クラフトラフト!

第九話 騒音の中で

エピソードの総文字数=1,813文字

前回出現した、巨大暴走クラフトルほどの大きさはないが、危険なものには変わりはない。

クラフトル管理局員である巧人にとっては、放置することのできない状況だ。

あれはいったい……何……?
あれは、暴走クラフトル。人間に害をなす存在だ! あ……聞こえてないのか……。
いいえ、200ヘルツ前後の周波数帯だけ聞こえるように調整したから、今は聞こえる。
そうか……よかった。

(この娘……クラフターストライカーというわけではなさそうだ……。管理局に連絡をいれても座標が不明な今はこちらで対処するしかない。となると、紅葉に連絡を入れるか、それとも、この娘に……)

ギャギャッギャッギャッギャギャーギャーギャギャーギャギャッギャッギャッギャギャーギャーギャーギャギャッギャッギャッギャギャーギャーギャギャーギャギャッギャッギャッギャギャ~~♪ ギャギャギャギャギャギャギャギャ!
出現した暴走クラフトルは、突然大きな騒音を放った。

その音は、まるで音程のズレたロックのような雑音の歌だった。


強烈な騒音は、巧人と少女の聴覚を襲う。

…………耳…………が…………。
少女は、イヤーマフの上から両手を当て、苦しそうにかがみ込む。
おい! しっかりしろ!

(くっ……鼓膜が破れそうだ!)

わたしは、音が聞こえすぎる……だから……イヤーマフをして音を小さくしてる。


こんな音を聞いたら、耳がダメになってしまう……。

少女は、胸のポケットから、小さなスポンジを2個取り出し、手の平に乗せて巧人へと差し出す。

どうやら耳栓のようだ。

これを使って。少しだけなら楽になるはず……。


聞こえすぎるのもつらいけど、聞こえないのもつらいから……。

これは……(この娘……自分が苦しいのに、俺に気を配って……)
巧人は、耳栓を受け取り、すぐに装着する。
ありがとう。少し、楽になったよ。

ひとまず、ここを離れ……!?

時はすでに遅かった。

公園中央のメガホンの塊に気を取られていた二人は、箱状の黒い物体が自分たちを取り囲むように展開されているのに気が付かなかった。


その黒い箱は、まるで、ウーハーボックスのように腹を殴るような重低音を奏でる。

ドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッ……
頭……が……割れそう……。
(しまった……こうなったら……)

お嬢さん、今から俺がする話をよく聞いて!

無理……
あ……ごめん……。

(この音の中じゃ、無理か…………!? それなら!)

巧人は、通信端末を取り出し、そこにメッセージを書き込む。

そして、書き込んだメッセージを少女に見せた。

君には、やつを倒す力がある。

けれども、今のままでは駄目だ。


俺が今から作り出すものを手にして、次の言葉を叫んでほしい。


クラフトラフトエクスチェンジ


そうすれば、このぐらいの音になら、耐性がつく。


そして、俺のクラフターストライカーになってはくれないか?


これは、本当?
ああ!

(しまった……最後の行、"俺の"の後に、"所属する管理局の"を入れるのを忘れた……)

ギャギャッギャッギャッギャギャーギャーギャギャーギャギャッギャッギャッギャギャーギャーギャーギャ♪
ドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッ……
じわじわと、暴走クラフトルが近づいてくる。


巧人は、クラフトの力が詰まったカプセルと宝石箱をとりだし、その宝石箱にカプセルをセットした。

(余計なことを考えている暇はない……!)


じゃあ生成するよ。

リリースクラフト! 「ストラクチャーユニットロールアウト」!

カプセルと宝石箱は、光を放ちながら合成を始めた。やがてそれは、動物の形を成し、鳥のような姿へと変貌を遂げるのだった。
チッチッチッ……
本当に……魔法みたい……。
早く! それを手にして叫んで!
わかりました。

クラフトラフトエクスチェンジ」!

声紋認証記録、初期設定完了。

クラフターイメージ構築。完了。

エクスチェンジ開始。

鳥型ロボットは粒子となり、激しい光を放ちながら少女の体を覆った。やがて粒子は収束し、少女をクラフターストライカーへと変身させた。
魔法使い……みたい……。

それに……音も……だいぶ楽……。

それが君の力の具現化なんだね!

その形態……名付けるなら……。


空色のウィッチ



戦い方は、自然とわかるはずだ。

今、やつと戦えるのは君だけだ!

わたしに……できるかしら……。
こうして少女は、無事、クラフターストライカーへと覚醒した。

爆音暴走クラフトルとの戦いが始まる!

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