アストロン~他人を操れる四駆マシンで自由を手に

荒野の決闘 カウボーイVSメガネ 前編

エピソードの総文字数=4,486文字

今回のガールズカップも園内で密かに観戦していた半田秀仁。そろそろ帰ろうかと、Uターンするが……。

ヒュン。突如、BB弾が秀仁の顔面を横切る。

2018/01/07 18:29
「むっ? 誰ですか?」
2018/01/07 18:31
反応して振り向いた先にはカウボーイファッションの青年が銃(の玩具)を構えている姿があった。

彼はテンガロンハットのつばを人差し指でクイと上げ、シニカルな笑みを浮かべた。

2018/01/07 18:32
「ほんの挨拶さ。アストロンレーサー」
2018/01/07 18:33
「君はまさか?」
2018/01/07 18:34
カウボーイ風の男はオレンジ色の車の玩具=アストロンを堂々と翳す。
2018/01/07 18:34
「牡牛座のマシン、ワイルドガトリンガー。そしてミーはビリー錦戸。タウラスのアストロンレーサーだぜっ!」
2018/01/07 18:35
Wガトリンガー。アメリカンなデザインのマシンであり、銃口のようなフロントノーズが特徴のマシンである。
2018/01/08 01:22
「なるほど。牡牛座でしたか。では僕も自己紹介しましょう。僕の名前は半田秀仁。26歳。天秤座のレーサー。そしてマシンは……」
2018/01/08 01:19
秀仁、片手に持つアストロンをドンと翳す。
2018/01/08 01:21
「これが天秤座のアストロン、ジェニオリブライダーです」
2018/01/08 01:21
Jリブライダー。他のどのマシンよりもメカニカルなフォルムを持ち、クリアーパーツのカバーに覆われた内部メカが一部見えているのが特徴だ。
2018/01/08 01:23
「ひゅう♪ 訳すと天才天秤くんか。ユニークな名前だなミスターリブラ」
2018/01/08 01:24
「(メガネをクイと掛け直し)それにしても随分な挨拶ですね」
2018/01/08 19:52
「これがテキサス式の挨拶だぜ」
2018/01/08 19:53
ビリー、エアガン(車の玩具)をクルクルと手元で回し、ホルスターへと収める。
2018/01/08 19:53
「さて、レーサー同士が出会えば、やることはオンリー。勝負だぜっ! それとも、ユーは売られた勝負を買えないチキンなのか? チキンはナゲットだけで十分だぜ」
2018/01/08 19:56
「(こめかみをピクリと動かし、)ふむ……。いいでしょう。大口叩けるだけの実力があるかどうか、測らせて、貰いますよ。天秤座だけにね」
2018/01/08 20:00
「ほう。面白いことになっているじゃないか」
2018/01/08 20:02
歩いて来る勝獅に秀仁&ビリーは気付く。
2018/01/08 20:02
「! 君は……」
2018/01/08 20:03
「Oℎ。レオボーイ……」
2018/01/08 20:04
「俺も色んなレーサーと会って、戦ってみたい。混ぜて貰おう。……と言いたいところだが、ここはお前ら2人の一騎打ちの方が面白そうだ。俺は観戦させて貰うとしよう。構わないか?」
2018/01/08 20:05
「えぇ構いませんよ。見届け人は必要ですしね」
2018/01/08 20:06
「ミーもウェルカムさ。レオボーイ」
2018/01/08 20:07
ビリーはチラシ1枚を秀仁へと豪快に投げ飛ばす。
2018/01/08 20:08
「受け取れミスターリブラ! そこで明日、イブニングファイブオクロックで勝負だ。待っているぜ、イャッハーッ!」
2018/01/08 20:09
ビリーはエアガンを天井へ派手にブッ放し、気分揚々とした様子で去って行った。

まるで荒野のバイソンの如く荒々しい男であった。

2018/01/08 20:12
「ふむ。夕方五時ですか。カウボーイだけに夕日の決闘を所望というところでしょうかね?」
2018/01/08 20:13
「場所は何処なんだ?」
2018/01/08 20:14
勝獅が秀仁の持つチラシを覗き見ようとする。

