黄昏のクレイドリア

15-1

エピソードの総文字数=810文字

はぁ、はぁ……
……道もないこの森の中だ、
おれに追いつけるわけ――――
なーに?
うわぁっ?!
後ろを振り返り、
既に目の前に居たカノンをみて
仰天した少年は、思いっきり尻もちをついた。
な、なんで、いつの間に……
それになんだその白い服!
そんなのさっき着てなかったじゃんか!!

あ……あれか!魔術師ってやつなのか?!
今はそんなことは
どうだっていい。
あんた、一体何を見たの?
…………。
だめだぞカノン、
怯えちゃってるじゃないか。
ディーン。
一先ず落ち着けと言うように
カノンの肩にぽんと手を置く。

そして自分に任せろというように
視線を送ってから、片膝をついて屈み込み、
少年と目線を同じくした。
それで……
君はどこから来たのかな?

森は一人で歩くには危険だし、
何よりこの雨だ。
場所がわかればおくっていくよ。
……………………むら
村?
……あぁ、村だよ、悪いかよ!
あんな村が帰る場所だなんて、
おれだって認めたくない…………。
……でも、またあいつらが……
…………。
!!
少年からは堰を切ったように
言葉が流れ出していたが、
ふと我に返ったように、
カノンたちへと顔を向ける。

帰れ!!
へ?
帰れっていってんだよ!
これであんたたちまで来たら、
ロクなことになんない……!!
言葉の勢いに乗り、
直ぐ様立ち上がって
少年はまた走り去ろうとする。

しかし今度は、その首根っこを
カノンが掴んでいた。
いででッ?!
同じ手はくわないわよ
くそっ、離せよ!!
………………。
カノン、離してやろう。
ディーン!でも――――
いいから離すんだ
…………。
単純に、少年に対する哀れみだけで
放った言葉ではないと感じたカノンは、
ディーンの言葉を聞き入れ、
掴んでいた手をはなした。
…………、
……絶対にくるなよ
自由の身になった少年は
一度だけ振り返ってから、
彼の言った村のある方向だろうか、
迷い無く森の奥へと一直線に走って行った。
…………。
その様をカノンは歯がゆい思いで見送る。
少年の姿に、今は姿を消したセシルを重ねながら。

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