フェンリル娘と始める異世界生活

12話:ABC3兄弟登場!

エピソードの総文字数=3,047文字

ここかぁ……。


異世界生活三日目朝。

今更気付いたが太陽は同じみたいだ。色が違うとかもない。

寝ぼけまなこをこすりながらひとり初心者開拓者ルックで目的地へ向かう。

シューマは昨日はあまりいい印象をもっていなかった、協会横の小さな建物の近くまで来ていた。

そこには朝早くから人々がたむろしていた。

皮の鎧を装備していたら上等、剣なんかまともなものはほとんどなく、さびていたり、手入れが不十分だったりしていた。

あんな装備で大丈夫なのかな。
しばらく他の人とあわせて待機していると、小さな建物から協会の受付嬢らしき人物が紙束を持ちながらあらわれた。


皆さんおはようございます!
おはようございます!

挨拶を返したのはシューマだけ。

反射的にでてしまった挨拶に、荒くれどもが一斉に視線を送ってくる。

やってしまったー!

ありがとうございます。

元気がいいのは良いことです。


あいつ……昨日ガラムさんと一緒にいたところをみたぜ……。
ッチ。将来有望な新人開拓者様は気楽でいいねえ。
ぶしつけな目線を送られるシューマ。

頑張って耐えていたが、その視線の種類がちょっと違う個所もあった。

装備は上等な皮鎧、整備されているだろう量産品の剣や大剣、槍を持った3人組がいた。

他と比べて開拓者らしさが高い。

うん。ガラムさんに見染められた新人にしては驕り高ぶったところがないんだな。

新人に慎重さは大切。悪くないんだな。

おっ。可能性があるってことか?
いい筋肉だ。俺には分かる。あいつはいい奴だ。


はーい。注目してくださいね。それではこれから今日の「地下下水道大ネズミ駆除作業」を開始したいと思います。

皆さんのお手元にある用紙を提出してください。

全員が、何度も繰り返しの動作と言うように流れるように用紙が提出されていく。

シューマも流れに合わせて昨日貰っておいた用紙を提出する。

記入文字は書こうと思ったら頭の中で日本語が変換されてくれるようなので大丈夫だった。


みなさんそれでは私の後をついてきてくださいね。

ついていくとレンガでできた人工的なトンネルのようなものが現れた。真ん中に汚水が流れており、そのわきに人間が歩けるスペースがあった。

前にいた人間から数人ずつ順番に下水道へ続く階段へと投入されていく。


新人の方もいらっしゃるので説明いたしますが、この依頼は基本給+出来高払いです。

協会証に記録された討伐数によって報酬が変化しますので、積極的に狩られて下さい。

魔物消滅に取り残された素材はあなたがたが所有権を有します。

故意に他人の魔物を横取りする行為は開拓者関係上危険行為とみなしております。

発覚するとペナルティを課さなくてはいけないので注意してください。

低難易度クエストといえど、正式な協会からの依頼です。

気を抜かずお願いします。

よしっ!いくかっ!
鼠狩りの方法は簡単だった。

いくつかの開拓者投入場所が決められており、ばらまかれた開拓者はその周辺の鼠を片っ端から狩っていくだけ。

昼に一度休憩が入り、午後までみっちり狩ると言う。

依頼1回目にしてはなかなかにハードかもしれない。

ギャウウウウ!?
せやっ!
シューマの振りかぶった剣が体当たりを繰り出してきた人間の半分くらいの大きさの鼠にぶち当たる。

それなりの硬さを誇る(初心者の開拓者の防具になるくらい)おおねずみの皮を抵抗なく切り裂いた。

本来シューマの持った剣の切れ味はいいとは言えないが、シューマの『木が切れるなら動物くらいもっと切れる』という先入観により、淡く薄くオーラが漏れ出て、剣の切れ味を上昇させていた。


