叔父の紹介でリゾートホテルへバイトに来たけど私の知らない場所で陰謀が渦巻いてる

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エピソードの総文字数=996文字

私はナツキ。大学一年生。  


初めての夏休みは、親戚に紹介してもらった海辺の高級リゾート地でバイトをしてる。

私の仕事は、プールサイドで飲み物を運ぶ係。ウェイトレスっていうのかな。

お客さんはみんなバカンスを全力で楽しんでいて、正直超うらやましい。

なんで目の前が海なのに、プールでくつろいでるんだろ?
泳ぐのが目的じゃないからだよ
独り言のはずなのに、同僚で同じく大学生の山代君が答えた。
いやいや、そもそも泳いですらいないじゃない。パラソルの下でドリンク飲んでるだけだもん
それもそうか。でもさ、砂浜だと汚れるし、ドリンクひとつ注文するにも面倒だろ。海の家でコーラ買うようなメンツじゃないしさ

言われてみれば、そんな貧乏臭い休暇を送るような客層でもない……


宿泊客がプールサイドから去っていくと私の出番。

トレー片手にそそくさとグラスを片付けに行く。

きゃあッ!
濡れた床で思いっきり転んだ。トレーを落さなかったのだけは、褒めてほしいところ。
君はおっちょこちょいだな。もっとゆっくり歩けよ
す、すいません……

山代君にたしなめられつつ、引き起こしてもらう。

みっともない。

こんなんじゃ、リゾートバイトでロマンス、なんてのも、多分ないな。

いや別に山代君と付き合いたいとかいうわけではないけども。



     ☆ ☆ ☆


わあ、かーわいい団体さんだあ~。とりあえずお水でいいのかな
コップ持っていって。俺もピッチャーとメニュー持って一緒に行くから
らじゃ!
ざっと見で八人ぐらい? 大人は四人なので、親戚の子なのかな。海の方が正直楽しそうなんだけど、ここでいいのかな?
わーい
にげろー

急に走り出す子供たち。鬼ごっこでも始めたのかな。

って、こっちに向かって――


きゃあああっ!

絶体絶命、子供がよそ見をしたまま私につっこんできた。よろける私。

もう、ダメ……大惨事になっちゃう……

はっ!!

私の後ろから山代君が滑り込み、自分の体で私を受け止め、空いている方の手で私のトレーをキャッチ!

あまりのことに呆然としていると、全員からものすごい拍手。

大丈夫?
……うん
おねえちゃんパンツ丸見え!
うそ!
ちょ、うごくなバカ!

バシャーン!


次の瞬間。

暴れる私は、山代君にプールへと蹴り落とされてしまいましたとさ。


――コップ代の方が高くつくから、だって。



やっぱないわ。

リゾートバイトでロマンスとか。





……でも、もっと違うハプニングが、きっと自分を待ってる。

そんな気がする。

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