古代イスラエルにキリストとして転生した俺  そして12使徒が全員美少女!?

3・ヨセフとマリア

エピソードの総文字数=2,952文字

………。


あれから、どれくらい時間が経ったんだろう。
俺は、ゆっくりと意識を取り戻した。

目を閉じたまま、俺は思った。
何だ、死んだんじゃないのか。
何だか安心したような、ちょっとがっかりしたような。
やれやれ、生きてるのは結構だけれど。
永遠に別れを告げたとさっき思った、
退屈で冴えない日常にまた戻らなきゃいけないのか…。

…しかし、何だろう。何か変だ。
妙に手足に力が入らないというか。
まるで無力な赤ちゃんにでもなったみたいだ。
さっきの、交通事故の影響か?
ずっとこのままだったら、ちょっと困るな。

まぁ、それはそれとして、周りのこの異常な動物臭さは何だ。
俺はたぶん、病院に運び込まれたはず。
しかし病院なら、もっと消毒薬とかの匂いがするはずなのに。
もしかして、ここは全然掃除がなってないとんでもないオンボロ病院なのか?

俺は、うっすらと目をあけた。
とたんに、ボロボロの板張りの天井が目に飛び込んできた。

こりゃ、何だ?
いくら流行ってない病院でも、今どき板の天井はないだろう。
それに寝かされているベッド。
ベッドなんて物じゃない、これは藁?

戸惑う俺の視界に、ぬうっと何かの生物の顔が飛び込んできた。
顔の長ったらしい、その生き物は…。

馬!?
何でだ!?
俺、車に跳ねられて病院に運び込まれたんじゃないのか!?
ここは、馬小屋か?
何で俺は馬小屋なんかに寝かされているんだ?

その時、馬が目の前で長い舌をベロベローンと伸ばし、俺の顔を舐めようとしてきた。
俺は、思わず叫び声を上げた。

ほぎゃあああああああ…………。









「あら?」


「どこからか、赤ちゃんの泣き声がするわ…」
「え?こんな田舎道のまん中で?育てきれなくて捨てられた子供かな?」
「こっちよ、ヨセフ」
「おいマリア、放っておけよ。私たちは旅の途中なんだぞ。余計な面倒ごとに巻き込まれるのは…。 全く、しょうがないな」

オギャ、オギャアアア……

「この、馬小屋の中からね…」
「なぁマリア。いくら可愛そうだからって、私たちに関係ない事に首を突っ込むのは…。
 なぁ、マリア」

ギィィ・・・











何だ?何が一体どうなっているんだ?
叫び声を上げた積りが、俺の口から飛び出すのはホギャアホギャアという赤ちゃんのような泣き声。
よくよく自分の腕を見てみると、ぷくぷくとして小さな、
これはまさしく赤ちゃんの手だ。

まさか、俺、赤ちゃんになっちまったのか……?
ありえない。
しかしそうとしか思えない。
そうしている間にも馬の、長いまさに馬面が
ぬーっと顔面に迫ってくる。
そしてその長い鼻でクンクンと俺の匂いを嗅いだりしている。

や、やめろ!それ以上顔を近づけるな!
俺は必死で手足をバタバタさせ、何とか馬の顔を目の前から追い払おうとする。
馬はそんな俺におかまいなしに、またベロベローンと長い舌を出して俺の顔を舐めようとしてきた。

や、やめろーーーーーーっ!
俺は思わず絶叫した。
しかし、俺の口から出てくるのは相変わらずホギャアホギャアと情けない赤ちゃんの泣き声だけだった。



「????」

その時、突如女の人の声が聞こえた。

「?? ???」
馬面がスッとどけられ、代わりに女の人が視界に入る。
「?????」
優しく、包容力のありそうな外国人の女性。
聞いたことのない外国語で俺に何か語りかけてくる。


「???」
次に、男の人が目に入った。
がっしりしているが、顔つきは優しげだ。この二人は夫婦なのだろうか。

「????」
「???」
二人して、顔を見合わせて何やら話し合っている。
…やがて、女の人が手を差し伸べていとおしげに俺を抱き上げた。

「???」
優しく、美しい顔。
何だか、美術の教科書で見たことあるような。
俺は、思わず見とれてしまった。

「???」
その人に、頭を優しく撫でられる。
俺はこんなわけのわからない状況であるにも関わらず、深い安らぎを覚えていた。
安心感から、そのまま眠ってしまいそうな……。


「落ち着いたみたいね」
「ああ。しかしひどい事をする親もいるもんだ。生まれたばかりの赤ちゃんを馬小屋に置き去りなんて」
「…」
「きっと、育て切れなくてここに捨てていったのかもな」
「…」
「さあ、マリア。もういいだろう?可愛そうだけど、私たちには関係の…」
「…」
「マリア?」
「あなた」
「何だい?」
「私、この子を育てるわ」






言葉はわからないけど、二人はどうやら俺を拾うか置いていくかの話をしているようだ。
こんな状況で話し合うといったら、それしかない。

「待ってくれマリア。この子を育てるだって?」
「ええ。だって、私たち子供がいないんだし」
「…マリア。確かに今俺たちの間に子供はいないし、これからも望めないかも知れない」
「…」
「マリアはその、昔男に乱暴されかけたせいで、どうしても男を受けつけなくて…」
「ヨセフ。その話はやめて」
「あ、ああ、すまないマリア」
「…こんな私と婚約してくれた貴方には、感謝してるわ。けど」
「やっぱり、子供が欲しいのかい?」
「……」

二人の様子から、話し合いは簡単にまとまりそうにない空気が感じられる。
まずい。
こんな所に、赤ん坊のまま置き去りにされたら。俺、すぐ死んでしまうぞ……?

「…実はね。夢を見たの」
「夢?」
「ええ。夢の中に、大天使ガブリエル様が現れて……」
「…」
「それでね、私に告げたの。貴方は子供を授かるでしょうって」
「…」
「それでね。私夢の中で言ったの。とても信じられないわって。第一、私とヨセフってまだその、一度も、ね」
「あ、ああ」
「そうしたらガブリエル様が、では印を見せようと仰ったの」
「印?」
「ヨセフ、覚えてる?私のいとこのエリザベツ」
「ああ。あの年とった女の人か。驚いたよあの歳で子供ができたって…」
「ええ。私も驚いたわ。でも、それがきっと印なのよ」
「ただの偶然だろう?」
「いいえ、違うわ。私にはわかるもの」

俺は思った。
何がなんでも拾ってもらわないと。
こんな所に置き去りにされちゃたまらない。
何せ、今の俺は無力な赤ん坊だ。ほっとかれたら、あっという間に死んでしまう。

「ほぎゃあ、ほぎゃあー……」

俺は、できるだけ哀れっぽい泣き声をあげてやった。

「おー、よしよし…。ふふっ、何だかこの子、私たちが何を話してるかわかってるみたい」
「…ふぅ、負けたよマリア」
「ヨセフ、それじゃ…」
「ああ。この子を引き取って育てよう。俺たちの子供としてね」
「ヨセフ……!」

おお、俺の頭ごしに抱き合っちゃって。
外国人って、感情表現がオーバーだなぁ。
しかし、二人の雰囲気でわかる。
これは俺を拾って育ててくれるんだと。
さすがにこんないい雰囲気で、結局俺を置き去りなんてオチはないよな。

「それじゃ、行きましょう。宜しくね私たちの赤ちゃん」
「赤ちゃんじゃかわいそうだな。名前はどうする?」
「そうね…。イエス。イエスなんてどうかしら?」
「イエスか…。いい名だな」

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