マジカルミュージック

恋煩い

エピソードの総文字数=2,023文字

全然ダメ!!    クラリネットソロとトランペットソロ!!    里紗ちゃんドラムセットに音負けしてどうするのよ!!
2017/10/18 17:11
すみません……。まだ自信がなくて……
2017/10/18 17:13
圭くん!!    普段の元気はどこにいったのよ!!    全然音が響いてない!!
2017/10/18 17:13
ごめん……
2017/10/18 17:14
    本日の合奏……。

    いきなり「 sing sing sing 」で時間をとられていた。クラリネットのソロとトランペットのソロが全くといっていいほど音が響いていない。里紗は、多分過去のトラウマに囚われているのであろうが、圭は私情だ。歌音には、その事が分かっていた。はっきりといって歌音は、合奏には私情を持ち込んで欲しくない、と思っている。口には出さないけど。

    合奏中も圭はずっと上の空であった。ソロの音が出ていなかったり、連符の音が掠れたり、圭らしくないミスを繰り返していた。特に「 祝典序曲 」と「 第六の幸福をもたらす宿 」が酷かった。譜面落ちをしてしまったり、トランペットのピストンを押さえている指先が震えて動かなかったり……。

    歌音は、その度に注意を施したが圭は上の空で歌音の話を聞いているようには見えなかった。

    放課後、歌音は屋上に圭を呼び出した。歌音は屋上から景色を眺めていると、屋上へあがってくる階段の扉が開き、圭がふらふらとやって来た。

2017/10/18 17:15
今日の合奏は何だったのかしら…… 圭くん
2017/10/18 17:27
すまん…… ちょっとスランプでな……
2017/10/18 17:28
スランプというレベルじゃなかったわよ。音楽学校学生なのに譜面落ち……。論外だよ……
2017/10/18 17:28
本当にごめん……。譜面落ちみたいな情けない事やってしまって……
2017/10/18 17:30
それだけじゃないわよ……。合奏には私情を持ち込んで欲しくないわ。それは、分かってるわよね?
2017/10/18 17:31
    圭はうつ向いたまま黙りこんでしまった。歌音は、少し言い過ぎたかな、と考えてしまった。歌音は、圭の心の中を覗いてみた。やっぱり深い靄が生まれていた。深い靄の中を英雄がさ迷っている感じだ。何故、靄が生まれてしまったかは謎であるが、これは初期対処しないといけない気がする。前の夕陽の時のようにしてはいけない。夕陽は立ち直ったが、圭は今のところ難しそうだ。この深い靄の生まれる原因は何かなんて歌音には分からない。

    圭は黙っていたが、何かを思いついたかのように口を開いたのだ。

2017/10/18 17:34
とにかく、私情を合奏に持ち込んだ俺が悪かった。恋煩い…… って言うんだよな…… こういう症状って……。俺も恋愛とか考えたことないけど苦しくなるんだ…… 
2017/10/18 17:43
どこが苦しいの?!
2017/10/18 17:46
分からない……。 でも、この辺りがモヤモヤする…… というか
2017/10/18 17:47
    圭は、自分の胸に手を当てて押さえていた。歌音は慌てて圭の手を取り握りしめる。
2017/10/18 17:48
大丈夫……。 こうしていれば苦しくなくなるから……
2017/10/18 17:49
    手をいきなり握られた圭は、突然の事に驚くが恥ずかしくなり、だんだんと顔が真っ赤にさせていく。

    歌音は、そんな事気にしていない。圭が安心してくれればそれでいいと思っていた。

2017/10/18 17:50
ありがとう、歌音。ちょっとマシになった
2017/10/18 17:54
なら良かったわ。私で良ければいつでもこうして支えてあげるから。圭くんが困ったことがあればいつでも言ってくれても良いよ
2017/10/18 17:55
お陰で少し勇気がわいた。恋煩いだけど頑張ってみるよ
2017/10/18 17:56
頑張ってね、圭くん!!    応援しているよ!!
2017/10/18 17:57
分かってるって……。俺は、必ず好きな人に思いを伝えるよ。だから、見ていてくれよ?
2017/10/18 18:40
    圭が一瞬笑顔を見せたような気がした。

歌音はそれに安心しきっていたのかもしれない。圭の笑顔を見た歌音は嬉しくなり、微笑み返した。

2017/10/18 18:41
圭くんは、笑顔の方が良いよ。その方が皆が安心するから
2017/10/18 18:47
そうだよな!!    心配かけて悪かった。またトランペットの練習してくるよ。明日には、完璧にしてくるから覚悟してろよ、歌音!!
2017/10/18 18:48
    圭は、歌音に手を振り屋上から出ていった。一一月にしては寒く強い風が吹き付ける暮れ泥む夕刻時だった。
2017/10/18 18:51
    歌音は、圭の事を心配していた。まだ、あれで立ち直ったかのように思えない。まだまだ靄は晴れきっていない。ここで、何か嫌な予感がするのは何故なんだろうか?歌音は、圭の事を友達として好きだ。しかし、最近はそれが揺らいでいる。本当の気持ちはどうなんだろうか、と歌音は自分を疑い始めたのだ。

    圭の事が心配になるのは、友達としてだ。それ以上の事はない。でも……。歌音は、心配そうに学園の屋上から町を見下ろしていた。紅葉と銀杏の葉が舞い上がり、町に降り注いでいた。

2017/10/18 19:54
綺麗だけど……嫌な予感しかしない。こんな時に狙われたりしなければいいんだけど……
2017/10/18 20:04
    歌音の不安は募るばかり……。近くからクラリネットの音色が聞こえてくる。里紗が練習をしているのであろう。少し気の弱そうな音色が響いている。「 sing sing sing 」のソロの音色が響いている。

    しかし、いつまで経っても圭の吹くトランペットの音色が響いてくることがなかった。

2017/10/18 20:07

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