蒼海のガンマディオラ

セーズマリットの騒がしい一日(1)

エピソードの総文字数=752文字

 正面に港が見えてきた。

 錨地の奥には街並みが広がり、その向こうには巨大な城壁がそびえている。

 高床式の家が多いようで、階段がたくさん見える。

あれがセーズマリットって街だ。

あそこで物資を補給したら次の目的地に向かうぜ。

そこが仕事先ってこと?

そーいうこと。

ま、ここであたしらがやることはほぼない。

だからラオ、お前に街ってもんを見せてやるよ。

うん。俺も見てみたい。

島のこと以外は知らないから。

そーいうわりには、けっこうこっちの言葉もしゃべれてるじゃん。ラドミール語、勉強したのか?
 ラドミールはこの周辺の陸地と近海を領地としている国家の名前だ。

島には商船がよく来るんだ。

船の人達に教わったよ。

いつか島を出るつもりでいたから。……こんな形で出ることになるとは思わなかったけど。

なるほどね。

道理で島暮らしのわりには知識もあるわけだ。

じゃ、話ばっかりじゃなくて直接見てみようぜ。

うん、頼む。

おーい姉妹!

今からラオを街へ連れてくぞー!

 シュトラは『ガンマディオラ』に上がってきた港の人間と話していた。彼女の前には樽がいくつも置かれていたが、みんなガタガタ動いていた。何か生き物が詰め込まれているらしい……。

お待たせしました。

ガラマザは全部換金してくださるそうです。

そのあたりは船長にお任せしてきましたけど……。

いいんじゃねぇの?

船さえ止まってりゃ元気に動き回れるんだし。

ガラマザって蟹みたいな海魔だよね。

左腕が針みたいになってて、獲物の体液を吸うとかって聞いたことあるけど……。

あたしらにとっちゃ雑魚の部類だぜ。

でもあいつら、たまに腹の中に真珠を作ってる時があるんだ。そいつを内地に住んでる貴族サマが高く買ってくれんのさ。

じゃ、生きていく上ではけっこう重要な海魔なんだね。

そゆこと。

お、フィーネも来たな。

じゃ、出発!

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