マジカルミュージック

作戦四日目①

エピソードの総文字数=2,447文字

    翌朝、歌音は廊下で大きな欠伸をしている一成を見かけた。歌音は、そんな一成を見つけ、心配になり声をかけたのだ。
2017/08/28 20:26
お兄ちゃん?   寝不足?    目の下にクマが出来ているわよ
2017/08/28 20:28
あぁ……歌音か……おはよう。実はいうとちょっと昨日色々あって寝不足でな……でも、寝落ちするわけにはいかないからな……
2017/08/28 20:30
    一成は、再び大きな欠伸をしているのが確認できた。歌音は、心配そうに一成を気遣おうとして廊下の隅っこの方に手引きする。

    そして、歌音は廊下の隅っこの方に座り、一成にも隣に座るように指示する。すると、一成は歌音の隣に渋々と座り、大きな欠伸をしたのである。

2017/08/28 20:32
お兄ちゃん……疲れてるんでしょ?    ここ数日、相馬先生に引きずり回されてたの知っているから……。だから、ちょっとぐらい仕事サボっても大丈夫だと思うよ?
2017/08/29 08:59
でも……歌音……。バレたら俺が怒られるんだぞ!!    ちょっとぐらいってのが命取りになることだってある。俺とお前が腹違いの兄妹だってバレたら余計に厄介なんだ!!    俺と歌音は、親族で学園には通しているから余計に面倒なんだ……こんな所見られたら……
2017/08/29 09:03
お兄ちゃん……ウダウダうるさい。……っていうかこの廊下通るのクラスの人たちだけだし……。別に見られたところで何も変わらないでしょ!!
2017/08/29 09:06
確かにそうだが……
2017/08/29 09:07
十分ぐらいの仮眠……誰も怒るわけないでしょ!!    とにかく、十分経ったら起こしてあげるから。お兄ちゃんは、今は休息が大事なんだよ
2017/08/29 09:08
    一成は、歌音の提案に渋ったが、歌音の強情さに負け、歌音の提案に乗るのであった。そのあと一成は、すぐに寝落ちしてしまったのである。
2017/08/29 09:09
お疲れ様……お兄ちゃん。よく頑張ったわね。妹の私から見て誇りに思うわ
2017/08/29 09:11
    十分後に一成を起こした歌音は、みんなが集まっている講堂に向かった。一成も少し元気になったような気がして歌音は安心した。
2017/08/29 09:14
    合奏の時間がやって来た。何時ものこのドキドキする時間がやって来た。歌音にとっても合奏のメンバーにとっても火花を散らす時間だ。曲を全力で指揮者にぶつけ合う時間でもある。ソリストと指揮者のぶつかり合いとおいかけっこ。それがなかなか成立しなかったのが、この楽団である。圭は見事なまでに相手を恋に落とすような演奏をしてくるので歌音は毎回戸惑っていた。指揮者を捕まえるような演奏に歌音は、戸惑うことしか出来なかったのだ。

    そして、今日も「マナティー・リリック序曲」のトランペットソロで歌音は指揮を止める。

2017/08/29 17:48
圭くん……私を捕まえるんじゃなくて聡太くんの心を捕まえにいかないと……。私を落とすのは、まだ数年早いわよ
2017/08/29 17:55
俺、そんな曲調にした覚えがないぞ?
2017/08/29 17:56
でも……、私にはそう聞こえるのよ。もう一回、「マナティー・リリック序曲」のトランペットソロからお願いします
2017/08/29 17:57
    不機嫌そうに歌音を見つめる圭は、トランペットのマウスピースを唇に当て、大きな息を吸い込み、唇を震わせた。ぶっきらぼうなトランペットソロの音色が講堂に鳴り響く。歌音と圭が出会った頃の音色だ。しかし、今回の音色には嫉妬の念が籠められていた。圭が嫉妬していることに気がついた歌音は再び指揮を止める。
2017/08/29 17:58
あの圭くん……。この曲には、嫉妬の心なんて必要ないよ。とりあえず、圭くんは後で私の所に来るように……。先に進むわよ……
2017/08/29 18:02
……
2017/08/29 18:03
    そのままお昼休みになった。思ったような曲が完成しなかった歌音は圭を呼び出し、話を聞いてみることにした。圭は、ぶっきらぼうな表情を浮かべ、歌音を見つめていた。何に嫉妬しているのか歌音には分からないことだったのだ。恋愛感情というものを歌音は知らないし、まだ自分には早いと思っていたのだ。しかし、それが正しいとは限らない。乙女でいられる時間は限られているから……。
2017/08/29 18:04
どうしたの?    今日の圭くん……いつものテンションらしくないわよ?    何かあるなら私が聞くから話してくれないかな?
2017/08/29 18:32
別に何でもねぇよ。俺、嫉妬しているわけではないけど……ただ、あの行為は俺は許せないなぁ……。俺だっていくら柏原先生がお兄さんだからってあんなに仲良くされたら嫉妬するに決まってるじゃないか……
2017/08/29 18:50
やっぱり見てたんだ……お兄ちゃんと一緒にいるところ……
2017/08/29 18:53
そうだよ……俺は、嫉妬してたんだよ。嫉妬ってこんなにどす黒い感情なんだな……。俺も初めてだから戸惑った……演奏に私情を持ち込んで悪かった……
2017/08/29 18:54
    圭は深々と歌音に謝った。別に歌音は謝ってもらう必要などないのだ。圭が誠心誠意演奏をしてくれれば歌音だって文句は言わないのだ。そんな歌音は、今どんな感情かというとちょっと複雑な感情であった。圭に謝らせて歌音は何もしないというのは歌音の中でも納得はいかない。
2017/08/29 18:56
圭くん……。色々と誤解させるような事してごめんね。どうしたら許してくれる?
2017/08/29 19:00
じゃあ、頭撫でてくれ。だって、柏原先生の頭も撫でていたからそれぐらい出来るだろう?    俺は歌音のパートナーだし、歌音の考えていることなら何でも分かるんだからな♪
2017/08/29 19:07
うっ……分かったわ……
2017/08/29 19:11
    歌音は、観念して圭の頭に手を乗せた。とても癖のある髪だが、さらさらしていてとても気持ちがいい。触り心地も最高だ。途中で圭と視線があう。とても赤面しており、真っ赤に紅潮しているのが分かる。それを見た歌音も恥ずかしくなり、顔が熱くなってくる。別に歌音も圭も変なことは考えていない。考えている人間は限られている。そんな事考えていたら変態だ。しかし、歌音も圭も変態な所はある。だって、人間で変態じゃない人はいないんだから。
2017/08/29 19:11
圭くんの髪の毛さらさらしていて気持ちいいかも……。もう少し触っていたいわ
2017/08/29 19:16
お前……俺以外の男にそんな事言うなよ。男は、羊のようなやつでも中身は狼なんだからな。歌音に触れられると俺は落ち着くよ……
2017/08/29 19:18
    これで嫉妬の感情がこもった音はなくなった。午後からは、私情とかはなしで心のこもった音楽を奏でよう、と歌音は心に決めるのであった。
2017/08/30 16:19

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