【共幻社座談会】第2回「エッチと下ネタの上手な使いかた」

★会場その2★

エピソードの総文字数=7,745文字

それでは引き続きお楽しみください。


ここまで企画書のポイントなどが語られまして、その後の流れについて話題が移ろうとしています。

作家稼業に限らず、初めてのお仕事って、仕事の流れがよくわかんないものですよね。

書籍を作り上げていく流れの中で、企画書や原稿以外にも準備できるとよい資料、準備をお願いされる資料などがあります。

それらについて、お仕事の流れと共に簡単にご説明してみようと思います。
最初に断らせて頂きたいのは、これから説明する流れはあくまでもサンプルケースであるということです。

取引先によって、あるいは担当者によって仕事の進め方は違うことがあるのは当然のことです。そこはご留意くださいね!
良さげと判断された企画書を、編集者さんとの打ち合わせの中でブラッシュアップして「これで行こう!」となると、いよいよワクワク執筆タイムです。

このとき「契約」に関してしっかり話をしておきましょう。

「これってお仕事なんですよね?」ということです。

わかんないことだらけだと思いますが、それでいいです。不明な点などは遠慮なく編集者さんなり、それ専門のご担当者様に質問する。

取引相手に甘えるのではなくて、経験は浅いながらも一人の個人事業主として尋ねるべきを尋ねるのは当たり前のことという認識で臨むべきだと考えています。

どう質問したらいいかすらわかんなければ、とりあえず「契約内容」を教えてくださいと尋ねたらいいでしょう。

そこをとっかかりにして、焦らず慌てず、ちゃんと納得して仕事を進めていく。

納得といっても、初仕事なのだもの、完全に納得するなんて無理です。経験則が効かない以上、どんなに調べたり尋ねたりしても不安は必ず残ると思います。でも、それは正常なことなので心配なく。

納得しようと努力する姿勢があれば、何か失敗したとしても「次はこうしよう」と考えることができるはすです。
出版社と作家のトラブルはザラにある話なので、ネットを検索すれば情報は出てきます。それに関する書籍もある。

そういうので勉強をしておくのもいいでしょう。

ただ、トラブルというのは出版に限らず、商取引をすれば起きる可能性のある出来事です。

「担当窓口の人間がわけわかんない人で困る」ということはサラリーマンしててもフツーにあると思います(笑)

そういうとき、世の中のサラリーマンの皆さまはどうしているかというと「いきなりブチ切れ」たりはしません。

あの手この手を使うわけだし、まあたいていは相手先の上司さんに相談しますよね。

もちろんトラブルなんて起きない方がいいのは作家も編集者さんも同じです。

お互いに社会人として常識的に対応していきたいものですね。非常識に我慢して付き合う必要は全くないと思います。
さて、そんなわけで「契約が成立」して「仕事」がスタートしますと作家側は初稿の執筆フェイズに入ります。

原稿を書き始めるわけです。

初稿締め切りに間に合うように。何らかの事情があって間に合わないときは速めの連絡。

編集者さんのほうは色々と業務はあるわけですが、作家さんに関わって来るのはイラストレーターさんへの発注です。

ここで必要になるのが「キャラクター設定資料」です。

※挿絵やイラストのある書籍という前提で説明しますね。

企画書では簡略化されていた部分を、「絵にする視点で」詳細にして送ります。(「編集者さんにお任せします」というやり方をする作家さんもいます)

私はできるだけ自分で資料を作ってお送りしています。
企画段階ではキャラ名は仮のことが多いのですが、できればこの段階でキャラ名を確定させておけたらいいと思います。

名前がイラストレーターさんのイメージを助けるかもしれないですし、後々まで名前の決定を伸ばすと、編集さんがキャラ紹介などの文章を作るときに、間違う確率が高まります。

「絵にする」という視点で忘れがちなのが全キャラの身長や、学校の制服(セーラー服なのかブレザーなのか、ガクランなのか)なので、そのあたりもしっかりと。文章だけだと想像で補っちゃっている部分ですが、このあたりのデータがないと絵は描けないです。

身長を決めるのは一番背の高いキャラ、あるいは低いキャラ、標準のキャラ、どれか基準となる一人を決めてからかかると早いと思います。

キャラクターの外見イメージはできるだけ具体的な参考例(実際の既存キャラで良い)を上げるといいです。

実際の既存キャラで良いというのは「パクってね」という意味ではなくて、そうすることで、イラストレーターさんが手戻りを恐れずに済むようになります。

その上で、自由にオリジナリティを発揮して欲しい部分には、具体的に「ここはこういう方向性で自由にやってください」と要望を書いておくといいでしょう。

これをしないとイラストレーターさん側に手戻りを恐れる心理が働いて無難なデザインのキャラになりがちなのではないかなと思います。とにかく、絵を描くというのは手間暇がかかる作業なのです。

