黄昏のクレイドリア

4-3

エピソードの総文字数=1,167文字

(あんなに都合よく

 助けが入るわけないからって

 カマかけたけど……、

 本当に、ニルスの魔工具を盗んだ

 犯人だったとはね……どうしようかしら)

少年と入れ替わるようにして、
背後から足音が近づいてきた。
随分とお優しいことだな
げっ、……見てたの
偶然通りかかっただけだ。
ふぅん。でも…そうでもないわよ。

嘘を言ってた可能性もあるし、
泳がせたほうがまだ希望があるわ。
? 何の話だ。
ほ……本来のあたしの仕事の話よ。
そうか。
そうだ。イーリアス、
あんたってどうせ 殺し屋かなにかなんでしょ。
この街で日陰者が集まりやすい店とか知らない?
それなら……
ケヤキ通りの"イモリの黒焼き亭"は
おあつらえの場所だろうが
そう、ありがと
…随分まわりくどいことをするな。
逃がさないで、あのまま子供に
直接吐かせてやればよかった話だろう。
あたしに子供を痛めつける
趣味はないからね。
お人好し、というやつか……
先が思いやられる。
……あたしがどう行動しようが、
勝手なんじゃなかった?
行動に制限は無いとは言ったが、
自身を不利にする行動を許可した覚えは無い。
何を偉そうに……
…………。
……あんたはさっき、俺を殺し屋だと言ったな。
察しの通り、俺は暗殺者だ。
いや、だったというべきだろう
…どういうこと?
大体の察しはついていたが、
カノンはイーリアスの言葉を待った。
俺はもともと、あんたを殺すつもりで接触したわけだが、
あんたはこうして健在だ。
これは…依頼人の意向に沿わない結果だ。

そう遠くないうちに……この事実は
向こう側に知れ渡り、俺の首には
賞金がかかるようになるだろうな。
うげぇ……
元々命を狙われるような立場だったとはいえ、
厄介なものに目をつけられてしまったものだ。
心底カノンは己の不運を呪った。
ようはだな…、あんたの身を
守らなければならない俺としては、
命を縮めるような独断は控えて欲しい。
へ?
な、なんであんたがわざわざそんな事を?
言われなくたって、自分の身は自分で守るわ。
これも話していなかったか……
契約は一方の利だけでは成り立たない。
"献身"を要求する代わりにその対象を"守護"する。
道理の取引だ。
それに…あんたは俺の呪いに関わる
唯一の手がかりのようなものだ。
死なれたら……困る。
…………。
…長々と話しすぎたな。
邪魔をした、と一言もらして、
イーリアスは路地奥へと立ち去っていった。

真面目なんだか、
頭が固いんだか……。
……ま、思ったより
悪い奴じゃないのかもね
相手の人格を決めつけるには、
まだお互いの事を知らなすぎる。
歩み寄れる余地がある可能性を
知ることができたカノンは、
ほんの少しとはいえ、胸が軽くなるようだった。

そういえば……あいつの呪いって
結局なんなのかしら。
他の魔術師との小競り合いで生じたものか、
はたまたそれ以外の原因か…………
同時に疑問を生みながらも、
カノンは調査へと戻っていった。

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