【ユーザー企画】最高のプロローグ選手権

碧るいじ

エピソードの総文字数=608文字

その日は朝から夜だった。


だからまだセーフ。アルバイトに行く時間ではない。

お休みなさい……zzz……


「そろそろ目的の村です! 目覚めてください、光の勇者様!」


我の眠りを妨げる女性の声。

乱暴に揺さぶられ、俺の身体が激しく上下(?)に跳ねる。


はて? なぜ一人暮らしの俺の部屋に女が?


「これ以上は闇が深過ぎて進めねぇ! 悪いけどここから先は……」


しゃがれた男の声に続く突然の馬のいななき。


同時に身体が宙に浮き、空を切る俺。

何かに激突し、絡み合う俺。

ときめきの予感を感じ、瞼を開ける俺。

真っ黒なゾンビと、熱い口付けを交わしていた俺。



なんじゃこりゃあああ!?



「勇者様、また身体を張って……。お見事です!」

midori64

急停止した馬車の荷台から身を乗り出し、瞳をキラキラ輝かせている修道女。

比喩ではなく、彼女の目は自動車のハイビームのように光を放っていた。


まぶしっ!


馬車には同種の黒いゾンビが群がりつつある。

こういう時、俺はどんな顔をさせればいい?


キスを交わしたゾンビの闇がボロボロと剥がれ落ち、光り輝くおっさんの笑顔が現れた。


――そう、笑わせばいいのだ。


心の闇に支配された人々は『陰キャバス』となって、更なる闇を振りまく亡者と化す。

太陽さえ奪われたこの世界の唯一の灯、それは笑顔から生まれる魔法の光。

落ちぶれた一発芸人だった俺は、異世界召喚され闇を払う勇者となった。


さぁ、笑いに飢えた亡者共よ、俺のギャグを喰らいやがれ!



「がちょぉぉぉん!!」

midori64

  • ツイート
  • ツイート
  • シェア
  • LINEで送る

ページトップへ