「プロだから黙っていてもやってくれるはず」というのは甘えで、「プロだから黙っていたらやらずに済ます」ぐらいに考えるといいんじゃないかと。


※手戻り
 リテイク、やり直しのこと

で、初稿を進めているとキャラクターデザインのラフが送られてきます。


個人的には、文章描写との致命的な齟齬がない限り、リテイクを出さないようにしています。

自分の好みかどうかというような主観的基準で意見するのも論外で、理由が客観的に説明できることしかリテイクしない。

おそらく、主観的基準で修正の要望を送っても、編集者さんから確認の質問が来るでしょう。

また「なんか違う」みたいなのもご法度と考えています。

イラストレーターさんや編集者さんの時間を無駄に奪う行為でもったいないです(そして、自分の時間も無為に消費されるのです)
キャラデザがOKとなったら、イラストレーターさんはカラーイラストや挿絵の作業に入っていきます。

作家側の進捗は、初稿~二稿目以降になっているのでしょう(進行速度は人それぞれかと思います)

キャラデザのときと同じような、できあがってきたイラストに対してチェックをお願いされたりされなかったりします(進行が押してるとそういう時間がとれなくなったりするのです)
この段階での個人的な姿勢ですが、私は挿絵などが文章描写と食い違ったときは、逆にイラストに合わせて文章を書き直すぐらいのつもりでやってます。そのほうがたいていはチーム(作家・編集者・絵師)全体の時間コストがかからない為です。

実際に挿絵が上がってきた段階で、イラストに合わせて書き直してます。(致命的に設定と食い違うような場合はリテイクやむなしでしょうが、そういうケースは今の所、まだないです)

さて、ここからがエロラノベ的なお話になるのですが……(笑)



エロラノベで挿絵が入るのは基本、抜きどころです。

そこが一般ラノベと決定的に違います。

そこで文章とイラストが一致していなくて違和感が生まれるのは良いオナニーにならないわけです。ユーザー様におかれましては「まあいっか」では済まない事態!

だからこそ、できるだけイラストと文章を一致させようとします。

下着の柄とか着崩し、表情などを絵に合わせて修正したり加筆したりすることが多いです。

あくまでも、これは私が個人的にそう考えて取り組んでいることですけれども!

そして、単行本のお仕事のときは、初稿を終えた段階で「エロシーンの一覧表」を作って提出しています

これも私が勝手にやっているだけで、クライアント様から要求されてものことではありません。


・ヒロイン
・場所
・服装
・下着
・着衣状態
・体位
・プレイ内容
・絶頂時の状態
・性描写のページ数
・視点(構図)イメージ



だいたいこれぐらいの情報を各シーンごとにまとめて送付して、イラストレーターさんへの挿絵発注の参考にして頂いてます。

私の進行速度の場合、初稿が終わるぐらいで丁度挿絵の発注というタイミングが多いので、「初稿を終えた段階」にしています。

プロット段階などだとまだ細かい部分の描写が定まっていなかったりしますし。


描写の細かい事は、やっぱり作者のほうが把握していますので、そこをサポートすることで、編集者さんは「どのシーンを絵にして貰うか」の吟味にリソースを割きやすくなるだろうと考えてのことです。

リストの中には、エロシーンじゃなくても、ヒロインの初登場シーンなど、挿絵があると読者は嬉しいかも……というシーンも入れておきます。

抜きどころよりも「いちゃいちゃ感がある絵も見たーい」という読者さんはいると思います。でも、やっぱりエロラノベなのだから、限られた枚数の挿絵は「抜きどころ」に使いたいんですよねー>< 編集者さんはそんな苦渋のせめぎ合いを毎回潜り抜けていることでしょう。

ここで、初日の話題で出た「エロシーンの配分」の話になるのですが、そういうわけで「挿絵の枚数」が大きく関わってきます。

その「抜きどころ」に挿し絵はあるのかないのか?
文庫本サイズだと挿絵は各レーベルで10~12枚ぐらいかと思います。

仮に10枚のイラストがあった場合、挿し絵つき抜きどころは10枚以上には絶対なりませんよね。

抜きどころが10個以上あるなら、そのどれかは挿絵なしになるだろうし、その分、挿絵付きの抜きどころに関わる文章が圧迫されていく。

というわけで、「契約成立」した段階で挿絵の枚数を編集者さんにお尋ねして、それを基準にエロシーンの配分をします。

ヒロインの数が三人ならば、挿絵を各ヒロイン3枚ずつにして、メインヒロインは一枚多く……とか、あるいは乱交のシチュエーションなら、一枚で全ヒロイン入れられるなとか、バックが続くならひとつは挿絵無しにしちゃっていいか……とか。

