【10/08】 ダンゲロスSS(49)knaveryVSしゃりおっと

knavery

エピソードの総文字数=2,465文字

こちらはknavery先生のスペースになってます。

邪魔したらめっ、ですよ?

俺が彼女を見かけたのは偶然だった。仕事が終わり、今日も今日とて日課のパトロールをと考えながらランニングで帰宅していると、公園でうつむき座り込んでいる彼女を見つけた。

まだ幼い、幼稚園児位の少女。時刻としても夕刻。ただでさえ子供がウロチョロするには危ない時間で、さらにこの地域は政府の指定の魔人住居区域、通称魔人街である。

ちなみに、俺が勤める学校は魔人学園と呼ばれている。

knavery

ヒーローとしては、ほっとけないよな!
俺は鞄からマスクを取り出し、装着する。

これで、正義の味方、マスク魔人に変身完了だ。

最近はこの地域の人々にマスク魔人の存在が広がっているので、おそらく不審者が少女に話しかけているとは思われないだろう。

knavery

……また緋色先生マスクかぶってなんかしてるよ……
あれ、私たちは正体わかってるからいいけど……はたから見たら不審者だよね……
……なにか聞こえたけど気にはしないぜ! それより今は女の子だ

knavery

泣いている少女に近づき、声をかける。

knavery

こんにちはお嬢さん
ヒッ!
小さく悲鳴を上げられた……解せぬ。

いや、そんなことはどうだっていい。早くこの子を安全に家に帰さねば

knavery

俺はマスク魔人って言うんだ、君は――――
俺は彼女に名前を尋ねることができなかった。

knavery

何かがぶち当たったような衝撃と、高速で遠ざかる彼女。そして、背中から来る衝撃。

肺の中の空気が全て押し出される感覚と共に、俺は自分が地面に落ちたのが分かった。

見える景色から察するに、吹き飛ばされたのだろう。

knavery

すると……当たったのはこの公園の囲か?
倒れこんだせいで逆に落ち着いたのか、自分の状況を冷静に確認することができた。彼女の方を見ると、夕日が彼女の周りで反射し、赤く、きれいに輝いている。

……俺はあれに吹き飛ばされたのか……

knavery

来ないで……来ないで……
立ち上がり後ずさりながらこちらに向かって怯え切った様子で呟くの彼女。

……よくよく見ると、格好も薄着で、体はやせ細っている。


knavery

見つけた!
公園に響く、第三者の声。俺は立ち上がり声の方向を見ると、女性が息を切らし、そこに立っていた。

……婦警だ。そして、彼女は今「見つけた」と言ったか?

knavery

そこのレディ、少し尋ねたい
俺は少女から目を離さないようにし、婦警に話しかける。

少女はこちらをじっと見つめたまま防壁らしきものに籠っている

knavery

あなたは、マスク魔人!

あなたも本来なら怪しすぎて逮捕したいくらいだけど、ちょうどいいわ、彼女を連れ戻すのに協力してほしい

怪しいとはなんだ。

俺はこれでも何回も魔人の犯罪を止めるのに協力してるんだぞ。いや、そんなことはどうだっていい、重要じゃない。


knavery

君はあの子のことを知っているんだろ?

どうしてあの子はあんなに怯え切った、寂しそうで、今でも泣き出しそうな顔をしているんだ。

……あの子は、魔人の能力を利用して金儲けをしようとしていた犯罪組織があの子の親から買った兵器として育てられた子供よ。

警察が昨日助けだしたのだけれど、余程ひどい扱いを受けたのか、誰にも近づこうとしない。警察の一小隊を壊滅させて逃げ出したの

なっ――――
最近魔人の人権や、差別などが社会問題としてあげられていたのは知っていた。自分がこのようなヒーローになろうとした理由の一つに、魔人のイメージアップがなかったと言ったらうそになる。

しかし―――――魔人であろうと子供は子供だ。

knavery

子供はこの地球……いや、宇宙でもっとも大切にすべき宝物だ。その宝物をそのように利用し、傷つける組織があるなんて――――許せない!
ええ、私もそう思うわ。そして、あの子はその被害者の一人。兵器としての扱いをされ、誰も人として受け止めてあげることのできる人間がいないの。

……あなた、魔人なのよね。私は魔人ではない。だからあの子を受け止めることができない。

逮捕したいと言っておいて、虫のいいのはわかってる。けど、あの子を受け止めてあげてくれないかしら……

悲しそうな顔をする彼女。目の前で女性が二人も泣いている。

knavery

ヒーローには絶対にやらなくてはいけないことがある。

子供を笑顔にすることだ。そして――――女性の涙を止めることもやらなきゃいけないことだ

俺は、少女と向き直る。じっと目が合う。

怯えているのに、こちらから決して目を離そうとしない。

そして俺は――――マスクを取った。

knavery

俺の名前は緋色英雄っていうんだ。
彼女の目を見ながら静かに近づく。

そんな俺に何かが飛んできて、頬を掠めた。それは背後の囲に当たったらしく、衝突音がする。おそらく、石か何か

knavery

高校で教師をしていてね、担当は数学。

魔人として目覚めたのは、中学二年生の時

少女は尚もまだ、こちらを睨みつける。そして――――今度ははっきりわかった。

シーソーが飛んできた。彼女が俺に向かって手を振り降ろすと、俺にそれがまっすぐ飛んできた。

俺はそれを――――よけなかった。

knavery

え……?
少女が目を見開いたのが、倒れながらも分かった。

だいぶ痛かったが、まだ平気だ。……魔人で本当に良かった。

俺は再び少女に向かって歩み寄る。

knavery

来ないで……来ないでッ!
なりふり構わず、俺に様々なものを飛ばしてくる彼女。

しかし、俺は歩みを止めない。いや、止めちゃいけないんだ。

knavery

そうだ、もう一つ。とても大事なこと。

俺、ヒーローやってるんだ。マスク魔人って言って――――結構人気なんだ。

そして――――

来ないでって……言ってるのに……
少女の攻撃が止み、その場に座り込む。きっと能力を使い過ぎて疲れたのだろう。

俺は、そんな彼女の前に傅いた。

knavery

君とお友達になりたいな。

名前を教えてくれるかい?

握手を求め、手を出す。

彼女はしばらく俺の手と顔を交互に見たのちに、恐る恐る、その手に彼女の手を重ねてくれた。

knavery

……フィーア
目頭がなぜか熱くなり、もう片手で慌ててマスクをかぶる。そして、できるだけ堂々とした声で言う。

knavery

ミッション、コンプリート
何かおかしかっただろうか?

フィーアは俺を見て、おかしそうに、小さく笑みをこぼした。

knavery

以上です、ありがとうございました

knavery

そこまでです!!

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