『みじょかもんの祈り ー 心の貧しい人は幸い? ー』

03. 「みじょか〜とです。」

エピソードの総文字数=1,691文字

「あんた、やめんね!!! やめんね!!!! こらっーーー」。

実習では、様々な高齢者との出会いがある。
優しい方、厳しい方、何も反応しない方、暴力的な方など。
体の接触を必要とする職としては、高齢者の方に嫌われるのは致命的である。
嫌われてしまうと毎回、不機嫌な顔をされる。
何かした記憶はない。
もしかしたら、知らないところでやってるのかもしれないが、生理的にというパターンが多いようだ。

その方を手伝おうと体に接触すると叫ばれる。
叫ばれるのが時限爆弾のような気分で毎回ドキドキすることもあった。
入浴介助だとキャッチャーの上で暴れることもあるので、なだめることに苦労する。

「なんね!!やめんねーーー!!ああぁあああああっっーーーーー!!!!」

どんなベテランの方でも、そんな人が1人や2人はいるらしいので、本当に難しいものだなと思う。
私が、ガックリ落ち込んでいると、「大丈夫ですよ。私も叫ばれてるんで、◯◯さんには」と職員の方がニッコリと励ましてくれる

第3段階は、介護プランを作成する。
介護プランとは、その方の必要な情報を収集し、自立支援へと繋がる計画を立てていくことだ。

その情報収集を「アセスメント」と言う。

アセスメントで得ることは、その方の出身や、これまでの経験、趣味、既往歴や今現在の状態である。
その情報をもとに、利用者の自立。

つまり、「他者の協力を最小限の状態しながら、自分の力で精神と身体の機能を取り戻す、もしくは繋げていく」ことを支援する計画を立てるのだ。

職員の方には、それぞれ癒しとなる利用者の方がいた。
私にも、そういう方が数人いた。
30半ばでも、自分の孫のように声をかけて下さる方々だ。
「おはよう」
「もう、そげな時間ね?」
「よかよかー、頼むけんね」
普通の言葉でも、とても心にしみた。
高齢者の方の笑顔は素敵だ。
生きてきた分の深いシワを寄せ、こんな若輩者にも身を預けて下さる。
ゆっくりではあるが、一生懸命、自分でできる範囲での行動をする。
朝目覚めて、上半身を起こす姿。
ゆっくり、ベットから降りようとする姿。
ここで、100%何から何まで介助者が手伝いをしてしまうと、高齢者は自分でやる力を失っていく。
自立を妨げることになるので、高齢者ができることは、見守るのも仕事である。
心の中では「頑張れー」と応援する。

このような応援したくなる方のことを「みじょか人」という表現を、自分の中で使っている。
「みじょか」とは、長崎県五島市の方言で「可愛らしい」という意味だ。
しかし、ただ「可愛らしい」というと単に「馬鹿にしてるのか?」と捉えれがちになる。

感覚的なことを言えば、「じっくり見て、可愛らしい」というよりも、
「みじょか」は、「瞬間的に、そして全体的に、なんとも言えない素晴らしい感動の衝撃」を指している。

他の五島の方は、これを聞いて「そりゃ、違う」なんて言われるかもしれない。

しかし、高齢者。
ここでは、親しみを込めて、おじいさん、おばあさんと書かせていただくが、
おじいさん、おばあさんは、「みじょかもん」だ。

その「みじょかもん」の方々に、私は人生で大事なことを教えてもらった。

※ ただ、断っておきたいのは、動きたくても動けない。
動かないことで挫折し、顔を背けてしまっている方も当然いらっしゃる。
その方も、みじょか所はいっぱいある。
今回は、特に関係深かった方を対象に「みじょか」の表現を使っているだけである。

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