黄昏のクレイドリア

2-5

エピソードの総文字数=862文字

そもそも何であたしの血なわけ?
どうせ脅迫するなら、他の魔術師とかの方が
都合がよかったんじゃないの。
それはこっちが聞きたいくらいだ
どういうこと?
あんたの血は尋常じゃない魔力を内包している。
その辺の魔術師なんて目じゃない位にな。
……ダルダル草を毎日、城一つ分食べる趣味でもあるのか?
あるわけないでしょ…。
というかあの草あんまり好きじゃないし……。
? あんたも魔術を扱うなら、
ダルダル草は摂取するだろう?
…何を食べようが、あたしの勝手でしょ。
それもそうだな。だが……
イーリアスは荷物袋から、緑色の、
沼のような液体が詰められた、細長い小瓶を取り出した。

飲め。
何これ?
鼻をつきぬけるような刺激臭と青臭さ、
その他形容しがたいものが交ざった悪臭がする。
普通の人間なら真っ先に廃棄するべき物体の臭いだ。
カノンはそう思った。
ダルダル草にその他諸々、
魔力を多く含有した可食物を配合した
魔力回復薬だ。
あんた人の話聞いてた?
お前こそ立場をわかっていないのか?
普段ダルダル草を摂取していないなら、
摂取した状態の血液も確認しておくべきだろう。
いやいやいやいや、その薬、
人が体内にいれていいものに見えないんだけど
俺はいつも飲んでいる
…………わかった。
飲めばいいんでしょ、飲めば……

…うヴッ!
臭いが悪くとも、もしかしたら味はマシかもしれない。
そんな淡い望みはあっさりと消えていった。
何コレ匂い通りの味しかしないいやそんなこと
ないしかも生臭いっていうか血生臭い!なんで
血が入ってるの?ていうかなんの血なワケ?!
今すぐこの悪辣なヘドロ吐き出してしまいたかったが、
宿を上がった記憶が無い為に吐き捨てるべき場所の所在もわからず、
彼女の良心が宿の人間に迷惑をかけることを躊躇った。
故に文字通り涙を呑んで、カノンは舌触りも最悪だった物体を呑み込んだ。
ぜぇ……ぜぇ……
…あの、これは、ダメ、無理。勘弁して。
これならダルダル草をそのまま食べたほうがマシ……。
そんなに悪い味だったか…?
…わかった。譲歩しよう。
天然のバカ舌とか信じられない……。
ほんと魔術師ってサイテー……。

◆作者をワンクリックで応援!

0人が応援しました。

◆コメント欄は未記入でもOK! 公開されないのでお気軽に。

ページトップへ