三題噺のお部屋

偽教授

エピソードの総文字数=478文字

さらさらと。さらさらと。砂のようにこぼれていく。

女であった自分が。女であることを強いられていたこの自分が。


違和感はずっと感じていた。ずっと子供の頃から、「自分は男であるはずだ」という強迫に囚われていた。


今は違う。男であるはずなのではない。私は、男なのだ。男だったのだ。最初から。ずっと。


人の心というのはね、万華鏡のようなものなのだ、なんてことを知ったような顔で言った医者もいた。くるくると、くるくると、姿を変える。特に思春期のうちはそれが強い、と言われた。だから君のそれも気の迷いなのではないかと。


今はそんなことを言う医者も減っただろう。性同一性障害というものに対する社会一般の理解の度合いは、随分と向上した。手術、治療その他に関する障壁は、法的な面でも、費用的な面でも、随分と緩和された。だから、私は男として生きる。


ところで、私のパートナーは男性だ。これが最大のネックだった。君は普通に女をやっているのではないかと。そうではない。そういうことではないのだ。男性を愛する男性なら、いくらだっているだろう?


そう思う。そして今日も、ホルモンを打つ。

2018/01/22 01:24
執筆:偽教授
2018/01/22 01:24

tantankyukyu

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