マジカルミュージック

圭の豹変

エピソードの総文字数=2,614文字

    圭は、奏斗を厳しい視線で睨み付けた。その殺意に歌音は戦いた。完全に圭が奏斗に敵意を丸出しにするなんて今まで無かったことだ。

    奏斗は、そんな事どうでも良いのか歌音に話しかける。

2017/10/30 18:18
何だ、こんなところで遊んでいる暇があるのかな?    鈴鹿歌音の学校の吹奏楽団は、破綻状態だと聞いているが……
2017/10/30 20:26
だいぶ立て直してきているわ!!    あなたにつべこべ言われる筋合いはないの!!
2017/10/30 20:27
じゃあ、こちらもやりがいを感じるよ。同じ学生指揮者として誇りを感じる
それは、ありがとう
    歌音と奏斗……。同じ学生であり、学生指揮者である。話が合うのは当然だ。

    しかし、圭はそれが気にくわない。どうしてこんなにも普通に異性と話せるのか……。圭は、奏斗に嫉妬の念を覚えた。モヤモヤして気分が悪い。

    圭は、二人の話に割って入り込んだ。

……っていうか、相川!!    俺と歌音はデート中なんだ!!    今日は一体何の用事なんだよ!!
そんなに怒るなよ、白川圭。今日は、鈴鹿歌音にとんでもない事件が横行しているから教えに来たんだよ
とんでもない事件?
それがどうしたんだよ!!
    奏斗は、神妙な表情を浮かべ、歌音に耳打ちした。
松島の方の高校の吹奏楽部の顧問がとある総譜を見ていたそうだ。その時にいきなり正気を失ったそうだ。その後、いきなり炎に包まれた
えっ!!    相馬先生何も言ってなかった!!
昨夜起きた事件だ。その顧問は全身大火傷を追って今も意識不明の重体。鈴鹿歌音も謎の男とその総譜に気を付けるんだ。次は、合同演奏会の舞台の上で会おう
ま……待って!!
    歌音は、奏斗を追いかけようとした。

    しかし、圭はそれをさせなかった。歌音の手首をがっしりと掴み、奏斗を追いかけられなくしたからだ。

    歌音は、無駄な抵抗をしたが、奏斗の姿が人に紛れ、見えなくなると抵抗するのを諦めた。

    それでも圭は歌音の手首をがっしりと掴んだまま離さなかった。

あ……あの、圭くん。そろそろ離してくれないかな?
何故、離さないといけないんだ……
えっ……それは……恥ずかしい……からかな?
そんなはずないだろ!!    歌音はそうやって色々な男の人に笑顔振り撒いて!!    俺の事どう思ってんだよ!!    そろそろ答え出せよ!!
    いきなり圭が激昂した。歌音は、驚きを隠せない。圭が歌音の手首を握る力を強める。
い……痛いよ……。圭くん……一体どうしちゃったの?!
どうもしてない。俺だって怒るときぐらいあるんだよ!!
私、圭くんに何かしたの?    何かしたのなら謝るし、何でもするから!!
    歌音の「何でもするから」という言葉のチョイスを間違えたかもしれない。とてもではないが、圭の表情が落ち着くのを歌音は確認した。

    しかしだ。歌音は見逃さなかった。圭の瞳が何時もの優しいルビー色では無いことに……。ピンク色に妖しく濁った瞳で見つめられた歌音は激しい悪寒を感じた。

    嫌な予感しかしない。

    圭は、歌音の手首を掴んだまま歩き出す。圭の歩くスピードは何時もより早く歌音の事を全く考えていないものであった。

圭くん……どこに行くの!!
……
ちょっと、何か言ってよ!!    圭くん……どうしたの?!    一体何があったの?!
全部お前が悪いんだよ……歌音
    圭の行動が全く読めない。周りの人たちは、歌音と圭の異様な行動をまじまじと見られ、歌音は相当恥ずかしい思いをしてついてきた。

    しかし、次の瞬間歌音の血の気がひくことになる。目の前には、如何わしい雰囲気のホテルがあり、ロビーも如何わしい感じのピンク色に包まれた世界が広がっていた。

ちょ……ちょっと待って!!    圭くん……ここがどういう意味なのか分かってるの!!   私たちの関係がこんな事をして戻るなんて事はないわ
だから俺はお前を奪う。全ての人から……
圭くん……本当に何を考えているの?!    今の私には理解できないわ!!
今は分からなくてもいいよ。店員さん、キングサイズのベッドのある部屋を一部屋一日借りたいのだが……
畏まりました。五階の七号室の鍵です。では、今晩はお楽しみください
    歌音は、ある言葉でここの意味が分かる。「キングサイズのベッド」という言葉で歌音が圭に連れてこられた場所の意味に気がついた。

    慌てる歌音を後目に圭は歩みを進める。今日、歌音は犯してはならない罪を圭と一緒にしてしまうのであろう。

    「契約」以上のことになると多分一成に怒られるだろう。それとも歌音と圭の行方を追って何人かの友人たちが動き始めているかのどちらかであろう。

    いつの間にか部屋に着いていた。歌音は恐れおののいた。圭の様子がおかしい。瞳の色がピンク色のままだし、何かに欲情しているかのような妖艶な表情を浮かべ、歌音に近づいてくる。

ちょっ……圭くん!!    冗談はやめてよね!!    どうしてそんなに迫ってくるの……
それはだな……
どうして……
俺がお前の事が好きだからに決まってるだろ!!
でも、圭くん……。私も圭くんのこと好きだよ。仲の良い友達として大好きだよ
歌音の言っている「好き」と俺の言っている「好き」が相違している……
えっ?
    歌音には全く分からない。

    何故、圭がこんなにも迫ってきているのかも理解できない。

    歌音は、圭のことは「友達として大好き」と思っている。そう心に決めている。

    でも、それを思っていると謎の苦しさを覚える。その正体を歌音は知らない。

これは、ずっと言えなかった事なんだ!!    でも、今の俺には出来るんだよ!!    アネモネの力を借りている以上は、失敗できないんだよ!!
違うよ!!    圭くんは、アネモネ財団に貶められているだけよ!!    私に全てぶつけた所で全てが解決するとでも思ってるの? 
うるさい!!    歌音、次うるさくしたらその口を塞いでやる……
    圭の豹変に歌音はついていける訳がない。今にも触れそうで触れないような距離を歌音は保つことで何とかしているが、時間の問題だ。

    誰か来てくれる事をただひたすら祈ることしか出来ない。

    圭の呪いの解除方法が分からない歌音は、圭から少しでも距離をとるように後退りしていくばかりだ。

    歌音は、友人と恋人の狭間でさ迷っている……。

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