魔界の姫と二匹の黒猫の物語

第七話 秘められた能力!?

エピソードの総文字数=1,393文字

せっせ、せっせ。
あ、水が足りないみたいね。
こっちは……うん、大丈夫。
お嬢の畑仕事姿も、だいぶ板についてきましたな。
あのグータラで食っちゃ寝生活を送っていた姫様が、今では早寝早起きしてお仕事に……アシュタロトは感激しています!
なんか素直に褒められてる感じがしないのよね……。
そうだ、アシュタロト。
はい、これあげる。
あら、姫様からプレゼントなんて珍しいですね。
いつも他人から奪うだけなのに……。
……って、きゃああああ!
い、いもむし……とってぇ!!(泣
フン、人の気分を害した罰よ。ざまーみろっての。
おお、こりゃあ大きないもむしじゃのう。
どれ、逃してやらんとな。ほれ。
……。
ねえ、いもむしって野菜の葉っぱを食べちゃうんでしょ?
じゃあ、おじいにとっては敵みたいなもんじゃない。逃がしちゃっていいの?
敵……と言えばそうなるのかもしれんの。
じゃが、いもむしも美味い野菜を食べたくなるものじゃろ。
まあ、どうせなら美味しいほうがいいだろうけど……。
せっかく作ってるのに、取られたらもったいないじゃん。
自然のものは自然のままに、そういうもんじゃ。
うーん、分かったような、分からないような……。
そうそう。今日はこれから出かけないといけんから、あとのことは頼んだぞ。
うん、まっかせといて!
このペースなら、おじいが帰ってくるまでにだいぶ進みそうね。
がんばらなくちゃ!
うむ? この気配は……。
お嬢、お気をつけ下さい。
ん? どしたの?
あ、あそこに何か動くものが……。
あれは……野良スライムです!!
え? スライムって魔物でしょ?
なら、味方ってことじゃない。
いえ、お嬢。
人間界の魔物は野良化しておりますゆえ、我らには従いませぬ。
へ? どゆこと?
以前の人間と魔族との戦争の際にはぐれたりして、魔界に帰れなくなった者達の子孫が、野良魔物として人間界に住みついているのです。
てことは、あたし達のことも分からないってわけ?
むしろ、我らを敵だと思って襲いかかってくるかもしれませぬな。
ちょ、ちょっと!
襲われたらどうするのよ!!
どうする、と言われましても……。
我らはか弱い猫ですからな。
お嬢に守っていただくしかないでしょうな。
……な!!
フッ……ご安心下さい。
仮にもお嬢は魔王様のご息女。常人とは違います。
そっか……!!
今まで魔法とか使えた試しがなかったけど、ピンチによって秘められた能力《ちから》が目覚めるってわけね……!
いえ、姫様の魔法の能力はゼロです、ゼロ。
これっぽっちもありません。皆無です。
授業だってサボってばかりでしたし。
才能もなく努力もせず、いきなり覚醒して特別な能力をゲットなんて都合のいい話はありません。現実を見て下さい。
ま、まあ、そりゃそうかもしれないけど……。
じゃあ常人と違うって、どういうことよ?
石頭、ですな。
ふぇ?
魔界広しといえど、お嬢の頭ほど頑丈なものは滅多にござらぬ。
身体も頑丈ですが、とりわけ頭の硬さは抜きん出ています。
いざとなれば釘を打ち、壁を破ることさえ可能かと。
……。
なんか全然嬉しくないんですけど。
いけない、姫様!
スライムがもうすぐそこまで来ています!!
スラ~
当たって砕けろといいますし、まずはドーンと頭突きでやってやりましょう!
姫様、ファイトです☆
えーい、もうこうなったらどうにでもなれよ!
いくわよ!!
ドーーーーン!
スラ~
うおりゃぁあああ!
ガツーン!!
ス、スラ~
まだまだぁ!
ゴッチーーーン!!

◆作者をワンクリックで応援!

1人が応援しました。

◆コメント欄は未記入でもOK! 公開されないのでお気軽に。

ページトップへ