クラフトラフト!

第十話 氷の魔法

エピソードの総文字数=1,459文字

爆音暴走クラフトルは、なおも騒音を奏でている。

ウーハーボックスの群れは音を出すたび風を起こし、砂ぼこりが舞う始末だ。

それにしても……うるさい……。
ギャギャッギャッギャッギャギャーギャーギャギャーギャギャッギャッギャッギャギャーギャーギャーギャ♪
ドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッドッフッ……
少女の耳に、電子音声が聞こえてきた。

その声は、ストラクチャーユニットのものだった。

わたしはルリチル。あなたのストラクチャーユニットです。

この辺り一帯を埋め尽くす音声が邪魔でしたら、あなた専用のユニークスキルイコライザーベルでかき消す事ができます。


好みの調整をして、「イコライジング」と叫んでください。

この手に持ってるベルのこと?

わかった……使ってみる。

少女は、持っていたベルを振りかざした。

すると、少女の目の前に、緑色のフラフィックイコライザーのバーが無数に並んだ。

バーは、周囲の音に反応して波打つように上下に動いている。


少女は、そのバーの横に表示された0の数値の横のラインをなぞるように、ベルを振り抜き、呪文を唱えた。

イコライジング」!
少女が呪文を唱えると、周囲の音は完全に消え去った。


無音……小さな音も、大きな音も……音という音は、全てかき消されたのだった。

…………………………………………………………………………………………………………
(静かだ……これが彼女の能力……)
(これ……便利……)

じゃあ、攻撃は……。

今度は、少女の視界の隅に、文字が流れ始めた。

これも、ストラクチャーユニットの能力である。


音声通話が、現在利用不可能なため、視界インターフェースに切り替えたのだ。

(※ただしユニット側は、少女の声をクラフトルの力で解読可能である)

右手にあるステッキを利用します。

あなたの攻撃属性は、氷結系となっております。


ステッキを振りかざし、「フリージング」と叫んでください

少女は、ルリチルの言う通り、ステッキを振りかざし、叫んだ。
フリージング」!
振りかざしたステッキから、白く輝く粉のような冷気が散布される。

それらは、飛び跳ねるウーハーボックス型の爆音暴走クラフトルたちに絡みつき、一瞬で凍らせ、動きを止めた。

あとは、あの大きな一体だけ……。
…………………………………………………………………………………………………………
(あとは、やつ本体のメガホンの鎧を吹き飛ばし、コアを破壊するだけ。この状況じゃ声を上げてサポートはできない。俺の作り出したストラクチャーユニット……おまえのサポートが頼りだ)
もう一度……「フリージング」!
少女は、ステッキをもう一度振りかざす。冷気は、山のように積まれた黒いメガホン状の爆音暴走クラフトルへと降りかかる。


すると、うごめいていた黒い体は一瞬で凍り付き、動きを止め、音を出すのをやめた。

やったか!

氷の塊を攻撃対象にぶつけてコアを露出させます。

あとはコアを凍らせて同じ要領で破壊できます。


ステッキを振りかざし、「アイスクリスタル」と叫んでください。

氷の塊を目標に向けて射出します。

わかった。


…………。


(様子が変……あの黒い塊……動いているような気がする……)

少女の勘は当たっていた。


凍結が浅かったのだろうか……凍り付いた爆音暴走クラフトルは小刻みに振動し、凍り付いた表面のメガホンを、自力で削ぎ落とす。


その後、一瞬だけ赤く光るコアが見えたが、すぐに黒いスライム状の物体を再生し、刀のような刃をハリネズミのように無数に突き出だして少女めがけて転がり始めるのだった。

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