それを察した秀仁は勝獅にも見える位置へチラシを持っていく。

ウエスタンゲームランドという、19世紀・西部開拓時代・北アメリカ風のテーマパーク広告であった。

2018/01/08 20:15
「ウエスタンゲームランド? 奴が経営する店だろうか?」
2018/01/08 20:19
「(首肯し、)恐らくは……。彼のホームグラウンドということですか。まぁいいでしょう。ならば、こちらも情報収集をして情報格差を是正するまで。他愛のないことですよ」
2018/01/08 20:20
秀仁が歩き去ろうと一歩踏み出そうとしたところ、勝獅が呼び止める。
2018/01/08 20:22
「待った。あんたの目的は何だ? まさかアストロンの力を今まで全く使っていないワケがないよな?」
2018/01/08 20:22
「(足を止め、)目的……ですか。それを説明するには今は資料不足です。明日、資料を携えて説明するとしましょう。それでいいですか?」
2018/01/08 20:23
「俺は構わないが、そちらの時間は大丈夫なのか? レースの準備だってあるだろう?」
2018/01/08 20:24
「いえ。データを印刷する程度のことですから、大した労力にはなりません。会社勤めに比べれば、断然楽なことですよ(鼻で笑う)」
2018/01/08 20:25
「社会人経験者か……。だが、言動から推察するに今は辞めているようだな」
2018/01/08 20:27
「君は頭のいい人間とはどういう人間だと思いますか? 劣悪な労働環境に耐えられる人間でしょうか? それとも……」
2018/01/08 20:28
「フ、あんたが頭のいい人間であることだけは事実だろうな」
2018/01/08 20:31
「ふふっ。まぁ、そういうことですよ。ふふふ……。では今日はここで失礼。帰ってからやることがあるのでね」
2018/01/08 20:31
秀仁の背中が遠く、小さくなっていくのを勝獅は見届けた。
2018/01/08 20:33
「牡牛座に天秤座のマシンか……どんな走りをするか見るだけでも楽しみだ。そして、ビリー錦戸と半田秀仁。どちらも、何かを変える為に行動を起こしているようだ。そのあたりもしっかり知っておかないとな」
2018/01/08 20:33
その日の夜。麗羽は新居・アパートでテレビを見ながらくつろいでいた。

適当にチャンネルを回してみると、アストロンレース・一般参加型・100万円争奪戦というバラエティ番組を目にした。

2018/01/09 00:57
「あれ? こんなのやっていたんだ。そういや、賞金の出る一般参加レースもやるって言っていたっけ。これ、光我くんが考えたのかな? 桜華ちゃんにちょっと訊いてみよっか」
2018/01/09 01:00
麗羽は桜華に電話を掛けた。桜華も自宅におり、すんなりと電話に出てくれた。
2018/01/09 01:02
「らりほ~。どったの~?」
2018/01/09 01:03
「あのね。ちょっと訊きたいことがあって……。アストロンの公式レース関係のビジネスを立ち上げたのって、光我くんなの?」
2018/01/09 01:04
「ん? そうだけど? 基本アイツが言い出しっぺで仕切っているし。まぁでもあたしも馬慧くんも手伝いぐらいはしたよ。動かすべき企業や機関を操りには行ったりしてね」
2018/01/09 01:05
「そうだったんだ……。なんか、申し訳ないなぁ。あの人ばかりに頑張らせているみたいで。あたしなんか、皆が用意してくれた環境に乗っかっただけだし」
2018/01/09 01:08
「いいの、いいの。気にしない、気にしない」
2018/01/09 01:09
「い、いいのかなぁ? そもそもアストロンって人類が滅亡しないように神様から与えられたものでしょ? あたしも何か世の中の為にやらなきゃいけないんじゃあないかなぁ?」
2018/01/09 01:09
「世の中の為? もうなっているんじゃないの? あたしらのレース、かなりお客さん来ていたみたいだし。あと、後で配信された公式動画の再生数もスゴイらしいよ? これってさ、経済を回しているってやつじゃな~い?」
2018/01/09 01:11
「確かにそうかもしれないけど……。でもそれだけでいいのかなぁ?」
2018/01/09 01:13
「いやぁ、頑張りたいって気持ち自体は悪いとは言わないけどさぁ。頑張り過ぎて・思い詰めすぎて自分自身を苦しめるのは良くないんじゃないの? 例えば、ブラック企業の改善をしに日本中飛び回る? しんどいよ~? 途方もないよ~?」
2018/01/09 01:14
「それはそうだけど……」
2018/01/09 01:17
「アストロン関係でお金を稼げるようになっていくんだから、ブラック企業で働く人間は自然と減っていくんじゃな~い? 大丈夫、大丈夫。気楽にいこうよ」
2018/01/09 01:17
少し逡巡しましたが彼女に諭され、たちまちのもやもやは晴れました。

