魔界の姫と二匹の黒猫の物語

にんげんかい?

エピソードの総文字数=779文字

~魔王城 玉座の間~
……ふむ。つまり姫の行動が目に余る、というわけだな。
畏れながら、左様にございます。
オークの衛兵をたぶらかし、お目付け役のベリアルまでも、ネズミのオモチャであしらわれる始末。
真に迂闊千万、面目次第もござらんが、一つ言わせていただければ、そもそも我ら獅子には一匹の鼠を狩るのにも全力を尽くすべしという一族の掟がございまして……。
いやーあれは傑作だったわね!
オモチャを投げたら一目散で駆け出して。
やっぱりあんた猫じゃ……。
……(ジロリ
……(お父様、無駄に怖いんだよなあ…)
最近の姫様の傍若無人ぶりは城内にとどまらず城の外の者たちにも広まっております。
もちろん我らお目付け役の力不足によるものとはいえ、我らの声は姫様の耳には届かぬご様子にございます。
馬の耳に念仏ならぬ、姫の耳に諫言という言葉も方々にて囁かれております。
(あんたが囁いてるんでしょ……)
その方らの言い分は分かった。
姫の方はどうだ?
お、お父様……。
あ、あの、今すっごく反省してます……。
ちょっとやりすぎちゃったかなって……。
ふーむ……確かに我が娘とは言え、少し甘やかしすぎたやも知れぬな。
これは我の失敗でもある。はてさて、どうしたものか……。
そうだ、姫よ。
しばらく人間界で修行をしてくるがいい。
ほら姫様、陛下もこう仰ってくれてることですし、今後はしっかりと……。
……って、えぇぇぇぇぇぇ!?
に……にんげんかい……にんげんかい?
なにそれ……おいしいの??
へ、陛下!
本気にございますか?
無論。お主らも修行の手助けをしてやってくれ。
こちらからは一切の援助はせぬから、よろしく頼んだぞ。
にんげんかい……あは……あははははは!
そんなこと……あるわけない……よね……アシュタロト……?
あはははははは。
いけない、姫様がポンコツに……!
姫様、お気を確かに!!
ぬぬ……これはまさしく、青天の霹靂……。

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