ハロウィンナイトカフェ

中ほどのテーブル席3「青年たちの決起会」阿嘉鼠

エピソードの総文字数=1,923文字

「青年たちの決起会」阿嘉鼠

今日こうしてお前らに集まってもらったのはほかでもない。

以前から計画していた『第三回ハロウィンの夜に女の子をナンパして彼女をゲットしよう大作戦』をついに実行するときがきたからだ




思えばこの計画も今年で三年目か。随分と長いこと続けてるもんだな


にもかかわらず未だに誰ひとりとして童貞を卒業できてないってどういうことだよ


今年も手当たり次第にナンパして女の子と甘い一夜を過ごすため、お前らにはそれぞれ事前に仮装の準備をしてきてもらっている。

なので、今からその仮装について解説を交えながら本作戦における自身の行動指針を述べてもらおうと思う。お前たちの方針を知らなければ、サポートもできないからな



OK


任せろ


じゃあ、最初に優斗




俺が今回選んだ仮装は――『神父』だ




神父? お化けですらないぞ?




何か理由があるのか?




ああ。というのも今回のハロウィンで俺はターゲットを『ゾンビ』の仮装をしている女の子に絞りたいと思っている


なるほど


いいよな、ゾンビっ娘。ボロボロの服で地味に露出が高くてさ、特殊メイクの不健康そうな青白い肌が実にエロい



しかしなぜ、神父の仮装がゾンビっ娘攻略につながるんだ?




ふっふっふ。分からないか?




ああ。まったく




ふぅ……だからお前はモテないんだよ




余計なお世話だ




神父といえばエクソシストだ。ゾンビを浄化する能力を持つのは昔から神父と相場が決まっている




お前、まさかっ……!


そう、そのまさかだ。俺は神父の立場を利用して――女の子に聖水と称して大量の水をぶっかけ、身体をお触りして浄化してやるのさ!

なんと……!




策士だな




どうだ、見事な作戦だろう?




ああ。度肝を抜かれた。お前のナンパの成功はもはや約束されているといっても過言ではないだろう




そうだろうそうだろう




じゃあ、次は修也




俺は今回のハロウィンで――『ピカチ○ウ』の着ぐるみを着ようと思っている




着ぐるみだと!?




そんなものを着たら素顔が隠れてしまってナンパどころじゃなくなるぞ!




……くくく。お前らは考えが甘いな




どういう意味だ?




そもそも俺たちが今までモテなかったのはどうしてだと思う?




それは――




本当はお前らも気づいているはずだ。俺たちは――ブサイクだと




お前! 言ってはならないことを!




しかし事実だろう?




くっ……!




そこで俺は考えた。顔に関係なく、女の子にちやほやしてもらうにはどうすればいいのか?




なるほど。そこで出た答えがキャラクターの着ぐるみというわけか




ご明察




だが、着ぐるみを着ている状態でナンパをするのは難しいぞ?




バカめ。お前は本質がまるで見えていないな。たしかに着ぐるみではナンパできないかもしれない。だがしかし俺が着ぐるみを着ていれば……女の子のほうから抱き着いてきてくれる可能性がある!




!!




団体さんに写真撮影を頼まれれば、女の子を両脇に抱えることだって可能だろう。俺はナンパを諦める代わりに……大事なものを手に入れたんだよ




天才か




目から鱗だぜ




そうだろうそうだろう




じゃあ、最後に俺だな




健太はどんな仮装をするつもりなんだ?




俺が今回用意してきた仮装は――これだ




これはっ!?




シルバートレイだったか? 給仕の人が使うただのお盆じゃないか……ってもしかしてお前!




ああ。ご想像の通り。俺は――『ア○ラ100%』の仮装をしようと思っている




変態じゃないか!




下手したら警察に捕まるぞ! やめておけ!




……待ってくれ。よく考えてみてほしい。たしかに平日にこの仮装をすればそれは変質者と変わらないだろうが――今日はハロウィンだ。警察だって多少のことは大目に見てくれるとは思わないか?




健太……




ここまで来て隠すのもなんだから暴露してしまうが……俺には露出癖がある。そんな俺にとって、ハロウィンというのはまさにうってつけの舞台だ。ローリスクで露出し、複数の女の子に見てもらうというハイリターンも得られる




……わかった。お前がそれほどの覚悟を持っているというのなら、もはや何も言うまい




ああ。俺たちはお前を応援するぜ




ありがとう、優斗、修也!




おっと。そろそろ時間か




もう表ではパレードが始まってるみたいだな




それじゃあ行きますか……俺たちの戦場に!




彼らが警察に取り押さえられたのはそれからすぐのことであった。

日本の警察は優秀なのである。(完)

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