黄昏のクレイドリア

5-3

エピソードの総文字数=1,183文字

はぁ~~……
結局、僕の魔巧具も見つからなかったし、
親方にもすっごい怒られちゃったし、
お金ももらえないだろうし……
……カノン、
怒るだろうなぁ……。
ニルス!!
うわぁあああっ?!!
……って、カノン?!
あ、あのねカノン、やっぱり魔巧具は――
魔術師……
え?
趣味の悪い派手な格好した
嫌味な魔術師って、誰か知らない?!
えぇっ?!
こ、この街は色んな人が来るから……
魔術師といえば貴族……は、
そもそも僕は会う事がないから……
ご、ごめんね……。
……そう…………。
……?カノン、
なにかあったの?
…………知り合いの魔術師が捕まった
えっ?!
つ、捕まったって、その魔術師に……?
えぇ。それに…もしかしたら、
その魔術師がニルスの魔巧具を
持っているかもしれない。
え…………。
不意を突く事に精通している暗殺者が、
不覚にも不意を突かれたのなら、
効果が常識の外である、ニルスの魔巧具が
関わっている可能性がある。カノンはそう考えていた。
時間がない、少しでも情報がほしいの。
どんなことでもいい、なにか魔術師に縁のある情報や、
日陰者が隠れやすい場所とか……
ちょ、ちょっと待って!
…カノンは、その魔術師に歯向かうの?
呪いをかけられたり、
生きたまま、血を抜かれるかもしれないのに……。
…大丈夫。これでも
そういう手合いの相手をするのは慣れてるから。
つい最近に、イーリアスに負かされたことを
思い出して内心自嘲しつつ、
カノンはニルスに笑ってみせた。

それに、あたしが行かなかったら、
捕まった奴が死んじゃうだろうし。
それはちょっと……寝覚めが悪いからね。
カノン……。
……………………。
……もしかしたら、『供犠の塔』が、
手がかりになるかも。
!!
その塔は、ロージアの土地一帯の豊潤を祈って、
定期的に、特産物が奉納される場所なんだけど……
それが行われる時が……新月。
つまり、今夜から明日なんだ。
カノンは時間が無いっていってたし、
もしかしたら……
なるほど、だから"今夜"ね……
ありがとう、ニルス!助かったわ!!
それとその塔には……あっ!
えっと……う、うん!!
なにやら口ごもっているニルスを尻目に、
情報を得たカノンは、慌しく走り去っていった。
……すごいなぁ、カノンは。
ぼくは、友達が捕まっても、
何も言えなかったのに……。
……あれ?
机に目を移すと、見覚えのない皮袋が置かれていた。
忘れ物かと思い、不躾だと思いながら中身を確認すると、
そこには、金貨をはじめとした硬貨が詰まっていた。
!! これって……
一つずつ取り出して確認すると、
それは今回の取引で、
本来自らの手で手渡すはずであった、
魔巧具の報酬の金額だった。

等価交換は商売、取引の基本である。
手ぶらでカノンが帰れば、
カノンが咎めを受けるのは想像に難くなかった。
…………。
勇気がなくても、自分の仕事はやり遂げないと。
ニルスは報酬を持って、
自身も成すべきことの為に、家を後にするのだった。

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