クラフトラフト!

第十二話 平行世界

エピソードの総文字数=1,773文字

──公園の戦いから数日後──


巧人は今、住宅建設現場を根城にして身を隠している。

サバイバルキットの食料も残り少ない。

巧人は夕食の非常食を大事にほおばっていた。


食事が終わると、巧人はその情報を管理局局長の元へ通信端末で送信する。

思ったよりも、早く情報がそろったようだ。


送信した情報は、地形の建物の位置情報。生活様式の情報。紅葉菖蒲クラフターストライカーとしての能力情報などである。


情報を送信して数時間後、局長からの通信が入った。

わたしだ。今回の情報収集ご苦労だった。
おつかれさまです! 近藤局長

調査の結果、いろいろなことがわかった。

送信された地形情報からマップを生成し、メテオインパクト前のマップと照らし合わせた。

今からそのデータを送る。マップ情報をアップデートしたまえ。

巧人は送られてきたデータを、端末にインストールする。

マップ情報が追加され、Z市のマップ情報が現れた。

現在地を調べ、そこにアンカーを設置しろ。

そうすれば、こちらでも通信可能範囲なら位置情報を特定できる。

わかりました。アンカーの残りは2つなので、その一つを今拠点としている新興住宅地にセットしておきます。
それとだ。ここからが本題だ。

おまえに伝えなければならないことがある。

本題……ですか?
結論から言うぞ。

おまえのいる場所……いや世界か……。

そこはな……。

(ゴクッ※生唾を飲む)
平行世界だ!
へ……平行世界!!
……平行世界ってなんですか?
……なんだ、知らないのか……。

平行世界っていうのはな、パラレルワールドのことなのだよ。

つまりだ……別の世界……ということだ。

別の世界ですか?

でも、たしかにちょっとおかしい所が沢山ありますけど、特に別の世界という感じはありませんよ。

んーどう説明すればいいんだ……。
突然、巧人の端末の画面が切り替わる。
わたしから説明します。
あ……あなたは、クラフトル管理局解析班夢野小寿恵ユメノコズエ)」班長
久しぶりね、巧人君。元気でやってるかしら。
はい、おかげさまで!
じゃあ、簡単に説明するわね。

今送ったZ市のマップデータを見て。


そして、元のマップデータと比べてみれば一目両全よ。

確認しました! 元のマップではZ市の場所は海になっています。
あなたのいるZ市は、本来メテオインパクトの被害で海になっていなければならない場所。

でも、あなたは世界を移動して、メテオインパクトの被害を受けていない世界のZ市に来てしまったのよ。

そ……それじゃあ……今俺のいる世界には、近藤局長夢野班長はいないってことですか?
残念ながら、そういう事になります。

さらには、クラフトル管理局も存在しない可能性があります。

じゃあ……もうクラフトル管理局には戻れないのか……。
でも、あまり悲観しないでください。必ず良い方法が見つかるはずです。


現在、巧人さんが前に言っていた謎の光が、暴走クラフトルとの戦闘中に頻発するようになってきました。

それに遭遇したフラフターストライカーの戦闘データを解析した結果、謎の光に巧人さんの端末への通信に干渉していた干渉波が観測されていました。


おそらく、それを解析することによって、こちらからそちらへのつながりを作り出すことが可能になるかもしれません。

現に、クラフターの技術により通信ができています。なので、それを応用すれば物体移動も可能なはずです。

まだ、望みはあるんですね。
はい。なので、希望は捨てないでください。


あと、世界線や特異点、平行宇宙に平行時空。異世界転生と異世界転移の資料をデータで送っておきます。


それと、メテオインパクト前の一般常識のデータも送っておきます。何かに役立ててください。

はい! なんとか頑張ってみます!
じゃあ、あまり無理はしないように。

頑張ってくださいね。

その後、近藤局長との通信に切り替わる。
まあ……そういうわけだ。

引き続き、そちらの世界の調査を頼む。

はい、了解しました。
通信を終えると、巧人は深くため息をつく。
…………。
──平行世界──


巧人は平静を装っていたが、驚愕の事実を知った今、体が引き裂かれそうな孤独感を感じていた。


メテオインパクト前の記憶がないのに加え、知らない場所、知らない世界で生活していかなければならない。

第一、無事に元の世界に戻れるかもわからない。


巧人は、通信端末を握りしめ、元の世界のことを思うのだった。

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