フェンリル娘と始める異世界生活

15話:銀狼族≪フェンリスヴォルフレイス≫の少女

エピソードの総文字数=2,704文字

全員様子を見るぞ! 加勢が必要かわからねえ! 下手に混ざっても足手まといかもしれねえぞ!何せ、相手はDランクの「暴風」だ!
フェンリスヴォルフレイスの「暴風」とはえらいのをひいたな。

たしか「暴風」って賞金かけられてなかったか?

賞金といっても、注意勧告の補導援助金なんだな。

協会から注意したいから連れてきてくれってやつだ。

犯罪者の賞金首とは話が違うんだな。安いもんだ。

暴風っていうのがあの娘の呼び名みたいなもの?

あとフェンリスヴォルフレイスっていうのは種族?

暴風は協会や他の開拓者が決めて定着した二つ名なんだな。

普通Cランクになってプロとして扱われ始めてから有名になって行って二つ名がつくって流れなんだが、「暴風」はDランクなのについているんだな。

そういうときはよっぽどの天才か、悪名ってことだ。

それはフェンリスヴォルフレイスにかかってくる話だ。

フェンリスヴォルフレイスは急に凶暴化する、ってのが定説だ。

いつ何時態度を変えてこっちを襲ってくるかわかったもんじゃない。危険な種族だ。

フェンリスヴォルフレイスと親友だったやつがある夜そいつに襲われて殺された。

しかも下手人は捕まる直前まで自分が殺した親友を抱きながら大泣きし続けて、その後自分の剣で自分をめった刺しにして自殺したらしい。

暴風の話なら噂で聞いたことがある。

何度も暴れたことがあって、店や、商品、家や、馬車。

人間までは危害を加えていないが、物の損壊の数は半端ないらしいな。

それでも裁判にかけられないのは意気消沈した暴風が依頼の報酬をもって謝りに回っているかららしい。

暴走して物を壊すからその弁償のため開拓者になったっていわれてるくらいだ。

なにそのかわいそうな娘!

でもほんとに強いな!フェリルちゃん!

こうやってのんきに話してられるのはフェリルが敵のねずみの変異体に囲まれて辛そうにしていながらも苦戦をしていないから。

参戦のタイミングをはかっていた4人は観察をしながら隠れ続けた。


アクセルラット、ねずみの騎士、デスラット!全部Dランクのねずみ変異体、兵隊鼠だ!


ブラームスが看破した敵の名前。

その名前から想像できるとおり、

アクセルラットは全身が茶色の毛におおわれて、足に異常な筋肉が蓄えられており、血管がぴくんぴくん、筋肉がもりっもりっと動くねずみの変異体。

ねずみの騎士は真っ白の毛に赤目、二足歩行になって、開拓者と同じように剣と鎧を持った、理知的なねずみである。盾をもったねずみもおり、一風変わった整然さを感じる。

デスラットは前歯が体の半分を占めるほど巨大化しており、その色が、紫色に変色し、触ることさえ忌避される紫色の液体を垂れ流していた。あれ絶対毒だ。

バリエーション豊かになってきたなあ!
さっきまでのEねずみと比べたらだめなんだな。

常に本気で向かわないと死ぬと思うんだな!

ねずみはねずみなりのフォーメーションを組んでフェリルに襲いかかっていた。

まずは前衛にねずみの騎士。硬い鎧でフェリルを釘づけにし、

後方からアクセルラットが地面を陥没させる勢いで突貫してくる。

そして、体制を崩させ、最後にデスラットで一撃を加えようとする。フェリルは避けることが得意らしくかすらせることすらなかった。

ねずみたちはデスラットの攻撃が一発でも当たればあとは獲物が弱るまで待てばいいと考えているのだろうか。

素の戦闘能力が高いDランクねずみにとって、下位ランクの開拓者なんてカモみたいなものだろう。

そしてDランクであってもたった一人ならさして苦もなく殺せるだろう。

そのような確信をもった雰囲気があった。

ぐるううううううぅぅぅーーーー!!
しかしフェリルはその追い詰めたぞと言うかのような捕食者のような上から目線を無視し、己の内の力を解放した。


すると、不可視の風がフェリルを中心に巻き起こり、まきつかれる。


ダッ!!


フェリルが敵ねずみが5,6体固まっている場所めがけて跳躍した。反応のできなかったその集団へとフェリルが接敵する。


シュッシャッ!!


両手に装備した人間の胴体ほどある金属製の巨大な鉤爪で空をクロスに掻き切った。


対複数多段攻撃闘技『インヴィジブルエアデビル』が5,6体の変異ねずみを襲う。フェリルの振り切った二ふりの鉤爪を模した風が周囲3メルトにわたり、無差別に蹂躙したのだ。


ふぅううううううううう!ふぅううううううう!
シューマはフェリルが圧倒しているとしか言えない状況であってもとても楽観視はできなかった。

今にも倒れそうなフェリルがとても薄氷の上を歩いているように見えた。

さすがだな。Dランク。すげえ威力の闘技だ。加勢はいらねえな
くうううう! 俺もあんなの思いっきり撃ってみたいぜ!
せっかくのDランクの開拓者の戦闘。勉強させてもらうんだな。
(えっ!?あんなにぎりぎりで戦ってるのに加勢しようって思わないの……?)
もう一度フェリルをみる。辛そうで、今にも倒れそうなのは錯覚だったのかと。


うっ……。くっ……。
苦しそうに胸の軽鎧の板金をがりがりするフェリル。

絶対大丈夫じゃない!

そしてフェリルの内側から何かが漏れ出てきそうになっているのが第六感に感じた。

あの娘の内側から何かが出そうになってる!
フェリルの暖色の靄の内側から寒色が染み出てきて、浸食しようとしているように思える。その寒色は爆発寸前のように拡散収縮を繰り返し、吐きそうな時の心臓の動悸のように不気味に脈動している。


……? 何言ってるんだシューマ?
ーー! 何か見えるんだな? シューマ?
クラークは不思議そうにしているが、ブラームスは確認したいというかのように問うてきた。
今のあの娘はぎりぎりの状態で戦ってる!

回りの敵と戦いながら内側の圧力も抑え込もうとしているみたい!

スペクトル現象の時に見える靄がフェリルにもまとわりついてて、それがとても気持ち悪そうなんだ!

そんな状態で戦い方続けたら絶対途中で大変なことになるよ!


内側の圧力……。辛そう……。もしかして暴走のイメージなのか……?

万が一暴走直前だっていうんなら敵が大量のこの状況で暴走したら危険すぎないか……?

助太刀に入りたい。そういうことでいいんだな……?
お願い!
一度入るんだ、即逃げ帰るなんてまねはできないからな。

ちゃんと最後まで面倒みるんだぞ!

捨てられた犬じゃないんだから!

でも、もしあれが暴走の前兆だっていうんなら僕が抑え込んでやる!

あの寒々しい靄を押し込めばいいだけだし!大丈夫!できるできる!

シューマは自分に言い聞かせるようにいい、自分の心を奮い立たせた。
頼りにしてるからな!

さあ……行くぞ!!開幕闘技一斉掃射だっ!!

フェリルの戦闘に4人は怒涛の勢いで乱入した。

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