どこに挿絵を入れるかはあくまでも編集さんのお仕事なのですが、シーンの配分は作者がコントロールできることです(もちろん、カットや修正指示が入ることはありますが)

イラスト10枚に対して文庫ボリュームの約17万字だと、単純計算で1挿絵あたり1万7千字になりますが、エロシーンひとつにそんなに分量は使えない、そのボリュームはいくらなんでも遅漏です。

ですから、抜きどころのシーンはなんだかんだで挿絵の枚数よりは多くなります……私の場合です(ヒロイン数が多いため)

なので、やはり一覧表があると、どのシーンに挿し絵をつけるのかというのは編集者さんたけでなく、作者自身、整理がしやすいです。
さて、そんなこんなで、原稿の修正も終わると校閲を通ってプリントアウトされた「ゲラ」のチェックになります。このあたりは一般の小説と変わらないです。

校閲では誤字など文章的なことだけではなく「社会通念上アウトー」的な部分もチェックされることもあります。

ゲラへの修正指示は校正記号を使って書くのですが、わかんなければ編集者さんに教えてもらいましょう。(編集者さんもそのへんは心得ているはずです)

そこの修正指示に対応したり、自分の方で気づいたことや、印刷してみたらページから溢れてしまった文字列をお行儀よく収まるようにしたりします。

作者コメントも書くことになるでしょう。
あとがきがあるならそれも。また、購入特典のオマケショートショートなど、販促物の仕事なども入ります。(昔没にしたネタなどがストックしてあると陽の目を見ます! もちろん、新規で考えるのも楽しいです!)

作品が紙書籍であり、そしてサイン本のフェアなどがあるなら、出版社から本が送られてきてサインもしなくてはならないでしょう。

サインの練習はしておいたほうがいいと思います。

本が出来上がってからお店に並ぶまでの間のことなので、意外と時間がありません。

そんななかで慌ただしくサインを考えて、練習して(本にサイン書くのってけっこう勝手が違う)……というのは慣れていなければまず失敗します。

自分のサイン本などをわざわざフェアまで足を運んでお求めくださる奇特で貴重な読者様にヘロヘロのサインをした本など!

なので「デビューもしないうちからサインの練習なんて」と夢おろそかにするなかれ。

デビューは突然するものですし、しちゃったら原稿書かなきゃでサインの練習なんぞしている暇はないのです!

クラスにひとりはいた自分のサインを練習している奴は、あながち間違ってもいなかったのかもしれません。

……なんかわけのわかんない終わり方ですが、お仕事の流れと企画書以外に書かなきゃいけないもの(準備しておくといいもの)のお話、以上です。
黒名さん、ご丁寧にありがとうございます。


>契約内容

とても大切ですよね!

……というわけで、次回の座談会は

『作家デビュー前に知っておきたい法律知識(仮)』

と題し、弁護士さんをお迎えする予定です。

みなさん、お楽しみに!


>キャラクター設定資料

「ビジュアルはあまり考えていませんでした」という作家さんも多いですね。

どんなに上手なイラストレーターさんでも、特徴や要望なしで「はい、描いて!」と投げられては困ってしまいます。

ビジュアルは読者の興味を引く大切な要素ですし、なにかそのキャラ特有の(ストーリーに関連した)特徴を、作者さんにも積極的に考えて頂きたいと思います。


>エロラノベならではの配慮

読者がその作品を購入する「目的」をしっかりと考えて配慮がなされているのですね!

ここまでしないと、読者にとって使い勝手のいいエロラノベにはならないのだと思います。

AVでも「そろそろフィニッシュだよ〜」なんて合図がありますよね。

エロ漫画の絶頂寸前で、いきなりシリアスな過去回想へ行ったりしたら「金返せ! 息子に謝れ!」と怒りたくなってしまいます。

エロに限らず、こうした配慮をすることがプロとしてのお仕事なのでしょう。


>サインの練習

みなさん、急いで練習しましょう!

>作家デビュー前に知っておきたい法律知識(仮)

あっ、凄い!
面白そうですね。これは楽しみ!


