いつかのLip service

5:かわいくて、似合うヒト

エピソードの総文字数=1,681文字

連れられて俺たちがやってきたのは、池袋にある大型ショッピングモール。

今日が金曜だということもあってか、人が溢れかえっていた。

来たばっかで、帰りたいオーラ出さないの。
っ……なぜわかった
ふふっ、なんだかだんだんと分かるようになってきたんだよね。何考えてるか。特に分かりやすいし、そのうち穿いてるパンツなんかも分かるようになるかもしんない。
変態だな、気持ち悪いぞ。
ふふ……実は好きなんだよね、その響き。もっと言って~
変態だ
あはは~~~~ うん、やっぱりいいよね、変態
良いとか好きとか言うが、その単語の何がいいのか分からない。言われて嬉しい言葉でもないだろう。それが通じないのだから、アブノーマルな奴だ……

面と向かってこうして罵れる相手というものがいなかった俺はこうしている時間が心地よく感じていた。


そうして軽口を叩きながらもたどり着いたのは、女物のファッションフロアだった。

おい変態、なんだここ
え? 見て分からない? 女性もののフロアだけど
それは見たら分かる。ここで何を買うんだ?
そんなの服屋なんだから服に決まってるでしょ
服って……女物だぞ? あ、そうか、誰かへのプレゼントか?
プレゼント、って……そんな相手いないけど。ってか勝手に選んで服なんかあげたら困るでしょ、違う違う。
まあ……そうだな
じゃあ……他に考えられるのは自分で着る用か。

こいつなら、それもありなんじゃないかと思う。背は俺と同じくらいで170越えているが、顔は女に負けていない、というか、女よりかわいいと思う。うん、かわいい。

? じっと見てどうした?
別に……落ち着かないだけだ。ほら、さっさと買うもの買って帰るぞ。
うん、そうだね。こっち!
そう言われて訪れたのはもっと奥まったところにある、ふわふわとした感じのアパレルショップ。さっきより居心地が悪い……。
おおっ! めちゃくちゃかわいいなこれ。
確かに……かわいいな
へえ、意外……こういう感じがタイプなんだ? 姫系って感じ?
そうだな……こういう服を初デートで彼女が着てきたら……いや、なんでもない
着て来たら……どうなるの? その場で脱がすとか? 青姦?
そんなことするわけないだろう! こんなかわいい服脱がすとかっ……ばかか?
それはそうだね。俺はかわいすぎてムラムラきちゃったらすぐホテル連れてって脱がすけど。
最低だな
ふぅん……そっか、やっぱこれかわいいもんね~~
そう言って眺めた後、みずきは手に取っていたトップスとスカートを元あった場所へと戻した。
……買わないのか?
え? 買わないよ? 見るだけ見るだけ
そうか、俺はてっきり買うのかと思ってたぞ、女物を着る趣味があるのかと思っていた
ふふ、俺かわいいからね、着て欲しいなら着るよ?
着なくていい。男の女装に興奮するなんて、それこそ変態になる。御免だ。
……その言葉覚えといてね?
ああ、俺はノーマルでそんな性癖はないからな。
ふふふっ、性癖なんて後から歪められるのに……
あ、あとリップ買おう、あの先生にあげるやつ。プチプラでもいいのあるんだよね~、色付きで、パケもかわいくて荒れないやつ。
パケ……?プチプラ……? なんの略だ?
パッケージとプチプライス! もうっ、めんどいなあ。ほら、行くよ、こっちこっち!
めんどいとか言われても、初めて聞いた単語だから聞き返しただけなのだが。

そもそもなんで知ってるんだ……


頭に?を浮かべつつ、後に付いて行き、おすすめとやらのリップクリームを買った。

なるほど、かわいくて安いということだ。


夕ご飯もどこかで食べて行こうという話になったが、突然みずきが明日提出の課題があること思い出したというのでまたの機会にすることにした。

なんでも服飾科での課題らしい。そんな学科うちにあったのかと驚愕した。

勝手に文学部と決めつけていたことを言うと、「一応文学部のカテゴリに入るよ」とのことだ。そういう分野に興味があることに初めて知ったし、そういえばオシャレだし洗練されているなと思ったものだ。

だから、女物のファッションなどにも興味を示すのだろう。

今日は課題用の下見か何かだったのだろう。そう思うことにした。

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