クラフトラフト!

第七話 青い髪の少女

エピソードの総文字数=988文字

巧人は、建設途中の家の中で夜を明かした。そして、日が上ると同時に開発分譲地を離れ、近くの住宅街の探索を始めていた。


民家のポストに入っていた新聞を軽く広げて、日付を確認する。

持っていた通信端末に表示された日付と照らし合わせ、同じことを確認した後、新聞をポストに戻してため息をつく。

5月22日……タイムスリップの線は消えたか……。

それにしても不思議だ。あんな気球規模の災害があったのに、痕跡がないなんて……。

巧人は、気を取り直して住宅街の先にある高台を目指す。

しばらく歩道を道なりに歩いて、公園のある小さな丘にたどり着いた。




──Z市──


高台にある公園。

東屋から町の様子が一望できた。

周囲を見渡すと、海と山、街の景色が美しく広がっている。

一応、風景を記録しておこう。
巧人は、通信端末を操作し、風景の録画を開始した。


録画をしていると、公園の遊歩道に、少女の姿が映る。

その少女は、セーラー服を着てイヤーマフをした青い髪の学生だった。

少女は、小説のような本を読みながら、東屋の横を通過した。

巧人は、風景の録画を中断して、端末ごしにその綺麗な髪の毛に見とれていた。

(綺麗な髪の毛だな……あんな透き通った青は、珍しい)
端末をのぞくのをやめ、直接、青い髪の少女を眺める。


すると巧人は、少女の頭上に15000という数字があるのを見つけた。

それは、巧人だけに見えるクラフトル数値だった。

(ん……なんだこの違和感……少女にクラフトル反応がある……15000クラフトル……)
(何いっ! 15000!?)


そこの青い髪の娘! ちょっといいかい?

…………。
巧人は、異常なクラフトル数値を示した青い髪の少女に、とっさに声をかけた。

だが、少女は、その声に反応せず、何事もなかったかのように本を読みながら通り過ぎていく。

おーい! ちょっとまってくれないかー! そこの青い髪の娘ー!
さらに、大きな声で少女を呼んだ。

だが、やはり反応がない。

くそっ!

(昨日の赤い髪の少女といい……どうしてこんなにもクラフトル数値の高い人間が存在するんだ!)

巧人は、通信端末をポケットにしまい、公園を通り過ぎていく青い髪の少女の後を、慌てて追いかける。


少女に追いついた巧人は、少女の進路の前に出て少女の視界に入った。

さすがに、進路をふさがれては、少女も存在に気付く。

少女は足を止め、持っていた本を閉じた。

君は……もしかして……
あなたは……

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