切り裂かれた後のおおねずみは黒い煙となって霧散した。内臓を見ずに済んでほっとした。運がよかったら、おおねずみの皮が残ったりするようだが、今回はなかった。


おおお~。魂吸収~。
これが成長のもと、魂の力か~。まあ経験値みたいなものだよね。

レベルアップとかあるのだろうか。

なんにせよ、よしっ!いけるいける! 
そんなシューマを周りは気味悪そうに、いらだたしげに、そして興味深そうにみていた。

シューマ自身は視線を感じるだけなので実害さえなければそれでいいと判断した。



(もしいじめられたらすぐ帰ってガラムさんに愚痴ろう)
くらあああああ!
ギィイイイイ!
最初の数回で慣れてきたシューマは、どんどんと周りの大ネズミを狩っていく


ふう。いい感じいい感じ。ちょっと休憩しようかな。
 


なんだあいつ。昨日開拓者になったばかりだのになんであんなにこなれてやがるんだ。こちとら大ネズミ狩りを日課にしてる日雇い開拓者様だぞ?なんで効率が同じなんだよ!
っち。うっとーしーなあいつ。一回〆るか。鼠狩りはずっと前から俺らの権利だったんだぞ?弱り切ったオオネズミを数体献上するくらいしないといけないよなぁ?

あんな新人に大きな顔をさせておくのは癪だろ。なあお前ら?

(何かやな感じ。顔に僕に対しての敵意が強くでてる……そんな悪いことしたかな僕。……休もう)
10体ほど倒した後、息が乱れ始めたので比較的安全そうな他の開拓者がいない狩場からはずれたところに移動した。
やー!大将! なかなかやるじゃないか! その筋肉は魅せ筋てわけじゃあなさそうだ。
ちょっとちょっと、いきなりすぎて彼が驚いてるんだな。
ごめんよ新人さん。こいつ筋肉がある奴には遠慮しない奴でな

ちょっと自己紹介いいかい?

あっはい。始めまして。もちろんよろしくお願いします。
(これが詐欺じゃなければ雰囲気のいい人たちだな。

フレンドリーな感じだし、話しくらいはいいかな?)

俺はエディ。

Eランク上位だ。獲物は盾剣。剣で守ったり、剣でたたきつぶしたりしている。

三人の中じゃあ一応は防御壁扱いだな。

ネズミ狩りには軽いウォーミングアップのつもりで来ている。

おいらはブラームス。

エディとおんなじEランク上位なんだな。

獲物は槍。牽制が得意かな。

まあ、ウォーミングアップだけじゃなくて他の目的もあるんだな。

そしてオレがクラークだ。

Eランク上位。獲物は斧だな。手斧を使う時もある。攻撃攻撃攻撃だ。力強い斧裁きが俺の武器さ。

前線都市グランフロントで筋肉をこよなく愛する男と言えばオレのこと!

そして新人の筋肉は将来有望だ。俺らの仲間になれ!

(男A。男B。男C。ふむ。ABC三兄弟か。覚えやすい。

…………ってえええええええ!!もしやこれはパーティのお誘い!?

どうする。……どうすんの! 僕っ!?)

あの。僕の名前はシューマです。その話は……

ありがとうなんだな、シューマ。

筋肉云々は抜きにしても、言いたいことは一緒。

おいらたちと一緒に狩りをする徒党を組んで欲しいんだな。


俺達もゆくゆくはFランクに行きたいってのに、いろいろ手こずっててよ。

そんなときに有望そうな新人が来てたから青田買いしようって実行したってことさ。

俺達より先にFランクになったりしても祝福するって約束する。
一人で狩るより全然効率が違うぜぇ?

長期のことは後で考えるとして。

どうだい。試しに今日だけ、組んでみるってのは。

(エディさん、ブラームスさん、クラークさん。

悪い人じゃなさそうな感じがすごいする。大丈夫そう。

もしこれさえ演技なんだったら「超加速」して逃げよう。)

はい。今日一日、お試し徒党を組むのでしたら。


詳しい話は置いておいて、よろしくなんだな!
俺の闘技、見て盗んでもいいぜ?


俺の筋肉の力、見せてやるぜ。驚くなよ?
そうして仮称「ABC三兄弟」と臨時パーティーを組んだ!テレッテー!

いや、ノリで流されて組んだけど、この僕がこのメンバーとやっていけんのマジで……?

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