マジカルミュージック

レッスン室の微睡み

エピソードの総文字数=2,522文字

    チューバの太い音色がレッスン室に響く。聡太と詩織は、一緒に「三日月の舞」の激しい演舞の場面を奏でていく。

    しかし、詩織は上の空だった。上の空で奏でているのか音も跳ねないし、ずるずると引き摺っているようにみえる。聡太は演奏を止めても、詩織は上の空で奏でていく。聡太はため息をついた。

2017/09/08 22:03
詩織!!
2017/09/08 22:08
はっ……どうしたんですか?
2017/09/08 22:09
俺が演奏を止めているのに気がつかなかったのか?
2017/09/08 22:09
すみません……気がつかなかったわ……。聡太さん……怒ってます?
2017/09/08 22:10
ちょっとだけ……
2017/09/08 22:11
すみません……
2017/09/08 22:11
詩織は、俺に何か隠し事をしているだろ?
2017/09/08 22:11
    詩織は、聡太から目をそらす。違う方向に視線を移動させ、何もなかったかのような振る舞いをしている。
2017/09/08 22:12
そんな事はありませんわ。私は、いつだって聡太さんに隠し事なんてありませんわ。今回もそうです。どうして私の事を疑っているのですか?!
2017/09/09 00:13
いや……だって、詩織って嘘ついている時、視線を合わせないし……。今だって視線が合ってないし。悩みなら俺が聞くし、二人で解決した方が早いだろう?
2017/09/09 00:15
本当に何でもないから!!    聡太さん……しつこいですわよ!!
2017/09/09 00:16
分かった……。これ以上は聞かない。ちょっと俺、お手洗いに行ってくるわ……。何かお腹の調子が悪いから……。ちょっと悪いけど詩織一人で練習しててくれるか?
2017/09/09 00:17
分かったわ。聡太さん……早く行かないと……
2017/09/09 00:19
や……ヤバい……。漏れる……マジで頼んだぞ!!
2017/09/09 00:20
    聡太はお腹を押さえ、レッスン室を飛び出していった。詩織一人残されたレッスン室には、空調の音だけが響いており、詩織は違和感を覚える。このまま、詩織は椅子に座り、微睡んでしまったのだ。しばらく誰も来ないと思っていた詩織は、何故か夢世界に飛ばされてしまったのだ。
2017/09/09 00:20
何でいきなり夢世界に飛ばされないといけないの?!    ここは、誰の夢世界なのよ!!
2017/09/09 00:23
    赤い液体があちらこちらにこびりついており、詩織はしゃがみこみ、それに触れる。何と生臭いし温かい……。詩織は、気持ち悪さを堪えた。ここは、誰の世界なのか……。  詩織は、吐き気を堪えながら立ち上がった。立ち上がったのはいいけどふらつき、倒れそうになった。詩織は、次に来るのは痛み、だと思い、目を瞑ったのだ。しかし、痛みはなかなか来なかった。身体に感じたのは、人肌の温もりであった。

    顔を上がると眼鏡の男性が詩織ににっこりと微笑みを見せる。

2017/09/09 00:29
助けてくれてありがとうございます。あの……あなたは誰でしょうか?
2017/09/09 00:35
俺は、名乗るほどの名前ではありませんので大丈夫ですよ……マドモワゼル
2017/09/09 00:36
名乗れないのね……。あなたは、私の事を知ってますよね?
2017/09/09 00:37
もちろんですよ、マドモワゼル……南詩織さん。俺は、あなたのチューバの音色を聴いて助けてあげたいと思ったのですよ。何か悩みありますよね?    例えば、愛しているのに告白できない……そんな感情を抱いていますよね?
2017/09/09 00:38
あなたは、私の事をどれだけ知ってますの?    あまりにもストーカー過ぎませんか?
2017/09/09 12:32
おやおや……警戒されてしまいましたね……。俺は、あなたを助けるためにとあるものを用意したんですよ
2017/09/09 12:33
    男の手元には、真っ赤なリンゴが持たれている。詩織には、よく意味が分かっていない。この男は、危険な狼以上の人だということに詩織は気がついていない。この詩織の思いを踏みにじるぐらいの思いをこの男は、実行しようとしている。
2017/09/09 12:34
リンゴ?    どういうことですか?
2017/09/09 12:52
これをあなたにあげます。リンゴの実の花言葉は、誘惑。あなたにぴったりな花言葉です。國山聡太さんを誘惑して、自分のものに出来ますよ。あなたは、國山聡太さんを自分だけのものに出来ますよ。リンゴの果実をアダムとイヴが分けたように……あなたと國山聡太さんで分ければいいんです。それでは、俺はこれで失礼します。國山聡太さんと恋をしてくださいね
2017/09/09 12:52
ちょっと待って……私は、聡太さんに告白なんてしないです!!    告白すると私は……ってもういない!!
2017/09/09 12:58
    詩織の手には、リンゴの果実だけが残されていた。手の中にあったリンゴの果実は、弾けて手元から消え、詩織の心の中に入ってきた。どす黒い感情が次々と芽生えてくるが、夢世界の外から呼ぶ声に詩織は反応を示す。聡太の声だ。早く戻ろう。

    詩織は、自らの能力を解くとレッスン室に戻っていた。目を覚ますと聡太の顔が目の前にあった。

2017/09/09 12:59
聡太さん……もしかして、私寝てましたか?
2017/09/09 13:54
うん……ぐっすり寝てた。俺が保健室へ正露丸貰いに行っている間に……
2017/09/09 13:55
この臭いは正露丸だったんですね。正露丸の臭いはあまり好きになれないけど……効果はありますからね♪
2017/09/09 14:26
そうそう。「良薬は口に苦し」って言うからな。そこは我慢かな?
2017/09/09 14:55
そうですね。それより聡太さん……早く練習をしましょう♪    私が寝ていた時間と聡太さんがトイレに行っていた時間を取り戻さないといけませんから。歌音さんに見られていたら何と言われるか分かりませんからね
2017/09/09 14:55
    詩織は、チューバを構え、マウスピースに息を吹き込み、音を鳴らす。聡太もチューバの音を鳴らす。二人の音色は、重なりあう。しかし、感情は重なりあわない。逃げては追いかける鬼ごっこのような音色がレッスン室に響き渡るのであった。
2017/09/09 14:57
    その頃、
2017/09/09 14:59
正樹と真理亜……あの二人は、あたしに従ってくれないの。どうしたら良いと思いますか?こんなにも親不孝な娘と息子に育てたあたしが悪いのでしょうか?    正樹はぬいぐるみに変えたのに持ち去られましたし、真理亜はあたしの言うことを聞かない。反抗期なのでしょうか?
2017/09/09 15:00
そんな事はありませんよ。雅美さん、真理亜さんもぬいぐるみに変えてみてはどうでしょうか?    多分、これでミラージュ音楽高等学校吹奏楽団の見せしめにもなりますし、鈴鹿歌音さんにもいい意味で能力発動のきっかけにもなりますから
2017/09/09 15:03
分かりましたわ、秀さん。真理亜を必ずぬいぐるみに変えてみせますわ。ミラージュ音楽高等学校吹奏楽団は、私たちにとっては邪魔な状態です。神に誓ってでも今回の任務を遂行しますわ
2017/09/09 15:04
    不気味な男女の笑みが溢れていたのを歌音たちミラージュ音楽高等学校吹奏楽団は知らない。世界は闇に包まれ始める。
2017/09/09 15:06

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