黄昏のクレイドリア

9-5

エピソードの総文字数=816文字

<リーン邸 執務室>
…………。
一通り報告を受けた
フィリカは、カノンから渡された杖を
テーブルに置くと、小さくため息をついた。
…成る程、ロージアの魔術師が……。
随分とまた、大事に
首を突っ込んだものですわね。
しょうがないわ。
正当防衛よ、正当防衛。
わかっています。
しかし……これは
とんだ大捕り物でしたわ、
カノン。
え?
この杖は"百雷の針杖"
れっきとした
アーティファクトですわ。
任務外ではありますが……、
貴女は立派に仕事をこなして
帰ってきたのですよ。
ご苦労様でした。
……それならよかった。
とはいえ、こんな貴重なモノを
わざわざ持ち出してまで
狙ったのは、魔術師と
魔力を封じる魔巧具。

相手の考えが読めないのは
不気味ですわね……。
あの魔術師の名門が
絡んでるんじゃない?
ほら、あたし達を目の敵にしてる……
アークライト家ですか……。
確かに、可能性は無いとは
言えませんが……。
……吸血鬼さんに
命を狙われたくらいです。
あらゆる事に、
一層気を払ってくださいね。
そのつもりよ。
あんまり心配しないで、
フィリカ。
……今回もお疲れ様でした。
後で貴女の好きな
ハチミツ入りの焼き菓子も
持って行かせます。

ゆっくり休んでくださいね。
…ありがとう。
労るフィリカを一瞥し、
カノンは広間を出て、扉を閉じた。
…………。
(妙に胸騒ぎがしますわ。
 何かが……動き出して
 いるのかもしれませんわね。)
(2年前のような惨劇が
 起きなければよいのですが……。)




----------------

ふぅ
思ったより早かったな。
!!
扉を閉じたすぐ脇に佇む
イーリアスを瞠目し、
カノンは喉元まで声が出かかったが、
それをこらえ、代わりに
大きくため息をついた。
イーリアスあんたね……
ほんっとうに心臓に悪いわ……。
その割には、前回ほどは
驚いていないな。
なんとなく
居る気がしたからね
そうか
……まぁいいわ。
ちょっと顔貸しなさい。
前はうやむやになったけど……
今度こそ話してくれるんでしょ?
あんたの、呪いのこと。
……あぁ。

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