マジカルミュージック

巻き添え

エピソードの総文字数=2,791文字

    イチャイチャしている歌音と圭を尻目に明里と悠は個人の時間を過ごしていた。

    その時だった。悠がビクッと反応したのを明里は見逃さなかった。

どうしたの?    悠、何かあったの?
な……何でも……ありません。少し嫌な予感がしただけです
嘘つかないで!!    悠が嘘つく時、視線そらすの分かっているのよ!!
いや……だから、何でもないですよ!!    しつこい女は嫌われますよ、明里
しつこいのは昔からじゃないの!!    それにあなたが隠しているそれは何なのよ!?
本当に何でもないですって!!    これはあれです、圭と歌音さんのせいなんです!!
歌音と圭が何をしたって言うのよ!!     悠はかたすぎるのよ!!    かたすぎるから恋愛IQが低いのよ!!    少しでも本気になってエッチな事考えなさいよ
どうして僕が破廉恥な事考えないといけないんですか!!    この生理現象は、全て圭のせいなんですよ!!
    悠は、自分が発言した「生理現象」という言葉に後悔した。明里は、その言葉に食いつき、ベッドに座り、読書をしていた悠に近づいていき、不気味な笑みを浮かべた。
あの堅物な悠が「生理現象」なんて言葉を発するなんて……。明日は、嵐が来るのかしら……
さっきの発言は僕のミスです。だから、僕に近づかないで下さい。離れて下さい
嫌に決まってるじゃないの♪    それに悠が隠している所はどうなっているのか……説明していただこうかしら♪
嫌です!!
こう言われたら燃やしちゃうしかないね♪     「ファイヤー!!」
うわっ!!
    明里から発せられた炎が悠の読んでいた本に燃え移り、悠はその熱さに手元から離し、ベッド下に投げ捨てた。

    何たる失態。明里は、不気味な笑みを浮かべ、悠に更に近づいてきた。唇に接触するまであと十センチぐらいだろうか……。はっきり言って近い距離に悠は戸惑いを隠せない。

へぇぇ。流石の天才でも性欲には勝てない、って事ね……。悠の変態♪
うるさいですよ、明里。これは、歌音さんと圭のせいです。自分で何とかするのでそこ退いてくれませんか?    それと変態じゃない人間なんてこの世には存在しませんよ……
悠からその言葉を聞けてあたしは嬉しいわ。ずっと恋愛IQが八〇以下だと思ってたから
明里……僕の事バカにしてますよね?
とりあえず、辛いでしょ?    色々とお手伝いしてあげようか♪
けっこうです。間に合ってます
どうやったらいいか分からないくせに……
    図星だ。

    はっきり言って何をしたら治まるのかなんて悠には分からない。こうなっているのは、歌音と圭があんなことやこんなことをやっているからだ。共感覚より「テレパシー」の方が悠にとっては厄介な能力なのだ。圭と同じ感覚を味わうことになる。今もなお歌音と圭のせいで悠は、地獄を味わっているのである。

    これが「地獄」なんだと思い知らされる。キスの感触や舌の感触まで全て伝わってくるし、圭が発情しているせいで悠も巻き添えをくらっていたのだ。

あっ……あのバカ……
悠くん、大丈夫?!    何かして欲しいことないの?    何でもいうこと聞くよ?
はぁっ……。圭と歌音さんが契約を結んだみたいです……。後は、兄妹では僕だけが独り身ですね……
悠がめちゃくちゃエロい!!    何か襲ってしまいそう……
普通逆ですよ……。明里は何も考えてないですね
    そう、明里はいつも無計画で猪突猛進で空回りするのが当たり前になってきているが、今回は事が違う。

    悠が少しでも動けば明里の唇に当たりそうな距離にまで詰め寄られている悠は葛藤を繰り返していた。

    心の中の天使と悪魔がせめぎあう。天使の方は「まだキスしなくても良いよ。明里は大切な女の子だから大事にしなさい」と言い、悪魔の方は「キスしてしまえ!!    そのままエッチもしてしまえばいいじゃないか」と言ってくる。

    しかし、今のところ悪魔が優勢。天使もいれば悪魔がいる。天使だけの人間なんて存在なんてしない。

    悠は、逃げようと明里から顔をそらそうとした。

    しかし、明里はそうはさせない。悠の頬に手を添えたのである。普通男女やること逆じゃない?

ねぇ、悠……あたしからお願いがあるの
何でしょうか?    嫌な予感しかしないんですが……
ねぇ、あたし……悠とキスしたい!!    エッチもしたい!!
バ……バカ!!    僕たちはまだ高校生です。学生のやるべき事は学業です。恋愛に現を抜かしている暇なんてないんですよ!!
でも、悠の大事なところは圭がスケベな事を考えているから反応しているのは分かるわ!!
これ以上はやめてください。僕はまだこのままを維持したいです。明里までおかしくなったらこの世界はおしまいです。だから、これ以上破廉恥な行為はやめてくれませんか?    見ている僕も恥ずかしいです
    悠の頼みとは裏腹に明里は全く意見を聞こうとはしなかった。自分だけが置いていかれる苦しみと辛さを感じた。歌音が圭と契約をした以上、明里も我慢が出来なくなったのだ。もうこのまま世界を終わらせてもいいような気がした。
あたしは本気だよ。悠があたしの事好きになってくれなかったら、またこの世界をループさせるつもりなのだから
それは、僕に対する挑戦状ですか?
元々この世界の主人公はあたしだったの。歌音じゃないのよ。最近、悠は歌音に手を貸してばかり。あたしだって悠が好きだから嫉妬しているのよ
明里が嫉妬するのも分かりますが、僕は明里の発言を聞いていると困る点があるんですよね……
あたしは、悠に振り回されてばかりよ。今回のキスは許してくれるよね?    香苗の予言書には何も記されていないわよね
許されるわけないですよ。勝手に人に死亡フラグを立てるつもりですか?    香苗の予言書に書かれていた事なんですが、僕と明里のキスはまだまだ先の話です
良いもんね。もう勝手にさせてもらうから……キス。悠からしないのならあたしが奪っちゃえばいいんだもの
    だんだんと明里の顔が近づいてくる。悠は、頬に手を添えられているのと変な姿勢になっているのと明里に寄りかかられている為、動けない。

    明里の鼻の先と悠の鼻の先が優しく当たる。

もう逃がさないからね、悠♪
あなたのせいで未来が変わります。それでも良いならキスしてください。あなたが後悔しない自信があるのなら……ですが
あたしが後悔するはずないでしょ!!    もう悠とキスできるだけで幸せよ!!
明里は絶対後悔します。僕は、そう思ってますよ……。僕が死ぬかもしれないのに……あなたは、正気でいられるとは、正直僕は思いません
    明里は戸惑いながらも悠にキスをした。明里のキスに悠も答えてくれたけど何か疑問が残るキスになったのであった。

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