黄昏のクレイドリア

1-1

エピソードの総文字数=468文字

<同日 夕刻前>
…………。
緑に覆われた丘陵地を黙々と歩く少女に、
向かい風が吹きつける。
髪を鬱陶しそうに払いながら、
彼女はただひたすら歩みを進めていた。
……!
目指していた街の輪郭を確認し、
今夜は野宿を免れることができるとわかって心の内で安堵する。
足が早めようとすると、ズボンから僅かな振動を感じ取ったので、それを取り出した。
それは、紋様が掘られた奇妙な石だった。
はいはい、何か用?フィリカ。
御機嫌よう、カノン。
日が傾き始めましたが、
ロージアまであとどのくらいかかりそうですか?
大丈夫よ。
もう街も見えてきているから――――
なんだお前たちは?!
ん?

荒い声のした方角を見やると、

腰を曲げたローブの人物

(おそらく老人だろう)を

守るように毅然と立った男を、

複数の人影が取り囲んでいた。

(追いはぎ……か)
どうかしましたか、カノン
…ごめん、フィリカ。

またあとで連絡する。

人助け、ですか?
さぁね。
ふふ、そうですか。
それではまた。

くすくすと笑うように、

一人でに振動していた石が

もとの動かぬ石になると、

カノンはそれをポケットにしまいこみ、

現場へと駆け出した。

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