マジカルミュージック

音楽よりも甘いキス

エピソードの総文字数=2,608文字

    こんなことは初めてだった。

    今、目の前に好きな人がいる。

    何年も歌音が勘違いをし続けてきた大好きな人が……。

    はっきり言って貞操の危機ですが……。これはこれで良いんだよね?、と歌音は自分に言い聞かせる事しか出来ない。

    大好きだから圭の事を受け入れよう。

    しかし、いざってなると人間は怖じけついてしまうのが事実なのだ。

なぁ、歌音
圭くん、どうしたの?
目を閉じてくれ
えっ?
とにかくいいから目を閉じてくれ
分かったわ
    歌音は圭に言われた通り目を瞑った。何をされるのか分からないから変にドキドキしてしまう。

    その時だった。歌音の唇に温かくて柔らかい何かが当たった。驚きのあまり歌音は目を見開いてしまう。

    目の前には、圭の整った顔がある。この時初めて歌音は圭にキスされている事が分かったのだ。

    圭は、歌音が目を見開いたのを確認すると歌音の頬に手を添えて、耳元で甘い声で囁く。

こらっ。目を閉じてろって言っただろ
だって、いきなりキスしてくるとは思ってなかったから……
まぁ、俺は良いんだけどね♪
もしかして私、変な顔してた?!
いいや、全然可愛かった♪
    可愛い、と圭から言われ、歌音の頬はますます真っ赤に染まっていく。

    はっきり言って恥ずかしい。

なぁ、歌音。もう一回キスしても良いか?
……良いよ。圭くんにならキスされるのも悪くないかも……
今度はちゃんと目を閉じていろよ
分かってる。次は、ずっと目を閉じているから……。『音楽よりも甘いキス』をお願いね
    歌音は、再び目を閉じた。目を閉じると同時に圭に甘いキスを落とされた。さっきより深めのキス。ベッドに押し倒されている状態だが、癖になったらどうしてくれようか。イケメンは、キスやら上手い設定とか存在しているのか……、と歌音は考えてしまう。

    歌音は圭にバレないように薄く目を開く。すると、黒い靄のようなものが圭から抜けていくのが見えた。これが呪いの正体?

     黒い靄はいつの間にか綺麗さっぱり圭から抜けきったのを歌音は見ていた。

    それにしてもキスの時間が長い!!

    歌音は息苦しくなり、圭の肩を叩いた。すると、圭は歌音から距離をとり、離れた。

やっとだ……。念願だったんだ……
ちょっと圭くん、キスの時間長いよ!!    腰抜けになったらどうしてくれるのよ!!
その時は、俺がお持ち帰りしちゃおうかな♪
そういう冗談は抜きで……あれ?    圭くん、何か苦しそうな表情してるけど大丈夫なの? 
    一瞬圭が顔をしかめたのを歌音は見逃す筈がない。

    圭は、苦笑いを浮かべるしかない。

生理現象……って言うかなんと言うか……。何か俺、最初から最後まで最悪な奴だなぁ……
生理現象?
まあ、そういうところ。はっきり言ってしまえば幻滅されるから言わないけど……。このままだと悠も巻き添えだし……
悠くんも巻き添えの生理現象って何なの?
まぁ、はっきり言ってしまえば俺と悠はほぼ一緒の時間に生まれたんだよ。結愛は一日遅れ。俺と悠は、一卵性双生児だな。だから、能力に追加されているのが『テレパシー』なんだよ。昴よりは弱いけど……。俺が痛みを感じれば悠も痛みを感じる。俺が怒りを感じれば悠も怒りを感じる。一心同体なんだよ……
一心同体……。圭くんがこうしている間に悠くんは……
もちろん、半地獄を味わっているだろうな……。悠には申し訳ないが……
圭くんが苦しんでいるのは見てられないよ!!    私に出来ることがあれば言って!!
    歌音は、咄嗟にベッドから起き上がり、圭の手を掴んだ。

    圭は、歌音の咄嗟の発言に驚きを隠せない。圭は考え込む。顔を赤らめ俯いてしまう。歌音は、圭の心の音を聞く。圭の心には、天使と悪魔がせめぎあっているのが見える。これは、どういう意味なのだろうか?    歌音には理解が出来ない。

歌音
な……何?
気持ちいい事、やっちゃおっか♪
    血の気がひいていく。歌音は、驚きのあまり口をぽっかり開けて固まってしまった。

    「気持ちいい事」って何?    歌音には理解できない。理解できないからこそ未知の領域に踏み込むことを躊躇したくなった。それもそのはず。「悠も巻き添え」と聞いた歌音は、他人を巻き添えにしてまであんなことやこんなことをしたくはない。

あ……あの、圭くん……
何だ?
ちょっと今、生理中で……
    もちろん、「生理中」というのは、真っ赤な嘘。この貞操の危機を回避する唯一の方法だ、と歌音は思いついた。

    それにしても男という生き物は強引だ。とんでもないことを圭は考えているに違いない。歌音は、じりじりと圭から距離をとろうとした。

    しかし、圭は歌音の事を逃がさなかった。手を掴み、とんでもないところに歌音の手を持っていった。

こうなったのは、全部歌音のせいだぞ?
わ……私のせいなの?    よく分からないけど……。何でこうなったの?    私には分からないよ
だから、ヤっちゃおっか♪
ちょっと待って!!    キス以上はダメだから!!    圭くん、これ以上は法的問題になっちゃうから!!
    そ……そうだ。法的問題の事があるじゃないか。それを理由に逃げれば良いんだよね、と歌音は思ってしまった。

    しかし、またしても圭に邪魔される。

こうなったのは歌音のせいだからきっちり責任とれよ。「何でもやる」って言ったのは歌音なんだから……。俺の事、少し楽にしてくれよ。悠の事なんて今はどうでもいいから……。頼むから。はっきり言ってはち切れそうで辛い……
    顔を真っ赤に染めた圭は、大事な所を隠すようにして歌音を見つめる。潤んだ瞳で歌音を見つめる姿ははっきり言ってエロい。イケメンは、こういうことになると皆エロくなるのか?!、と歌音は一人で自問自答を繰り返す。

    「もうなるようになれ!!」、と歌音は圭に近づき、耳元で囁く。

何をしてほしいの?     圭くん、教えてくれないと分からないよ?
んな、辱しめる行為するなよ……。とにかく触って欲しい……
    何なんだ、この展開は!!!!

    歌音は、もう何も知らない。圭に近づき、唇にキスを落とす。

   『契約』?     そんな事もう知るか!!    一成……もう怒られても構わない。

    二人の世界は、今から色づき始める。

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