黄昏のクレイドリア

4-1

エピソードの総文字数=866文字

<ロージア 露店の並ぶ路地>
うーん……
カノンは盗まれた魔巧具が転売された可能性も考えて、
路地にひらかれている 露店の魔巧具屋を巡っていた。

(やっぱり、
 そう簡単には見つからないか……)

カノンはため息をつきながら、
別の魔巧具屋を廻るために その場を立ち去ろうとした。

<装飾の多い商人>

そこのお嬢さん!
…………。

<装飾の多い商人>

も…桃髪のお嬢さん!
あたし?

<装飾の多い商人>

そうですよ。あなたです!

先程から魔巧具を見ているようですが、

魔術師の彼にでも プレゼントを探してるんですかい?

いや、別に……

<装飾の多い商人>

いやいや!言わなくてもわかりますよ!

一般のお客さんは皆 魔術師に物を送る事を

後ろめたくお思いになられますが、

贈り物をする真心に邪も正もありません!

今急いでいるのだけど

<装飾の多い商人>

こちらの純正の銀の指輪など如何でしょう?

指輪でしたら大きさが合わずとも

首から提げる事もできますし、

魔巧具としての効力も申し分ありませんとも!

こちらの話を聞かず、

べらべらと捲くし立てながら

強引に商品を手に持たせてくる魔巧具屋に、

時間が惜しいカノンは苛立ち始めた。

ちょっと、いい加減に――
おいおい、そこまでにしとけよオッサン!
?!
怒鳴りたてようとしたカノンの言葉は、
さらに大きな、それでいて
溌剌とした挑発によってかき消された。
魔巧具じゃねーどころか、
商品としても中途半端なものを売るなんて、
魔巧具屋どころか、商人の風上にも置けないぜ?
(…………? 子ども…?)

<装飾の多い商人>

な、なんだとこのガキ!

根拠も無いのに言いがかりは――

へぇ~、この魔巧具の指輪の銀……
随分と薄っすいんだなぁ?
純正なんじゃなかったんだっけ?

<装飾の多い商人>

な…………
何時の間にか 子どもの手に渡っていた銀の指輪は、
表面が削られ、黒ずんだ金属が露出していた。
商人は、最早閉口するしかなかった。

そーそー、半端モンは
大人しくしてりゃーいいんだよ。
ほら、ねーちゃん、いこーぜ!
えっ?!
急に子どもに手を引っ張られたカノンはなすがまま、
子どもと共に路地を走り抜けていった。

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