黄昏のクレイドリア

21-4

エピソードの総文字数=1,575文字

<闘技場 大会受付>
あたしも闘技大会にエントリ―する
…………。
…………。

合流するなり、カノンは3人を比較的人通りの少ない脇まで押しやって宣言する。

困惑した様子の二人をよそに、眉を潜めながらイーリアスは口を開いた。

戻ってきたと思ったら

開口一番になんだ?

お前は出なくてもいいと

言っただろう

それなら言わせてもらうけど

あんたに張り付かれるまでもなく、

あたしは前から何時だって

暗殺のリスクは背負ってるの。

もともとあんたはあたしの命を

狙ってきた側だからわかるでしょ?

うぐ……

それに、まーた

事情が変わってね

というと?

この場のどこかに、

アーティファクトが

存在してるかもしれない。

わお、まじかよ!

……つまり、つい前に

経験したような出来事が、

ここでも起こりうるという事か。

確かに油断ならないな。

それもあるけど……

そもそも、その可能性があると

フィリカが判断した原因は、

この場にアークライトの人間が

来ているという情報を得たからなの。


だから――

待て、アークライトだって?

? え、えぇ、

あの魔術師の名門の…

そんなことは常識だろう。

なぜアーティファクトと

アークライトが結びつくんだ?

うーん、一言でいうなら、

最近奴らの動きが派手だからよ。

"アーティファクトの影にアークライトあり"。

そういっても過言じゃないくらいにはね。

あんたと知り合う前に

あたしがアーティファクトの

回収をしたときも、

事件を起こした魔術師が

アークライトの名を口に出した。


供儀の塔で悶着したあの魔術師も、

アークライトに縁のある

魔術師の一族だったらしいわ。

…………。
……イーリアス?

いや、なんでもない。

把握した。

(……もしかして、イーリアスも

アークライトと何か因縁が……?)


イーリアスの様子に疑問を覚えるカノンだったが、その様子を伺うように、カノンの顔を覗き込みながらディーンは口を開く。

事情はわかった。でも……

それはカノンが出場する理由になるのかな?

な、イーリアス。

なぜ俺に振る

それはあいつをぶっ飛ばした……ゲフンゲフン、

そのほうがうまく任務がこなせるからよ。

ふーん?

話を聞こうか、リーダー。

出かけた本音を誤魔化し、セシルの言葉もあって、取り繕いながらカノンは話し始める。

まずあたしとディーンは闘士。

もし参加者にアーティファクトの

使い手がいるなら、

勝ち進めば自ずと交戦できるからね。

さ、さすがに

アーティファクトの使い手と

まともにやりあえるかは

自信がないなぁ……。

まぁ、それはそれとして。

二人で出場すれば

単純に勝率があげられるし、

リスク分散にもなるから……。


アークライト側にあたしの顔が

割れてる可能性はあるけど、

新顔のディーンにはノーマークのはずだし。

ふむ、そういうことなら。

それで、セシルには

この闘技場の探索を担当してもらうわ。

……索敵も含まれるかもしれないけど。

なーるほど。

どのエリアが怪しそうかとか

目星つけりゃいーんだな。

任せとけって!

俺たちが派手な試合を展開すれば、

セシルも動きやすくなるわけだな。

そういうこと。

そして……イーリアスは

試合の様子やセシルの集めた

情報をもとに、あたしたちに指示を出す。

いわゆる司令塔にあたるのかしら。

……妥当だろうな。

(うわ、やっぱり不満そう。でも……)


今 魔巧具がないあんたに

おおっぴらに戦闘をさせるわけにも

いかないでしょ。お願いできる?

願うも何も、

リーダー命令なら従うしかないだろう。

(ふぅ)
ひとまず仲間に役割を伝え終えると、程なくして受付一帯に音声が響き渡る。

『まもなく、闘技大会の

参加受付を終了します。

観客の皆様は観客席へ、

参加者の皆様は1F受付に集まってください!』

うぉ?! びっくりしたー……、

どっから声が出てんだ?

あんまりのんびりもしてられないわね……。

それじゃあ……状況開始!

カノンの言葉を受け、3人は首肯して返すと、

それぞれの持ち場に向かって歩みを進めていった。

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