「うん。それもそうだよね。人が減って困るなら、ブラック経営もやらなくなるよねきっと……」

2018/01/09 01:19
翌日。夕方3時30分。

勝獅と馬慧は決闘場:ウエスタンゲームランドへと足を運んでいる途中だった。

2018/01/09 01:21
「女子レーサー3人はスイーツバイキングだってさ。女ってそういうの好きだよなぁ」
2018/01/09 01:22
「俺たち男ほどトイホビーに熱中するような生き物ではないのだろう。女という生き物は……」
2018/01/09 01:23
歩いている途中、テンガロンハットに、カウボーイファッションの大柄な外国人を発見。ビリー錦戸と遭遇した。
2018/01/09 01:24
「ひゅぅ。レオボーイじゃないか。それと隣にいるのはサジットボーイじゃないか! 見ていたぜぇ。ユーたちのレース。最高にブレイジングなレースだった」
2018/01/09 01:25
「っつーことはあんたがビリー錦戸か。そっちはもう知っているみたいだけど、俺は弓家馬慧。よろしくな。今日はこっちがお前のレースを見せて貰うぜ」
2018/01/09 01:27
「オケーイ。キャモン。ミーについて来るといい」
2018/01/09 20:33
以降、歩きながらの会話となる。勝獅がまず話題を持ち出した。
2018/01/09 20:34
「ところでビリー錦戸。あんたはメジャーリーガーだったんだな」
2018/01/09 20:34
「ちょっと調べたらすぐに出て来たぜ。アメリカではあんた、有名なんだな」
2018/01/09 20:35
「ひゅう。そこまでリサーチ済みか。イエース。ミーはかつてメジャーリーガーだった。怪我で引退してからはマミーの故郷・ニポーンで暮らすようになったのさ」
2018/01/09 20:35
「へぇ~」
2018/01/09 20:37
「娯楽も豊富で中々エキサイティーングなところだと思ったよ。食事もデリシャースだしね。……ただ、このカントリーもアスリートには冷たいようだ……」
2018/01/09 20:37
そうしている間に、目的地・ウエスタンがーむランドへと到着した3名。

初めて見る西部劇の街並みを完全に再現した施設に勝獅と馬慧は圧巻。

2018/01/09 20:39
「うひゃあ。スゲェ!」
2018/01/09 20:41
「レースまでまだ時間がある。ドリンクでも飲むといい。キャモン」
2018/01/09 20:41
ビリーに連れられ、複数ある建物のうちの1つへと勝獅&馬慧は入った。
2018/01/09 20:41
「むっ? あいつらは……?」
2018/01/09 20:42

店内にはダーツゲームをしている青年~中年が数名いる。

勝獅が店内で見かけたその人物達には見覚えがあった。
2018/01/09 20:43
「元・サッカー選手の中山雅樹、元・野球選手の檜山孝信、元・ふぃきあスケート選手の鳥羽ヒカル。全員・元スポーツ選手ですね」
2018/01/09 20:44
ギラリとメガネが逆光する。

勝獅たちが声に反応し、振り向くと、秀仁が悠々と歩いて来るではないか。

2018/01/09 20:45
「ミスターリブラ……」
2018/01/09 20:46
「……にしても、なんでまた元スポーツ選手がこんなところにいるんだぁ?」
2018/01/09 20:47
「ここはダーツなどのゲームをしてマネーを稼ぐ場所。アナザーの言い方をすれば、元アスリートの新たな稼ぎ口なのさっ」
2018/01/09 20:47
「全てのスポーツ選手が引退後、タレントや指導者になれるワケではない。従来なら存在しない稼ぎ場を作ったという事か。アストロンを使ってな」
2018/01/09 20:49
「ザッツラーイトォ。レオボーイの言う通りさ。ミーも彼らもアスリートとは不器用な連中ばかりでね。今までスポーツ一筋で生きて来ておいて、急に別の事なんて出来る奴ばかりじゃないのさ。それなのにソサエティというものは自己責任だと切り捨てる……。あんまりだとは思わないか?」
2018/01/09 20:50
「んまー、言われてみればそーだよなー」
2018/01/09 20:52
「だからミーたち元アスリートのベストプレイスを作ったのさ」
2018/01/09 20:53
「……なるほど。まぁ、スポーツ選手については興味がないのですが、そういった受け皿の存在は他の人たちにも都合がイイ。元スポーツ選手たちが一般企業や公務員への就職戦線に乱入されてはライバルが増えて大変ですからねぇ」
2018/01/09 20:54
「フッ、スパイシーマウス(辛口)だぜ。ミスターリブラ」
2018/01/09 20:57
「恵まれた環境に生まれた人間は恵まれない環境に生まれた者からすれば嫌味に映る。当然のことですよ。だが、妬むのも対立するのも不毛。なので、スマートに証明しましょう。僕のマシン・Jリブライダーの方が優れたマシンだとね」
2018/01/09 20:57
「ひゅう。中々のジャブだぜ。オケーイ。ミスターリブラ、勝負といこう」
2018/01/09 21:01
オフロードの路面に、一本引かれたスタートライン。その真後ろへ2台のフォーミュラモードアストロンが並ぶ。

2階コテージより上から観戦&審判を務める勝獅&馬慧が待機中。

2018/01/09 21:02
「よし、では行くぞ。レディー、ゴーッ!」
2018/01/09 21:04
勝獅が掌を上げた。スタートコールを受け、牡牛座のマシン・Wガトリンガーと天秤座のマシン・Jリブライダーの一騎打ちが火蓋を切った。
2018/01/09 21:05

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