【共幻社座談会】第3回「デビュー前に知っておきたい、作家のための法律知識」

A会場『著作者人格権』

エピソードの総文字数=2,940文字

まず最初に取り上げるテーマは『著作者人格権』です。

ネットでも何かと耳にするこの言葉。


出版社などとの契約で、『著作者人格権の不行使』を求められることについて、不安の声が聞かれます。


そもそも著作者人格権とは、どのようなものなのでしょうか。

端的には、著作者の、作品に対する「思い入れ」を保護する権利、とよく言われますね。
著作者が享有する権利として、著作権法では大きく分けて、
1 著作権
2 著作者人格権
の二つが規定されています。
著作権法17条
(著作者の権利)
 著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
2項 (略)

SumireFubuki

著作者人格権として規定されている18条、19条、20条の権利というのが、
①公表権
②氏名表示権
③同一性保持権
と言われるものになります。
要約すると、
①公表権 作品を公表する、しない、を決められる権利
②氏名表示権 作品に著作者として名前を表示する、しない、を決められる権利
③同一性保持権 作品について、作者の意に反して改変されないようにする権利
です。

著作権著作者人格権って、どう違うんですか?

権利としてはまったく別のもの、と考えて差し支えないと思います。
著作権というのは、作品(著作物)の財産的価値を保護するためのもので、作品を複製したり、頒布して利用する権利です。
一方、著作者人格権というのは、著作者個人の人格的利益を保護するためのもので、先程言ったように、作者の作品に対する思い入れを侵害から守る権利です。
大きく違うのは、著作権は、他人に譲渡したり、相続することができますが、著作者人格権は、そういったことができません
>作者の作品に対する思い入れを、侵害から守る権利


これを不行使とする特約(の話題)を、最近は非常によく見るようになりました。

文章をそのまま受け取ると、『作者が自分の作品に対する思い入れを放棄させられる』となるのですが、なんだかエゲツなくないですか?


この特約で契約してしまった場合、作者にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

これは「不行使特約」という契約の効力の問題です。
こうした特約は無効である、という議論もあるのですが、有効な範囲も認められると考えるのが一般的な法解釈だと理解しています。
それを前提としますと、たとえば、作品を翻案して利用する(二次的著作物を創作する行為、著作権法27条)際などに、意に反した改変がされてしまったときであっても、そのような改変を認めるよりない、となってしまうことがデメリットだと考えられますね。
ただし、これも「不行使特約が有効な範囲がある」、という前提での話です。
逆に言えば、「有効な範囲」を越えた著作者人格権の侵害に対しては、行使は可能である場合もあると考えられます。
この有効・無効の範囲は、一概に言うのは難しいところですが、著作権法が、「著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為」を、著作者人格権を侵害する行為とみなしていること(著作権法113条6項)からして、「名誉又は声望を害する」方法での改変に対しては、不行使特約は無効であって、著作者人格権を行使できるという考え方が一般的であろうと思います。
つまり出版社としては、名誉又は声望を害しない程度の改変において、作者側とトラブルになりたくないから「不行使特約」を求める……ということですよね。

決して作者さんの意に反するような改変をするためではない。


作品をメディアミックスしようという場合に、先方から「著作者人格権の不行使特約は、きちんと結ばれていますか」なんて確認をされたという話を聞いたことがあります。

企画の規模が大きくなるほど関わる会社や人間も増えますので、作者さんの積極的な関わりがマイナスに働いてしまうということを避けておきたいと考える気持ちもわかりますね。

同一性保持権の場合、著作者の意に反する改変、すなわち作者の気持ち次第で侵害かどうかが決まってしまうわけです。
ちょっとしたエピソードを映像化の際に、たとえば時間的な都合から削除した場合、当初は同意していた原作者が、後に気持ちが変わって、これは同一性保持権の侵害だと主張することも考えられるわけです。
こういったリスクを避けたいという考えから、著作者人格権の不行使特約をしよう、という発想になり、実務的に用いられてきたということのようですね。
ただし、上のような場合ですと、人格権を行使する作者の立場としては、「ちょっとした」エピソードではなく、「大事な」エピソードなんだという気持ちがあるのだと思います。
映像化等、作品をメディアミックスで二次的に利用する場合、映像を作る側と原作者の間で、エピソードを削る可能性を伝えた上で、ここは大事と思っているから、削らないで欲しい箇所はあるか、といった事前の話し合いがもたれれば、理想的な関係ではないかなと個人的には思います。
C会場→B会場の順で投稿しております(笑)

作者としては「著作権・著作人格権」に関して、出版社との間での著作権問題の前に「著作者間でのトラブル」として「パクリ・盗作」が思い浮かぶものかもしれません。

そこで質問です。

★1

「パクリだ!」と訴える場合、訴える側はどんな責任(準備?)が生じますか?

また逆に「パクリだ!」と訴えられた場合、訴えられた側はどんな責任(準備?)が生じますか?

何を以て法的な意味での「パクリ」が成立するのでしょう?


★2

「パクリだ!」と訴えられた側が、逆に「名誉棄損」で訴え返すケースがあります。

これはどうしてそうなるのでしょうか?

「パクリだ!」と訴えたり、安易にネットで騒ぎたてることのリスクは何でしょうか?


★3

作品には色々な表現形態があります。

文字だけの小説、絵と文字とコマ割りのレイアウトで表現される漫画、絵コンテ、音声、彩色のあるアニメ、実在の俳優さんが演技する実写ドラマや映画……。

数秒間のTVCMのような作品から、鑑賞に何時間もかかるような作品まで長さも色々です。

これら表現形式によって、著作権侵害に関わる注意点に違いはあるのでしょうか?

★4

「パクリだ!」と言われることを恐れてクリエイターが委縮してしまうのはもったいないとも思うのですが、そうならないための心構えや法的に認められている事柄があればお教えください。



以上です。

法律的な角度以外にも、自社の関わる作品が著作権侵害で訴えられたり、著作権侵害された場合の出版サイドの意見やトラブルを避ける為にしている業務なども知れればと思います^^
黒名ユウさん、いらっしゃいませ!
第2回の座談会では、パネリストをお努め頂きありがとうございました!

ご質問いただきましたパロディ・盗作についてですが、
次回の法律座談会にてメインテーマにしたいと考えております。

タイトルは……『小説を書く前に知っておきたい、パロディと著作権侵害』などでしょうか。

今回、ご質問頂いた内容は次回に引き継がせていただきますね。
こんにちは~!

なるほど! 確かに著作権関連の中でも大きな比重がありそうなテーマですもんね。

楽しみにします!

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