『みじょかもんの祈り ー 心の貧しい人は幸い? ー』

01. 「初のハローワーク。無職の道へ。」

エピソードの総文字数=1,238文字

そこは、熱気で溢れていた。
大勢の人たちが、列をなしていた。

ここは、埼玉県のハローワークである。
私は失業保険の手続きをしにやって来た。。

人生初のハローワークだった。
こんなに人が職を求めているのを知らなかった。
様々な人がカウンターで職員と話している。
それを横目に、整理番号のチケットを取り、順番を待った。

呼ばれるまで、時間がありそうだったので、外に出た。
当時、私は喫煙者だったので、タバコを吸えるスペースへ移動する。
喫煙所にも人が大勢いた。
寒空の下、私も求職者となったことを実感する。

当時は、自民党から民主党へ政権が交代し、タバコ税の大幅な増税が決定されていた。
無職の私は、タバコも止めなければいけない状況に追いやられていた。
この頃が、禁煙ブームの最盛期だったのではないだろうか。

教師のままでいたら、ハローワークのことも、よく知らなかった。
多くの求人票が貼ってあったり、PCで閲覧できるようになっている。

失業保険の手続きが終わると、完全に教職との縁が切れてしまったことを感じた。
これから、私も求人票を見て、職を探さねばならない。

東京や埼玉で職を探すことが、自分にとっていいことだろうか。
今の状況下で、大都会が、私に、いい影響を与えてくれるとは思えなかった。
だから、荷物をまとめて、故郷の長崎へ帰ることにした。

すぐに帰れたわけではない。
両親に報告せねばならなかった。
自分の状況をありのままに伝えた。
父は「・・・そうか・・仕方ない。戻ってくるしかないだろ・・・」
ひどく落胆させたことが、声の調子で分かった。

悩んで眠れない時は、夜中に河原を歩き、神社のベンチに座った。
不審者のように思われるのは、嫌だったが、仕方ない。
「長崎に帰ろう。」
しかし、帰ってから、どんな顔をして両親に会えばいいのか。
分からなかったが、帰るしか道はない。

聖書にある「放蕩息子」の話を思い出した。
「財産の半分を父親から受け取った息子が外の世界へ出て行き、放蕩の限りを尽くして無残な姿で父の元へ帰ってくる」という話である。
父親は、息子を遠くから見ると走り寄り接吻して喜ぶ。
「私の息子は死んでいたと思っていたのに、生きていた」と。
ここに登場する父とは、神のことを表し、息子は自分の行いを反省し、改心した人間のことを表す。
この息子のように私は恥を忍んで父親の元へ帰るのだ。

しかし、私が帰ったことで歓迎されたわけではない。
家の空気を重くしてしまった。
聖書のようにハッピーな感じではない。

ハローワークと同時に、教員の募集に複数応募した。
今更、こんな状態になって、また教員に・・・とは思ったが、生きるためには必要だと思った。
教員以外に仕事経験のない私は、新しい職種に不安だったのだ。

しかし、全て、書類選考で落ちてしまう。
理由は、中途退職なのか、そもそもの経歴が悪いのか分からない。

かなり、落ち込んだ。

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