魔界の姫と二匹の黒猫の物語

第二話 千載一遇の好機ゆえ

エピソードの総文字数=1,151文字

……で?

あんたら揃いも揃って、何で猫なんかに変身してるのよ?

話せば長くなるのですが、かいつまんで言うとベリアルのせいですね。

何を言う。

お主も割と乗り気だったであろう。

てか、ちょっと待って。

なんつーか……。

わかりにくい。

どっちも黒いし。

あら、姫様。それは心外です。

同じ黒猫とは言え、より気品に溢れ美しいのが私、アシュタロトでございます。

愚かなり、アシュタロトよ。

お嬢にそんな高い知性や識別能力があるわけなかろう。
ピーマンとパプリカの区別さえつかぬお方だぞ。

うん、失礼な方がベリアルだってのは分かったわ。

しかし困りましたね……。

では、これならいかがでしょう。実際のところ私は猫のままですが。

フン、たしかにこの方が、お嬢のような想像力のかけらもない者には分かりやすいやもしれぬな。

実際のところ我も猫のままであるが。

うん、何かよく分からないけど、分かりやすくなった気がする。

……で、どうして二人とも猫に変身したってわけ?

出発する時に、魔王様が悪魔のままだと何かとアレだから、好きな姿に変えてやろうと仰って下さいまして。

このアシュタロト、お心遣いに感激してしまいました……!

ふーん。

修行のためだから、人間の姿ではお供をさせない……ってわけね……。

いえ、人間の姿でもいいとのことだったのですが……。

は?

じゃあ人間にすればよかったじゃない。

「一度ミカン箱で寝てみたかった」という強い要望が一部からありまして。

ベリアル……。

あんたねえ……。

千載一遇の好機ゆえ、逃すわけにはいきませぬ。

何卒ご理解賜りますよう。

私は止めたのですが、何分ベリアルの聞き分けがなく……申し訳ありません、姫様。

何を言うか、アシュタロトよ。

「どうせなら黒猫がいい~♪ 可愛いし、小悪魔って感じ?」
などと申しておったではないか。

……。

ま、まあ、それはともかく……!

大切なのは……そう、今後のことです!

ま、言われてみれば、そりゃそうね。

ベリアル、あんた周りを調べたって言ってたわよね?

近くに人間の気配はありませぬが、山を越えたところに里がある模様。

人間の里……。

とりあえず、まずはそこに行ってみるしかないわね。
アシュタロト、転移魔法の準備を。

それが姫様……お伝えするのを忘れておりましたが、魔法は使えないのです。

ほえ?

どゆこと?

人間界に旅立つにあたって、魔王様が魔法を使えないように封印されたのです。

「旅が終わる頃には解けるであろう」と仰っていました。

はあ?

じゃあ魔法も使えないただの猫二匹と、か弱い女の子だけで生き延びろっていうの!?

獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすと言いますからな。

さすが魔王様でありますな。

うっさい、ベリアル!

何の役にも立たない猫のクセに!

ニャ~オ

ったく、どいつもこいつも、ッざけんじゃないわよ!

あのクソ親父……鬼! 悪魔!!

◆作者をワンクリックで応援!

0人が応援しました。

◆コメント欄は未記入でもOK! 公開されないのでお気軽に。

ページトップへ