マジカルミュージック

恋と乙女の談義

エピソードの総文字数=2,133文字

    リンゴの果実は、禁断の果実とも言われている。アダムとイヴは、そんな果実を二人で分けあったとさえ言われており、西洋や北欧ではいい印象を持たれていない。日本の人たちは、美味しそうに赤く甘い果実を皮を剥かずに食べたり、皮を剥いて食べたりする。この季節には、旬ものだと農家の人たちは言っていたと思う。

    そんな中、詩織は一人で苦しんでいた。赤い果実の誘惑によって自分の思いが歪められていた。こんな思いを抱いてはいけない、と思っていても自然と心に聡太の事が思い浮かんでは消える事を何度も繰り返していた。

2017/09/09 20:14
そんなはずはない……。南詩織は、こんなに弱い女の子じゃない。私は……誰よりも誘惑に強い女の子なんだから……。だから、誘惑には負けない。恋の誘惑には負けない
2017/09/10 19:09
誘惑には負けない、って言っているけど……。詩織は、絶対聡太くんに恋をしているのよ。早く告白してしまえば良いと思うの。だって、詩織だって女の子なんだから恋をして立派な人になってほしいってあたしは思ってるの
2017/09/10 19:11
真理亜さん……。私は、どうしたら良いのか分からないです。これが恋と言うのなら私はただ恋の誘惑に陥っていると思うんです
2017/09/10 19:14
恋は誰だって落ちるものなの。だから、詩織が可笑しいってことはないわよ。あたしだって大好きなお兄様の行方を探していることだし……
2017/09/10 19:15
そういえば、詩織のお兄様って有名な学生指揮者だったって聞いたんですけど……
2017/09/10 19:17
そうなのよ。正樹お兄様は、あたしの憧れのお兄様なの。共感覚の持ち主で歌音さんと同じ能力なのよ。だから、お兄様を見つけ出してお母様を悪の組織から救い出すの
2017/09/10 19:19
でも、そのお兄様ってどこにいるのか分かっているのですか?    真理亜さん……変なこと考えてませんか?
2017/09/10 19:22
そんなまさか……あたしはお兄様を見つけ出すのが目的なのですから
2017/09/11 11:51
    真理亜は不敵な笑みを浮かべ、部屋から出ていった。一人残された詩織は、再び不安になってしまう。この世界で一人ぼっちで取り残されてしまったかのような恐怖感。  その日の夜、詩織はそのままベッドに踞って眠った。詩織にとっての恐怖は、大切な人が死ぬことと自分が死ぬこと。それだけはさせない、と詩織は心に決めるのであった。
2017/09/11 12:14
嫌な予感がするわ
2017/09/11 12:23
何だよ、歌音。いきなり怖いことを言うなよ!!
2017/09/11 12:23
ごめんね、圭くん。でも、何か事件の予感がする……。誰かがナリスを探している気がする
2017/09/11 12:24
それって、しゃべるぬいぐるみの正体が他にもれてるってことだよな?
2017/09/11 12:26
    歌音は、首を縦に振る。横には振れなかった。このままだとナリスに何らかの被害がもたらされる……と考えてしまったのだ。
2017/09/11 12:27
そっか……。でも、ナリスって何者なんだ?
2017/09/11 12:28
ナリスは……元々は人間なの。言えるのはそれだけよ。それ以上は、言えない。言ったらナリスの正体がバレちゃうから……
2017/09/11 12:29
そっか……わかった。それだけは内緒にしておくよ
2017/09/11 12:42
    歌音は、クラスメイトたちを眺める。今日は、異常が無さそうだ。最近、白川秀の噂も聞かなくなったから安心しきっていた。「眠り姫症候群」も感染力が衰え、いつの間にか終息していた。だから、安心しきっていたのだ。この瞬間までは……。
2017/09/11 12:42
    ビクッ、と歌音が反応を示す。その後、急に怯えたかのような仕草をとる。顔も真っ青である。血の気がひいたかのような表情で見つめる先にあるものを圭は見つめた。その先にいたのは、チューバパートの南詩織の姿であった。詩織は、クラスの中でもムードメーカーの部類に属しているが、今日の笑顔はどこか影があった。歌音は、ほとんどの人が分からない所の変化に気がついていたのだ。
2017/09/11 12:44
リンゴの果実が詩織ちゃんの心に見える……
2017/09/11 13:41
マジで!?
2017/09/11 13:42
多分、無理やり心に干渉されたんだと思うわ。やっぱり犯人は……白川秀さん……
2017/09/11 13:42
あのくそ親父!!    俺のクラスメイトに手を出すとは……何て卑怯な奴なんだ!!    次会ったときは、ぶん殴ってやる
2017/09/11 13:43
敵はみんな卑怯だよ。でも、嫌な予感がするわ。気を付けておかないと……
2017/09/11 13:44
    歌音は、詩織の後ろ姿を眺める。いつも通り、詩織は羽山織音・勝浦 真理亜と一緒に話しているが、会話の内容までは喧騒に消されていて聞こえてこない。そんな喧騒を打ち消すかのように事件は突然やってくる。白川秀の脅威は、消えたかと思っていたが、そんな事はなかったのだ。歌音は、この事を前の周回でも同じ事を経験しているのだ。だからこそ、詩織の誘惑の行動には気をつけないといけない。
2017/09/11 13:45
アダムとイヴのような事態にならなければ良いんだけどね……
2017/09/11 16:28
アダムとイヴってどんな話だった?
2017/09/11 16:30
リンゴの実の花言葉は、誘惑。アダムとイヴは、一つのリンゴの果実を二人で分けあった。これは、有名な話なのよ
2017/09/11 16:30
禁断の果実の呪い……ってところなのか?
2017/09/11 16:38
そうなるわね……。でも、まだ被害は出ていない。それでも、詩織ちゃんは何らかのアクションを起こしてくるに違いないわ。そうなる前に私は、手遅れになる前に詩織ちゃんを止めてみるわ
2017/09/11 16:39
それでこそ歌音だ。今回も俺は、お前のこと応援するからな♪
2017/09/11 16:44
    何の表情も顔に出さない詩織であったが、後に心に渦巻く思いが爆発するとはこの時、誰も予想していない。

    この先、何が起こるのかも誰にも分からない。それが、この世界の現実だから……。

2017/09/11 16:48

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