マジカルミュージック

デートと言う名のお出かけ

エピソードの総文字数=2,155文字

    待ち合わせ時間一〇分前……。世の中では余裕を持って行動することが義務だ、と亡き父母が言っていたのを歌音は思い出した。今日は、圭とお出かけをする事になった。突然すぎて歌音は驚いたが、圭と一緒に過ごすのは楽しいので簡単に了承した。

    寮の前には、圭が待っている。完全に歌音が圭を待たせる形になってしまった。

    一一月にしては比較的暖かく、小春日和というのが正しいだろうか。そんな感じのお出かけには相応しい天気だ。

    歌音は、急いで圭の元に走って向かう。

    その時、歌音の足下に落ちていた何かを踏みつけ、歌音はバランスを崩した。足下に落ちていたバナナの皮を恨みたくなった。自分の身に何か起きたとき、スローモーションに見えるのは何故だろうか……。歌音は、そのまま転びその次に訪れるのは痛みだ、と目を瞑った。

    しかし、なかなか歌音自身に痛みの感覚は襲ってこなかった。何か温かい何かに包まれている感じがする。

    歌音は、恐る恐るゆっくりと目を開いた。すると、目の前には圭の姿があった。それが分かると歌音の顔は、みるみるうちに真っ赤に染まっていく。だって、圭に抱き締められる形になってしまったから……。歌音は、慌てて圭から離れようとするも、抱き締められており、逃げ出すことは出来なかった。

2017/10/27 18:50
歌音、下見ろよな。……っていうか、こんなところにバナナの皮を捨てたやつ誰なんだよ!!    誰かが転んだらどうするんだよ!!
2017/10/27 19:04
け……圭くん?!    いきなり抱き締めるなんて驚くよ?!
2017/10/27 19:05
    無意識のうちに歌音を抱き締めていた圭も顔を真っ赤にさせていた。
2017/10/27 19:06
ご……ごめんな!!    思わずこうしたくなっただけなんだ。特に邪な事なんか考えてないから安心して……
2017/10/27 19:07
    顔を真っ赤にさせ、全力で否定する圭はどこか微笑ましく思う。歌音もそれを聞いて安心した。邪な事って何だろう……、と歌音は思ってしまったが、敢えて圭には聞かないことにした。
2017/10/27 19:08
じゃあ、今から行こうか。今日は、俺のとっておきの場所に連れていってあげるよ
2017/10/27 19:10
今日は、よろしくお願いします
2017/10/27 19:22
そんなに畏まるなよ
2017/10/28 15:26
    圭が笑顔で歌音に問いかけてきた。何か嫌な予感しかしないけど……歌音は、圭について駅に向かうのであった。

    その間も歌音はずっと圭に手を繋がれていた。恋人繋ぎ……ってやつなのかな?    歌音は、恋愛に関しては無知だ。だからといって、拒否をするような事はしなかった。

2017/10/28 15:27
俺のお気に入りの場所は、ここから離れたところにあるんだ。だから、今日は泊まりがけで行く予定なんだ
2017/10/28 15:34
泊まりですか?!    何の用意もしてきてないよ!!
2017/10/28 15:41
大丈夫だって!!    俺も何の用意もしてきていない。ホテルにすべて揃っているからな
2017/10/28 16:15
    圭が何を考えているのか歌音には何も分からなかった。邪な事を考えていない……というのは、多分事実であろう。歌音は、何の疑いも持たなかった。
2017/10/28 16:17
じゃあ、まずはどこに行く予定なの?
2017/10/28 16:18
二柱神社。縁結びの神様が奉られているところ……
2017/10/28 16:19
    仙台市営地下鉄の駅の階段を下りていく。圭が「 縁結び 」という言葉を出したことには、歌音も驚きを隠せない。圭の事だから繁華街で遊んだり、ゲームセンターに行くと思っていたのだ。完全に予想外の言葉が出て、歌音は焦りを見せる。圭の好きな人は、どんな人なんだろうか……。何だか胸がモヤモヤするのを感じたが、歌音は全てを圧し殺し、圭に手をひかれ、地下鉄の列車に乗り込む。

    三連休ということもあり、列車内は人でごった返していた。もちろん、カップルと家族連れの割合が多く感じられる。

2017/10/28 16:20
人が多いなぁ……。俺に捕まってろよ?
2017/10/28 21:15
う……うん……。圭くん、ちょっと良いかな?
2017/10/28 21:17
どうしたんだ?    今日は、俺の機嫌は良いんだ。何とでも言ってくれよ
2017/10/28 21:18
    圭の機嫌はとても良さそうだ。歌音は、圭の機嫌を見て嫌な予感を抱いた。

    その時だった。歌音たちが乗っていた電車がいきなり「 泉中央駅 」の前で緊急停止した。

    満員電車だったため、歌音は人に勢いよく押され、圭の方向に押された。圭が歌音を抱き留めてくれたので倒れることはなかったが、電車内は騒然としていた。

    人々の混乱と怒りが充満しており、歌音の体調を悪化させるほどのものだった。

2017/10/28 21:19
歌音、大丈夫か?!
2017/10/28 21:27
や……ヤバい……。気持ち悪い……
2017/10/28 21:28
おい、歌音!!    もうすぐで到着するから待ってろよ……
2017/10/30 14:10
    電車内は怒号なども飛び交い、歌音にとっては最悪の環境だ。怒号に圭でさえ驚いてしまうときもあった。

    もうすぐだというのに……。そう思っていたとき、ようやく列車が動きだし、「 泉中央駅 」に到着したのであった。

   圭と一緒に駅に降りると、駅員に取り押さえられた暴れているサラリーマンと見覚えのある顔の少年がいた。その少年とは、コンクールの会場で一度顔を合わせたぐらいであったが、その容姿と変わった性格などが一致していた。

2017/10/30 14:10
鈴鹿歌音と白川圭!!    久方ぶりだね
2017/10/30 14:15
うげっ……相川くん……。どうしてここに……
2017/10/30 14:17
    圭の表情が曇り、奏斗の表情は晴れ渡ったかのように澄みきっていた。このよく分からない再会が圭を狂わせるトリガーになってしまう事になるとは思いもしていなかったのだ。
2017/10/30 14:17

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