怠惰の神とフィクションブック

第3話 受肉って言葉はなんかエロい

エピソードの総文字数=1,011文字

むぎゅう……。

いたたたた……。だから言わんこっちゃない。
まったくピピルのやつめ余計なことを。
尻をしたたかに打ち付けるなど50神年ぶりだ。

ありゃっ? かみさま、ここはいったい……!
さっきまでホコリくさいかみさまの部屋にいたはずなのに!

状況を説明する前に、君のその減らない口から
前歯を2、3本抜いてみたいと思うのだがどうだろうか。

暴力反対っす! 憎しみからは何も生まれないっす!

よかろう、私も神だ寛容になろう。
だがまずいことになったぞ天使ピピルよ。
この場所がどこだと聞いたな、答えてやろう。

ここは「私の世界」の中だ。

世界って、あの薄汚れたヌメヌメボールの中ってことっすか?

その通りだ。

どうりでかみさまの生活に負けず劣らず荒んでると思ったら!

君の歯に衣を着せぬ物言い、私は嫌いではない。
このあと衣を着せるべき歯が君に残っていればの話だが。

ぎゃーっ! 勘弁してほしいっす!

冗談はさておき、非常事態であることに変わりはない。
我々は早急に対策を練るべきだ。
ピピルよ、自身の体に何か異変はないか?

あっ、そういえばなんか背が低くなったような気がするっす!
私こんなちんちくりんじゃなかったと思うっす!
これは一大事っす! 背丈を返してほしいっす!

ここぞとばかりに無茶な要求を通そうとする君の
腐りきった性根はいったい誰に似たのだろうね。

背丈ではない、背中に違和感があるだろう。

あっ! 羽根がないっす!
あと頭のわっかもなくなってるっす!

そうだ、世界への直接干渉。それが意味するところは「受肉」だ。
よほど物好きな神でなければ、本来受肉などしないのだがな。

あんまりそういう話は聞かないっすね。

する必要がないからな。時間の流れが違うから、
せいぜいちょっとしたバカンスに来る程度だ。
だが今回はそういうわけにもいかん。

と、言いますと?

世界から出るためには外界からの干渉が不可欠なのだ。
故にこういった事故に対処すべく、
神の身辺には常に天使がはべっているのだよ。

なるほどー、じゃあもし世界に入っちゃったら、
天使に助けてもらえばいいってことっすね。
なんだ、意外とピンチってわけでもないっすね。

その天使も一緒に受肉してしまっているわけなんだが。

アッ。

ふむ、悩んでも仕方あるまい。
しばらくこの世界に世話になるとしよう。
なあに、大抵のことは時間が解決してくれるというものだ。

わあかみさま前向き、大好き!

お前の責任を問うのは外界に戻ってからとしよう。

勘弁してほしいっす!

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