黄昏のクレイドリア

4-4

エピソードの総文字数=620文字

<ロージアのとある路地裏>

<とんがり鼻の商人>

へへっ、いい買い物をしたぜ。

こいつをルダリアで捌けば、相当な額に……

ほほう、これは変わった形の魔巧具だ。
一体何処で手に入れたのかな?

<とんがり鼻の商人>

ひっ?!

な、なんだおまえ?!

私の質問に答えたまえ、商人。
君の最大の客である、
偉大な魔術師が尋ねているのだから。

<とんがり鼻の商人>

ま、魔術師?
言われてみれば、着ている衣服も上等そうだし、
魔巧具のような装身具も見受けられる。
妙に派手な色合いの装いが、
魔術師の傲慢さを表しているようだった。

<とんがり鼻の商人>

これは失礼致しました、魔術師殿。

此方の品物は、魔巧師ギルドの職人が

作成した魔巧具でございます。

ふむ……

掲げられた魔巧具を、

魔術師は大して眺めた様子も無く、

懐から皮袋を放った。


地面へ落ちたそれは、

中からジャラジャラと、

小気味のいい音が路地に響いた。

<とんがり鼻の商人>

へ……
何を呆けている。見てわからないのか?
私はこれを買う意思があるから、
君に金を渡したんだ。

商人は慌てて皮袋の中身を確認する。

中には銀貨が詰まっており、

金貨も5枚見受けられた。


魔巧具が専門でない商人の目から見ても、

破格の相場だった。


<とんがり鼻の商人>

あ、ありがとうございます!
…………。
魔巧具を受け取った魔術師は、
一瞥もくれないまま、歩き去っていった。

余談であるが、商人はその夜、

袋小路で遺体となって発見されることとなる。


あったはずの、首と、

重みのある皮袋を無くして。

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