>ビジュアルはあまり考えていませんでした

編集者さんからは「お任せでもいいですよー」とは言ってもらえるのですが、リテイクになったとき、イラストレーターさんもそうですが、編集者さんにかかる時間の負担って意外と馬鹿にならなかったりしますよね。

お任せにするときは、そこのところもしっかり念頭においた上で「お願いします」とすべきなんでしょうね。

リテイクについて、編集者さんの立場、イラストレーターさんの立場からのご意見もうかがってみたいです。

>使い勝手のいいエロラノベ

エロラノベなど、抜き目的の本は、オカズシーンだけでも何度も繰り返し読んでいただけるというのが、作者としては嬉しいところだとも思います。

「どのシーンでも抜ける!」という作品はまずないですけれど「読者的には一か所でもバッチリ理想のシーンがあれば満足できる」というのも一般小説とは違った面白い特徴かもしれません。


>サインの練習

サインの隣に書き込める「エロ格言」なんかもストックしておくとカッコいいですよ!(笑)

黒名さんが上げてくださった、イラストレーターへの発注の要項は凄く丁寧で助かります。

<「手戻りを恐れる心理が働いて無難なデザインのキャラになりがちなのではないかなと思います。

たまに「絵は素人なので、お任せした方が良いでしょうか?」といった風に考えていらっしゃる方がいるのですが、要望やビジュアル設定と言うのは「この範囲でキャラクターデザインしてください~」という目安です。

目安が分かると、その範囲内アイディアを最大限に生かして自由にデザインでいます。

でも「お任せで」と言われてしまうと、OKの範囲が分からないので、小さめの範囲のアイディアで出してしまいますね(少なくとも私は)

初稿を渡しているから読んだら分かるだろう?というのも、なかなか難しいです。

どれだけ読み込んでも、作者さんが伝えたいイメージと読み手が抱いたイメージっていうのは、完全に一致しないです。

執筆で大変かとは思うのですが、イラストレーターへの発注へも少し時間を割いて頂けるとより良い結果に繋がると思っています。


>具体的な参考例

個人的にこれはすごく助かります。

ただ「この先生の絵のタッチで描いてください」っという風になってしまわないように。

あくまで一部や雰囲気の参考までにです。


>読んだら分かる

ないですよね~(笑)
どれだけ書き込んでも、読者さんの数だけ情景は存在してしまいますもんね。


>具体的な参考例

具体的なサンプル画像を使うときは、そのサンプルの「どんな部分」を参考にして欲しいかも伝え忘れないようにしたいですね!


>イラストレーターへの発注へも少し時間を割いて頂ける

ラノベやエロラノベのような、ビジュアルの比重が高い作品では特にそうですよね。トークノベル然り。

リテイクについて

これは人によって許容量が全然違います。

またジャンルによってもリテイク内容が違ってきます。

書籍などですとキャラクターデザインや衣装といったデザイン面、ゲーム作画などですと人体デッサンの崩れなどが多いですね。

ここでは書籍の作画について、あくまで私個人の意見なのですが、基本的にイラスト制作はリテイク抜きでは完成しないと思ってますの、リテイクは限度を超えない限りOKです。

やはりリテイクは面倒なのでやりたくはない作業ですが、ご意見を聞いてより向上できる機会でもあるので、積極的に取り入れていきたいですね。

ストーリーの世界観と合っている、と言う事がとっても大事なので。

例えば星の王妃様では、第一キャラクターデザインでは王妃様のパンタロンの襟が白でしたが、リテイクでアイコンの事を考えて襟を黒にしました。

このリテイクは凄く助けられたなぁと思っているんですね。


ただ、やめて欲しいな~と言うリテイクも勿論あるわけで、それが要望がハッキリしないリテイクです。

<「なんか違う」みたいなのもご法度

この通りで「なんかしっくり来ない、これやってみて!」「やっぱりこうしてみて!」「やっぱり前の方が良かった・・・」

実際ににこういう状況もありましたが、これは地獄です。

モチベーションがガリガリ削られて、何が正解なのか?分からなくなって良い結果には繋がりません。


なので、前述でも述べましたようにイラスト発注の要望は少しだけ時間を割いて、はっきりと伝えて頂けると嬉しいですね。

もう「まるきりお任せしたい!」という場合、丸投げもありだと思いますよ。

でもその際はリテイクは無し、または最小限が良いかと思います。


でも書籍の作画って、あまりリテイクが出ない印象があります。

ゲーム作画なんかは倍以上手直ししますよ!

がっつり赤ペン入って帰ってきますしね。

<具体的なサンプル画像を使うときは、そのサンプルの「どんな部分」を参考にして欲しいかも伝え忘れないようにしたいですね!


これはすごく助かります!

商業に限らず、絵師さんにイラスト発注したいけど、どうやって発注したら良いのか分からない・・・

という方も、黒名さんが上げて下さったポイントを押えて発注したらスムーズにできると思います。

イラストレーターさん側からのご意見もセットだと説得力が増しますね!
私もなんかちよっと安心しました(笑)

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