黄昏のクレイドリア

12-3

エピソードの総文字数=611文字

水だけでなく、闇が行く手を阻む中、
カノンは呼び石の光源を頼りに、
一つの思考を巡らせながら
壁沿いに水底を目指して潜っていた。
(セシルの反応を見るに、
 あの落とし穴は
 あたしかイーリアスの
 魔力に反応して、発動した。)
(確か月の民は、
 アーティファクトの製作者
 と言われると同時に、
 魔術の扱いにも長けていた民族だったはず。)
(だったら……、うっかり
 落ちるはずではなかった
 人間が落ちてしまった時の対策として、
 用意してある帰り方も、
 きっと魔力が関係する――)
水中を泳いでいたカノンの目に、
人が2、3人 通れそうな幅の横穴が映った。
(……まだ息は続く、行ってみるか)
横穴へと潜っていくと、
先へ先へと穴は続いていく。

人工的に整備された回廊とは
打って変わった、自然の岩肌に
身体を引っ掛けないよう、
注意を払いながら泳いでいった。
(そ、そろそろ一度
 戻ったほうがいいかも……)
(……ん?)
息が苦しくなってきた矢先に、
行き止まりに突き当たる。
その代わりに、上方へと空間が続いていた。
カノンがそう理解したのも、
上方から僅かに光が漏れていたからだ。
(いい加減水面に着いて、
 お願い……!)
ぷはっ!
水面から顔を出し、
大きく呼吸を繰り返しながら
地に上がると、中央に据えられた
台座に乗った水晶玉が、
こじんまりとした空間を
ぼんやりと照らしていた。
……アタリね。
カノンは光源代わりに使っていた呼び石を、
本来の役割を果たさせる為に、
口元に近づけた。

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