず何らかのオファー商(商社)を通さなくてはならない。

  翌日は彼らに連れられて、韓国の化粧品メーカーを回った。こちらに来て、その都市のビル群を高所から広く遠く眺める機会があった。そして、ここ韓国には哀愁が漂っていることに気付いた。「なんだこの色合いは?」「ブルー」だ。さらには「蒼き...」といった言葉が自然と浮かんできた。「なるほど」と感得するものがあった。かって、韓国の青年を大阪城にお連れしたことがあったのだ...。観光案内のアテンドであった。彼は、どこかの会社のお偉いさんのご子息であったのではないか?。年齢は二十代前半ぐらい。どこか広い所で、彼は鳩の群れを相手に穏やかに時を過ごされていた。そして大空に鳩達が飛び立つ最中、両手を広げげて、爽やかな笑顔を浮かべながら彼らを見送られていた。ボクは端でこれを見守っていたのだが、『今、彼は、なにかテレビか、映画のドラマの世界にいるな〜』との観があった。純真なのだ。しかし根がない。驚く程、情緒的なのだが、彼方に関心がいっている。「アドレッセンス」という言葉が心に浮かんでは消えていた...。

  日本に帰り、今後の韓国との破材における取引について考える。向こうへの顔出しも済んだし、現地の実状の確認も済んだ。つまりは状況は整ったのだ。こちらの原価は、破材と言うことで格安に設定されている。「しかしこの数字は、ほんまかいな?」。ボクは、かなりの値上げを李さん達に、FAXですぐに伝えていた。”暴挙”であるほどに...。なんならこの商売が無くなってしまっても構わないとさえ思ってた。しばらくは糾弾、懇願が、あちらからの電話FAXで聞こえてきたけれど、一切のネゴは受付なかった。このあと間もなくして大量の注文が韓国から届きだす。この驚く程のスケールでの発注は、しばらく続いた。更には、その後の注文も、なんの問題もなく快調であった。


追記:

これもタイミングがよかったのだ。すでに彼らは相当量の注文を確定していたのだ。その利幅に対して、ボクの値上げがどれほど影響したのかは分からない。その後の様子では、そのマージン内にあったであろうことは、なんとなく伺い知れた。

社長も含め、社内のボクのこの行為への非難、李さん達への心配は相当なものがあった。しかし叱られはしなかった。立場があればこその行いではあった。結果的には正解だったしね〜。

うちの営業マンに、個性的な人がいた。コード:『フェラーリ』。彼の頭の回転は『超高速』。そのバイタリティーは『超ど級』だった。ハンサムで外人みたいな顔をしてた。女性関係もヤバかった。しかし、いざという時の彼の度胸のなさには驚くものがあった。その臆病さに、ボクは哀れなものさえ感じてたぐらいだった。この彼が、古兵の最終研磨の会社とのパイプとなっていたのだ。追記:母の左腕である経理の女子とネンゴロになっていた。奥さんいるのに...。

ボクはスイスの会社との取引を達成していた。小振りだが良い会社だった。そこの社長と息子さんが、日本への観光旅行がてらに初めて会社を訪れてくれた。この折、うちの社長は、フランスからの有力バイヤーと古兵の会社の相手で忙しく、まったく、こちらには目もくれななかった。会社の前の道路に両グループは、ほんの少し離れてあった。これは、ほんのつかの間のできごとではあったが、ボクには一つの「哀しき構図」であった。スイスよりの親子に申し訳がなかったのだ。

哀愁の国となると、トルコも同じくそうだと思う。しかし、こちらは『成熟した哀愁』との表現にはなる。歴史のせいか?。ボク個人としては、トルコのあの情緒ある世界が何処よりも一番好きである。いつか、もう一度...。

かって、Chicoで、尚子さんは、韓国の経済的な発展の影には、キリスト教の浸透の影響があるとしていた。おそらく神の加護があったのであろうと。しかし同時に、悪しき力の作用も起こり広まってしまっているとも言ってた。ボクは興味深く聞いていた。*30年以上も前の話しだからね。


  

  

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