マジカルミュージック

歌音の恋心

エピソードの総文字数=2,313文字

    歌音は長い長い夢を見ているかのようだった。ずっと重たい身体と瞼。昔の懐かしい記憶まで甦ってくる。歌音は、昔仲の良かった三つ子の兄妹がいた。歌音と同い年で音楽をやっている少年少女たちだったと思う。

    その時、歌音は出会った時に一目惚れしてしまった人がいた。その人は、ぶっきらぼうで気が強くて歌音をいつも守ってくれていた三人兄妹で真ん中の男の子であった。

    いつの間にか目の前が真っ暗になり、歌音は古びた洋館に一人取り残されていた。ビリビリに裂けたカーテンに粉々に割れた食器などが散乱しており、洋館の天井には大きな穴があいていた。これが、歌音の衰退していた頃の夢世界なのかもしれない……。歌音は、自分が怖くなった。昨日の夢の影響か背中が激しく痛む。

    その時、誰かの呼ぶ声が夢の中に響いた。誰の声か分からないが、歌音の愛している人の声だ。そのまま伸ばされた手を取り、歌音の意識は徐々に浮上していった。

2017/09/15 22:19
う~ん……頭痛い……。気持ち悪い……
2017/09/15 22:34
歌音……良かった!!    俺、めちゃくちゃ心配だった。そして、昨日のあれはごめん!!    土下座しても許してくれないかもだけどごめん!!
2017/09/15 22:35
昨日のあれって何だった?    もしかして、詩織ちゃんの夢世界で起きたこと?
2017/09/17 09:04
あぁ、そうだ!!    俺がしっかりしていなかったから歌音を守れなかった……だから、許してくれ!!
2017/09/18 10:46
    歌音はなんの事か分からず、何の返事もすることが出来なかった。夢の中で死んだ記憶はあるが、今は現に生きているのだから。あの中で大ケガを負った歌音の記憶は、曖昧になっているのが歌音自身も分かった。

    しかし、ここまでは覚えている。歌音が圭を庇ったところまでの記憶はある。痛みは、今もあるものの昨日ほどではなかった。

    昨夜の寝ているときの痛みは酷くて歌音は何度も目を覚ました。明里にお願いして湿布を貼ってもらった記憶も微かに甦ってくる。

2017/09/18 13:39
別に怒ってないわ。ただあの夢の中で圭くんに怪我がなくて良かった、と思うわ
2017/09/18 13:44
そんなことない!!    あの時、俺は何も出来なかったんだ!!
2017/09/18 13:46
違うわ!!    あの時、何も出来なかったのは私もなの!!    痛みや飢えで苦しむ人々に何も出来なかったの!!    だから、今回の報いは当然の事なの!! 
2017/09/18 13:47
歌音……その記憶は?
2017/09/18 13:49
あっ……ごめんなさい……。六年前の記憶よ……。忘れたいのにごめんなさい
2017/09/18 13:50
    歌音は、そのあと何も言えなくなり、下を向いてしまう。誰もが忘れたい記憶なのに……。歌音もあの日、一成と一緒に電車に乗り込んだ。そして、事件に巻き込まれた。生き残ったのは、四十四人。それ以外の乗客はみんな亡くなった史上最悪の鉄道事故の事だった。何度忘れようとしても記憶が甦り、苦しくなる。

    そして、今もその夢の断片を見たことになる。苦しい……。

2017/09/18 13:52
いや……俺も同じ列車に乗っていたから忘れない
2017/09/18 13:59
私、あの時食料を分けてもらったの……。ぶっきらぼうだけど優しい男の子にパンと水を分けてもらったっけ……。その子に今でも恋をしているの……
2017/09/18 14:00
そうなのか?
2017/09/18 14:01
うん。今でもとても大好きなの。もし、出会うことが出来たなら告白したいぐらい
2017/09/18 14:02
そっ……そっか。歌音も十五歳だし好きな人の一人や二人はいるよな……
2017/09/18 14:04
一人や二人って……私がビッチみたいな言い方しないでよね!!
2017/09/18 14:05
ごめんって
2017/09/18 14:06
    圭は笑顔でそれを否定した。しかし、心の奥底では、歌音が好きな人を嫉妬していた。この思いがまだ伝わっていない圭からするととても辛くて苦しいものなのである。
2017/09/18 14:07
はぁ~(  -。-) =3    恋って辛い……
2017/09/18 14:09
えっ?
2017/09/18 14:32
何でもない!!
2017/09/18 14:33
    圭は断固として拒否した。しかし、内心は嫉妬というどす黒い感情を抱いていたのである。この思いは、ずっと隠しておくべきだと圭は思ったのである。圭の思いは、歌音にはなかなか届かない。この思いはいつ伝わるのだろうか。
2017/09/18 14:33
歌音のバカ……いい加減俺の気持ちに気がつけよ……
2017/09/18 14:37
えっ……私圭くんの事友達として好きだよ?    それのどこがいけないの?    私が好きなのは、あの日助けてくれた男の子なのよ……
2017/09/18 14:41
その助けた男の子って?
2017/09/18 14:44
すごくぶっきらぼうで優しい男の子だよ♪    圭くんみたいな子だったな……
2017/09/18 14:45
何か俺……バカみたいに思えてきた……
2017/09/18 14:46
えっ……何が?
2017/09/18 14:48
もういいよ……。そろそろゆっくり休みなよ。まだ体調が良くないんだろ?
2017/09/18 14:48
そうだね……おやすみなさい、圭くん
2017/09/18 14:49
    歌音は、再び眠りについた。圭は、しばらく歌音の様子を見ていた。すると、圭の後ろから戻ってきたもう一人のこの部屋の主に声をかけられる。
2017/09/18 14:56
いい加減に圭から告白したらいいのに……
2017/09/18 14:57
明里かよ……驚かせるなよ!!
2017/09/18 14:57
あたしは、驚かしたつもりはないのよ。ただ、圭がどのように動くのか悠と予想していた。また、告白できなかったのね……。圭は、とんだヘタレなのね
2017/09/18 14:58
ヘタレ言うな!!    悠だって初でヘタレじゃないか!!
2017/09/18 14:59
そうなのよね……。兄弟って似てしまうものね……
2017/09/18 15:00
    明里は、圭を哀れな目で見つめてくる。圭だってそれぐらいは分かっている。
2017/09/18 15:01
俺を憐れむような目で見るな。俺だって歌音が好きな気持ちは誰にも負けていない。だから、俺だってやれば恋愛ぐらいできるんだよ!!
2017/09/18 15:02
じゃあ、惚れ薬とか使って落としたらいいんじゃないの?
2017/09/18 15:03
そんな酷いことや卑怯な事はしたくない。自然な形で歌音に思いを伝えられたらそれでいいんだ
2017/09/18 15:04
そんなこと言っていたら歌音、他の男にとられちゃうぞ♪
2017/09/18 15:05
    圭は、一瞬固まってしまった。歌音が他の人の恋人に……、と考えたのだ。それだけは、考えたくなかったのに……。圭は、不安そうな表情で眠る歌音を見つめたのであった。
2017/09/18 15:05

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