『みじょかもんの祈り ー 心の貧しい人は幸い? ー』

04. 「次にやってきた絶望。」

エピソードの総文字数=1,362文字

病名は「潰瘍性大腸炎」だった。

安倍晋三総理大臣も患い、第一次安倍内閣が解散した大きな原因だった難病指定の病気である。

最初、私も「えぇ!?同じなの??」と思った。
「お腹が痛いだけで辞めただけで、総理大臣辞めたの?勿体ない。そのくらい我慢して続けたら良かったのに!」と思っていたからである。

しかし、病気の内容は、普通の腹痛と違っていた。

大腸の粘膜に炎症を起こし、血便、粘血便を伴う下痢が続く。

まぁ、いわゆる大腸の中が血だらけになっていて、傷口だらけという感じだ。

本来、味方であるはずの自分の免疫が自身を攻撃するのだから、たまったものではない。

炎症が広がれば、最悪、大腸を全て摘出することになる。

ガン発症率も高い。

詳しい病気の原因は、未だ分かっていない。
全く困ったものである。

今現在、分かっていることと言えば、「ストレスと食生活の乱れ」ではないかということだ。

ストレスでなんて、、、恥ずかしいことだし、ストレスで病気になったと思うのは、辛い。

自分が「弱い存在」であると認めるようなものだからだ。

弱いから・・・気持ちが追い詰められるようになる。
弱いから・・・体に変調をきたす。

なんじゃそりゃ、せっかく生きてきて、自業自得で破滅の道へ向かってしまうのか!?

ただの平凡な人間だと思っていた私は、平凡ではなく、「弱い人間」だったのが身に沁みる。

大腸の中で、免疫が自分を攻撃し、ただれ、膿が出る。
自分自身を傷つける。
弱い自分が自分を痛めつける。

これから、ずっと病院に通わなければならないのか。
8錠もの大粒の錠剤を毎日、毎日飲まねばならない。
酷かったら、座薬を入れなければいけない。

お金も掛かれば、通院する時間も取られる。
今のところ、死ぬまでだ・・・。
完治することがない病気だと言われている。

そりゃ、自分より、もっともっと病状が悪い人もいることだろう。
もっと、日常生活に支障をきたす人もいるだろう。

そのくらいで嘆くなよと言われるかもしれない。

現実、自分の身に不幸が襲ってきたら自分のことしか考えられないのだ。
目の前が真っ暗になる自分は、所詮、「心が、ちっぽけな人間だよぁ」なと思う。

数ヶ月、薬を飲んでいくと、潰瘍性大腸炎の症状は軽くなった。

症状が軽くなっても、今ある現実は変わらない。
時々、思い出すと、ひどい下痢に悩まされる。

この東京に来て、一年経っていない。
これ以上、仕事を休むことに後ろめたさを感じる。

いや、それを理由に、仕事の辛さから逃げたかったのだと思う。

そうして、学校に「辞める」ことを伝えた。
一大決心ではなく、ただ逃げの一言だった。

学校側は、心配もしてくれた。
丁寧に対応をしてくれた。

しかし、一度、壊れてしまった歯車を直す底力は、この時の私には残っていなかった。

将来のことは全く考えていなかった。
失業保険などの書類を学校からいただき、私は家で療養することになる。

・・・ホッとした。

ホッとしたのだ。

・・・・・何も考えなくていい。

・・・何も考えなくていい。

何も考えなくていい時間は、ほんの一瞬だった。

次に、待っていたのは絶望だった。

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